見出し画像

僕が税理士の科目合格にこだわらない理由

はじめに

先日、ツイッターである方が、
こんなツイートをしてくれました。

税理士を目指している方ならほぼ全員知ってるんですが、税理士になるにはいくつかの方法があります。

  1. 税理士試験を5科目合格する

  2. 税理士試験を3科目+大学院で租税に関する研究をする

  3. 公認会計士になる

  4. 弁護士になる

  5. 国税専門官になって一定期間務める(10年+会計科目 or 23年)

その中の僕は2番目。
いわゆる「院免」って言うヤツです。

税理士になっている方や、そして税理士を目指す方の中で、

公認会計士 vs 税理士
5科目合格 vs 院免

のような議論がしばしば巻き起こります。

ときには、

試験科目の優劣(例えば、消費税法 vs 酒税)
税理士 vs 他の士業

みたいな話が、たびたひ議論になり、ごく稀に炎上します。

ただ、僕はその議論についてはどうでも良いと思っていたので、全く参加していませんでした。

今回のツイートをきっかけに、本気で考えてみたので、みなさんの意見を聞きたいと思います。

僕の立場

そもそもお前は誰やねん?
と言う方がほとんどだと思いますので、最初に僕の立場を伝えておかなければなりません。

僕は、2023年現在、税理士として独立して8年目の税理士です。
30歳でIT業界から転身して、40歳で独立。
現在大阪と名古屋で従業員約20名の会計事務所を経営しており、現場の実務はほぼタッチしていません。

会計事務所以外にも飲食業、障がい者支援施設、コーチングを主体としたコンサルティング事務所を経営していて、グループ全体で100名ほどの従業員がいます。
年商は全体で5億程度。

2023年の経営計画発表会の写真

そして、何より税理士は院免で取得しました。
元々は時間や収入の制限で、大学院に行けるなんて思っていなかったので、5科目頑張って取ればいい!何よりそれが王道!って思っていました。

以下が、僕の戦績です。

28才:簿記3級を受けて不合格、そのまま簿記2級を受けて不合格(まだ受かってません)。
29才:簿記論と財務諸表論を受けて不合格。
30才:簿記論○、財務諸表論×
31才:財務諸表論×、消費税法×
32才:財務諸表論○、消費税法×
33才で大学院に入ります。大学院で租税法の研究をしながら、
33才:消費税法×
34才:消費税法○

まあひどいもんです。
要は、税理士試験に向いてないんですよね。

そもそも、どんな税理士を目指すのか?

さて、前提をお伝えした上で、5科目合格と院免の有利不利についてお伝えすると、

「どんな税理士を目指すかによって変わってきます」

というのが答えです。
身も蓋もないですが、これが答え。

じゃぁ、どんな時に5科目合格が有利で、院免が不利なのか。
どんな時が逆なのかは、

「就職する事務所が、5科目合格者しか取らないのであれば、その事務所に勤めたければ不利。」

ってだけだと思います。

例えば、

会計事務所年鑑というサイトでは、

基本的には税理士科目3科目以上の取得者が対象となり、できれば5科目が望ましいです。また、法人税法の取得は原則としては必須です。

経験内容が良い場合や高い英語力を有する場合は、3~4科目合格の人材や法人税法に合格してない人材、もしくは30代半ば以降の年齢の人材も採用の可能性があります。

BIG4税理士法人とは?~仕事・残業・年収・採用基準などを解説!~

とあり、以前は、採用条件にも、5科目合格者と書かれていました。

ただ、2023年7月現在、BIG4の採用ページを見ましたが、今は書かれていません(もちろんだからと言って院免除の税理士を積極的には採らないんでしょう)。

じゃあ、BIG4の従業員がどれだけいるかというと、トーマツ、EY、KPMG、PwC合わせて3,300人程度。税理士は8万人いますし、会計事務所自体は3万社ありますので、そこに行きたかったら、5科目取らなきゃねって言う程度だと僕は理解しています。

税理士はなる前よりもなった後

その上で、一番大事なのは、税理士にどうやってなったかと言うよりも、税理士になって何がしたいか?ということに尽きると思います。
独立したときに必要なのは、税法の知識よりも、コミュニケーション力です。
税法の試験や会計の検定には答えを導くための前提や条件が記されていますが、実務にはそれがありません。
コミュニケーションによって、その前提や条件、そしてその前提の前提となる、クライアントの価値観を引き出さなければなりません。

べき論だけを振りかざすのであれば、Googleで調べれば良いんです。
その上で、クライアントがなにをしたいのか、どこまでは認められるのか、その際の自分やクライアントのリスクはどれくらいなのか?
それをどう伝えるのか?
そこに必要なのがコミュニケーション力だと思っています。

しかも、税理士のほとんどがコミュニケーションが苦手。
ということは、少しコミュニケーション力を磨くだけで、一気に差を付けることができます。

そう。
税理士は、なる前よりもなった後の学びの方が何倍も何十倍も重要です。

いいなと思ったら応援しよう!