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ロマンティック街道がつなぐ時間と記憶

My Film Journey -あの旅を綴る- 1st roll. 第五話

ドイツ観光の定番コースとして知られるロマンティック街道。日本人旅行者の間でも人気を集めるこのルートには、中世の面影を色濃く残す魅力的な町々が点在している。1998年、私はローテンブルク、バート・メルゲントハイム、ディンケルスビュール、シュヴァンガウ、そしてフュッセンを巡った。それぞれの町が独自の歴史と文化を持ち、若かりし私の心を大いに刺激した。

ディンケルスビュールの街並み

しかし、時が経つにつれて記憶は次第に曖昧になるものだ。26年前に撮影した写真を改めて見返してみると、どの町で撮ったものか分からなくなっている写真も少なくない。それでも、石畳の小路、木組みの家々、そして遠くにそびえるアルプス山脈を収めた一枚一枚からは、当時の感動が鮮明に蘇る。まるで写真そのものが記憶を呼び覚ましてくれるかのようだ。おそらくRicoh R1sのシャープな写りが、過ぎ去った時をここまで鮮やかに留めてくれているのだろう。

ドイツの木組みの家

そして2024年8月。私は26年ぶりにシュヴァンガウとフュッセンを再訪し、新たにシュタインガーデンやアウクスブルクといったロマンティック街道沿いの街も訪れた。懐かしさと新鮮さが入り混じる、不思議な感覚に包まれながらの旅だった。

ディンケルスビュールの教会

今回は、妻と2人の娘たちと共に。コロナ禍に生まれた次女にとっては初めての海外旅行だったが、彼女はこの旅を心から楽しんでいた。「またドイツに行きたい」という次女の言葉に、26年前の私の気持ちが重なる。あの時、私も同じように再訪を願っていた。

この経験を通じて、かつて訪れたローテンブルク、バート・メルゲントハイム、ディンケルスビュール、そしてハイデルベルクを、今度は妻と共に巡る旅をしてみたいと思うようになった。家族と共有する旅は、過去とは異なる喜びをもたらしてくれるものだ。

時の流れとともに変わるもの、変わらないもの。それぞれの町の個性や魅力を丁寧に感じ取りながら、昔の思い出と新たな発見を重ねていく旅。これこそが、ロマンティック街道の真の楽しみ方ではないだろうか。

バート・メルゲントハイムでの夜散歩

古い写真と新しい記憶を織り交ぜながら、ドイツの中世の世界へと再び足を踏み入れる日を、今から心待ちにしている。

All photos of my journey were taken by abeken with Ricoh R1s.

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abeken/アベラボ
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