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信頼の芽生え ~手術への道のり④~

お腹でスクスク育った大きな子宮筋腫を取るため、子宮全摘手術へ向けて、日々の徒然を記録します。

~第13話~

手術が刻々と近づいているここへ来て、仕事が急に忙しくなってしまった。
帰りも遅くなりがち。
そんな日々で、夕食の準備も手抜きがち。
先日、疲れたから夕食は唐揚げ屋さんで買おう、と唐揚げを注文。
揚げてもらうのを待つ間に、なんと私の担当医師からスマホへ電話が!
大きな病院の医師から、こんなにサクッと直電あるの?!

担当医師によれば、その日、産婦人科内で私の手術カンファレンスがあったらしい。
そこで、この人の筋腫は大き過ぎて、この手術は大変だよ、と言うことになったそう。
そのことを詳しく説明したいから、明日来れる?と。
職場は忙しいものの、もう手術日まで間がない。来れる?も何も、行くしかない。

翌日担当医師の説明を受けた。
私の手術で懸念される大きな問題が2つ。
①子宮が大き過ぎて、取り出すときにすぐ近くにあっておそらく現在子宮に押し潰されてる尿管を、神経や血管と間違えて切っちゃうリスクがあること。
②難しい手術になり、出血も多いことが見込まれること。

①の対応策として、尿管にあらかじめ尿管ステントを留置して、手術中に、触れば尿管だとわかるようにしておく方法がある。
処置がちょっと増えるけれど、そうしておけば、手術中のリスクは少し減らせる。

しかし、当初選択しなかった半年間のホルモン剤投与によって、筋腫を小さくし、子宮を小さくしてから摘出する方法を再度検討するのもありかもしれないが、どうしますか?と。その場合は手術は延期になる。
しかし、初めにも説明あったように、更年期障害の症状が出るけれど、そうするために投与してるから、それに対する症状を抑える薬は使えない。
そして、そうしたからと言って確実に効果あるとは限らないし、もし効果があったとしても、最大に期待しても10センチの筋腫が7センチになるだけであり、いずれにしても開腹での全摘は免れない、と。

②については、自己血を貯血することで対応できる。
そして、担当医師は「難しいけど、まぁ切れますよ」と。

先生はまた私に選択させようとしているのだけれど、これは明らかにこの先生も手術したら良いと思ってるよね?と感じた。
カンファレンスで他の医師にいろいろ言われて、もう一度私の意志確認が必要になったけど、この先生は予定通り手術したら良いと思ってるね?

この先生、初めはぶっきらぼうだし、あまり目を合わせないし、診察中ずっと手悪さみたいに手を動かしてるし、ちょっと怒り口調に感じるし…
あまり心許せる感じではなくて、あ~ぁ…と思っていたけれど、この時、この先生とは案外気が合うな、と思った。
手悪さみたいな手の動きも、実は手術のウォーミングアップに手を動かしていたのかもしれない。
お話上手で手術が下手な医師よりは、感じ悪くても手術が上手な医師に執刀してもらいたい。

「予定通りでお願いします。」
と私が答えたら、担当医師は私の目をじーっと5秒間くらい見たあと頷いて、今後の予定を勢い良く組み立てていってくれた。
まず尿管ステント入れるために泌尿器科受診予約して、自己血貯血の予約も入れて…

この人に任せよう。
担当医師への信頼が芽生えた瞬間だった。
こうしてじわじわと、医師と患者は信頼関係を構築していくものなのだなと思った。