「技術広報」という初めて聞いた言葉のお話〜マーケ広報meetup 2024 より
8月29日に開催された、マーケ広報meetup 2024 に参加してきまして、そこで聴いてきた「技術広報」についてのお話。技術に関係するTopicということだったので、エンジニアがよく使ってるTL;DRから始まるメモでサマってみました。
TL;DR
スピーカーの風穴さん曰く、技術広報とは・・・
ITエンジニアの採用に強い動機があるブランディング活動
自社のテクノロジーや製品だけを広報するわけではない
活動の主体は広報ではなく社内のエンジニアが自由(勝手)に実施
技術広報と似た言葉でDevRelがある
Fact
注:ちなみに、ここでいうFactとは、ここに書いた言葉の定義や数値が正しいかどうかではなく、スピーカーが説明していた内容がこうでした、という意味です。
では、技術広報ってなんぞや、というところから。
氏いわく、ITエンジニアに対するブランディング活動とのことだが、それにあたって自社の製品技術だけを広報すればよいっていうわけじゃないっていうところがミソ。で、ブランディングしたい強い動機の1つとしてあるのがITエンジニアを採用したいということ。
技術広報が生まれてきた背景として、ビジネスモデルや業界を問わずITの力が占める割合が非常に大きくなってきていて、優秀なITエンジニアをどれだけ抱えているかがビジネスに大きく影響する時代。今まではテック企業がITエンジニアを採用してたけど、今ではTech企業でなかった企業もITエンジニアを必要とする時代になっているというのがある。
技術広報は、技術広報担当者が発信するというよりは、自社のエンジニアがバンバン勝手にやるというのが従来の広報活動と全然違うところ。発信チャネルも従来のIT専門メディアとかに訴求するとかではなく、ブログやSNSでの自己発信が主体。発信内容も自社のテクノロジーや開発した製品に限らず、そのエンジニアが関わっているOSSに関わる話だったり、関心があるテクノロジー分野の話であったり。
技術広報と似た言葉にDevRel(stands for Developer Relations: デブレルと読む)とゆーのがある。同じような意味で使う人もいれば区別して使う人もいる。その違いはというと、 技術広報は普通にブランディングのための活動だけど、DevRelは自社のサービスに関わるエンジニアを増やしたいっていう動機が元になる活動。なので、いわゆる広報(Public Relations)ではなく、開発者をターゲットオーディエンスとした製品やサービスのマーケティングというポジショニングになると思われる。
マーケやPRの世界では、今回のmeetupのような勉強会は10〜20年前には全然なかったけど、実はエンジニアの世界では、このような勉強会は全国で1日50件以上、年間1万8000件以上の勉強会が勝手に実施されている。
すでにそうなりつつあるように、今後ますます企業広報の発信者や発信チャネルは広報やマスメディアだけじゃなくなる。内容も自社のことだけじゃなく、直接関係ないそれ以外のこともふくまれていく。会社がコントロールして発信するというのではなく、エンジニアの自発的な発信のモチベーションを高めていくことでブランディングができるという構造がすでに存在しているので、これまでの広報とは違う形のアプローチがあるということを認識してほしー。
という感じのお話でした。
Thoughts
ずっと外資IT系企業に身を置いていた自分的には、活動そのものは特に真新しさを感じない(25年くらい前でもエンジニアコミュニティですでにやってた)
ただ、活動の強い動機が社外のITエンジニアの中途採用で、Tech企業に限った話ではない、というところに時代背景の大きな違いを感じる
「技術広報」と言いつつ、これまでのようにPRとしてのガバナンスを効かせることは難しいのではと思うのと、だとしたら現在、そしてこれからの技術広報における広報部門ならではのR&R(役割と責任)はなんなのか、というところに興味あり
海外にはTech PRという言葉があるが、今日の技術広報の話を聞く限り、内容的には日本の技術広報よりもDevRelに近い気がする
といったところでしょーか。
References
企業が「技術広報」に取り組むメリットは?仕事内容の基本もご紹介by PR TIMES MAGAZINE, 2024.07.09
「DevRel」ってなんだろうby ThinkIT, 2022.04.15