見出し画像

アムステルダムの記憶:楽しむ力を見つける旅

My film journey -あの旅を綴る-, 2nd roll 第九話

ベルギー・ブリュッセルから電車に乗り、オランダ・アムステルダムへ移動した。新しい土地に足を踏み入れるたびに感じる高揚感は、この移動でも健在だった。しかし、アムステルダムに2泊したものの、観光を深く楽しむことはできなかった気がする。旅の序盤から歩き回っていて、少し疲れが出たのかもしれない。それ以来、一度もオランダを訪れていない。決して悪い印象を持ったわけではなく、むしろ楽しい時間を過ごした記憶があるのに、不思議なことだ。

アムステルダムで特に記憶に残っているのは、ハイネケンのビール工場見学と、G-Star RAWのデニムパンツの購入だ。当時、私はまだビールの美味しさに目覚めていなかった。工場で提供されたスナック菓子の方に夢中になり、ビールは控えめに飲んでいた。それでも、ビールの製造過程やブランドの歴史に触れることで、ヨーロッパのビール文化を初めて実感したのは貴重な体験だった。今なら、おつまみは要らないくらいビールそのものを楽しめるだろう。

人生いろいろあるが、いつまでも挑戦していきたい。

G-Star RAWのデニムは、私にとって旅のもう一つの楽しみだった。前年にウィーンで初めて購入して以来、このブランドは特別な存在だった。G-Star RAWの本社がオランダにあることを知り、アムステルダム訪問では必ずショップに立ち寄りたいと思っていた。ファッション誌で見たヨーロッパの街角スナップには、G-Star RAWを履くおしゃれな人々が登場しており、仙台では見かけないその特別感に惹かれていたのだ。

ウィーンで購入したスタンダードタイプを履きながら、この旅ではバイカーパンツからインスパイアされたElwoodを手に入れた。この立体裁断デザインのデニムは、1996年にブランドが注目されるきっかけとなったもので、今でも大切に愛用している。

もし今の私がアムステルダムを訪れるなら、フォトウォークを楽しみたいと思う。街中を縦横に巡る運河は、散歩しながら写真を撮るには絶好のロケーションだ。平坦な道が多いこともフォトウォークには理想的だろう。そして、オランダ特有のクロケットをもう一度味わいたい。自動販売機で手軽に買えるという話を聞いたので、ビールを片手に食べ歩きするのも魅力的だ。さらに、オランダの盛んなサウナ文化も体験してみたい。サウナの後はハイネケンのライトなビールとクロケットで優勝だろう。

飛行機雲の軌跡は真っ直ぐだが、人生は紆余曲折。

若い頃の私は、こうした「楽しみ方」を見つけるのが得意ではなかった気がする。何を楽しめば良いのか、やるべきことへの意識が低く、ただ時間が流れるままに過ごしていた。しかし、年齢を重ねるにつれ、少しずつ興味の幅が広がり、仕事や研究を含めた生活の中で、自分なりの楽しみ方を見つけられるようになった。それは本当に素敵なことだ。

旅は人生の道標、人生に迷ったら旅に出るのもいい。

歳を重ねることで得られる最大の恩恵は、こうした「楽しむ力」を身につけられることなのかもしれない。過去の旅の記憶を振り返りながら、そんな風に思えるようになった。

All photos of my journey were taken by abeken with Ricoh R1s.


いいなと思ったら応援しよう!

abeken/アベラボ
お読みいただきありがとうございます。いただいたご支援は、執筆活動や調査研究等に大切に活用させていただきます。温かい応援に心より感謝いたします!

この記事が参加している募集