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ミュンヘンの熱狂と、青き獅子の記憶

My film journey -あの旅を綴る-, 2nd roll 第十七話

ドイツ・ヴュルツブルクを朝早く出発し、電車に揺られながらドイツ国内の最終目的地であるミュンヘンへと向かった。この日の予定は、昼過ぎキックオフのブンデスリーガ観戦。サッカー好きの私にとって、本場の熱気と臨場感を肌で感じる貴重な機会だった。しかし、チケットは持っていなかったため、スタジアムに早めに到着して当日券を探すことにした。

ミュンヘン到着後、まず向かったのはオリンピアシュタディオン(オリンピックスタジアム)。1972年のミュンヘンオリンピックの会場として建設されたこの施設は、当時バイエルン・ミュンヘンとTSV1860ミュンヘンの本拠地でもあった。この日行われるのは、1860ミュンヘン対シュトゥットガルトの一戦。サッカーの本場ドイツで、クラブの歴史と伝統が交差する試合を観戦できることに胸が高鳴った。

オリンピックスタジアムなので、ピッチまで遠い

正直なところ、試合前の時点では両チームの選手について詳しくなかった。しかし、その後調べてみると、1860ミュンヘンには1990年イタリアW杯ドイツ優勝メンバーのトーマス・ヘスラーや、この年の得点王マルティン・マックスが在籍していた。対するシュトゥットガルトには、ブルガリア代表として名を馳せたクラシミール・バラコフが出場しており、試合中ずっと彼の動きに目を奪われていた。

試合のハイライトはもちろんゴールシーンだが、最も印象に残っているのはサポーターの声援だった。1860ミュンヘンのゴール裏からは、「ゼヒツィッヒ!(60=Sechzig!)」という力強い掛け声がスタジアム中に響き渡り、選手たちを後押ししていた。その熱気に圧倒され、気づけば私も声を上げ、一緒になって応援していた。この経験がきっかけで、ドイツのクラブといえばバイエルン・ミュンヘンよりも1860ミュンヘンを応援するようになったのだ。ただ、その後1860ミュンヘンは低迷を続け、現在では3部リーグでプレーしていると聞く。

混んでおらず、朗らかな土曜日午後

試合の記念として購入した1860ミュンヘンのチームマフラーは、帰国後も私の生活の一部となった。寒い季節にはこのマフラーを巻いて大学に通い、そのたびにミュンヘンでのサッカー観戦を思い出していた。マフラーには、ミュンヘンの老舗ビール会社レーベンブロイのロゴが編み込まれており、見るたびに旅の記憶が鮮明によみがえる。いまだに大切に保管しているこのマフラーを巻きながら、いつかまたミュンヘンを訪れ、レーベンブロイのビールで乾杯したい。

サッカー後は、ミュンヘン市庁舎へ

旅の余韻を感じながら、その日を夢見るのも悪くないだろう。

All photos of my journey were taken by abeken with Ricoh R1s.

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abeken/アベラボ
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