あし俳の歩き方 〜あしらの俳句甲子園2024に参加して〜
あしらの俳句甲子園(以下、あし俳)に初めて参加した。
楽しかった。
帰ってきてからもポカポカ満ち足りた気分になっている。
多分また参加するだろう。まだ参加したことがない方にもおススメしたい。
同じ形式で開催されるとして、将来の自分に向けて5点だけメモを残しておく。参加者の皆さまが思い出を振り返る材料や、これから参加する方々の参考になったら幸いです。
1. 早く申し込んで、最前列で見よう
今回 12月2日 21:00から受付が開始され、うちのチームは8番目に申し込んだ。
これが大きかった。
あし俳は受付順に前から席が割り当てられるからだ。
我々は2列目の真ん中だったおかげで、ステージの様子がよく見えた。幸の実ちゃんの爛漫な笑顔、北野きのこさんの挙手の反応速度、先生の選評を聞く対戦者の眼差し。
前と後ろで、臨場感はどうしても変わる。コンサートで言えば、僕は今回S席だっただろう。もらい泣きしやすい場所だったと思う。
公開されている申込履歴を見ればわかるが、今回は10分以内に25チームが申し込んでおり、なかなかの争奪戦だった。この数分で壇上との距離が大きく変わる。余力があったら早めに入力して、前の方で、あし俳を目撃しよう。
2. 甲子園と俳句甲子園を復習しよう
あし俳の会場の松山市総合コミュニティセンターのすぐ隣には、野球で有名な済美高校がある。
これが胸熱だった。
特に北海道出身の自分にとって。
あの済美である。
「やれば出来るは魔法の合いことば」が校歌の、あの済美である。
北海道勢が甲子園で初優勝した2004年、駒大苫小牧との決勝で13-10の死闘を演じた、あの済美である。
校舎に大きく貼られた「校訓 やればできる」の幕を見た瞬間、当時の思い出がフラッシュバックした。
あし俳にいく前にみんな、済美高校の校歌を聞いていこう。済美高校の幕を見たときに、10兼題詠むのも、決勝トーナメントいくのも、やればできる気になるから!(僕はできなかったけど)
それから松山市総合コミュニティセンターの入り口には、俳句甲子園の歴代の最優秀句のプレートが展示されている。
いつも投句先でお世話になっている、神野紗希先生や森川大和先生の若々しい句が輝いているのを見ると、少し感慨に浸れる。もちろん直近見た俳句甲子園にも思いを馳せることができる。どのプレートの前で写真を撮るか、過去の俳句甲子園を復習しておくと、より当日を楽しめるだろう。
3. ラウンジつきのホテルに泊まろう
今回コンフォートホテル松山という、会場まで徒歩10分くらいのビジネスホテルに宿泊した。半年前にツインで予約したら1人7,500円くらいだった(ただし、他の方の情報によると3ヶ月前にはかなり部屋が埋まって、高いプランしか残ってなかったらしい)。
ここが、あし俳にピッタリだった。
24時までラウンジを使えるからだ。
Wi-Fi完備!
コーヒー、紅茶、シトラスウォーター飲み放題!
困ったら句材を探せそうな写真集!
チームで詠める場所が見つからなかったという話や、ファミレスでチームで詠んでたらチェックインに間に合わず急遽宿を取る羽目になったという話も聞いたけど、コンフォートホテル松山なら、そんな心配もご無用です。0時で閉まるけど、まあそれ以上時間があっても、集中力を保って議論しにくいだろう。
ちなみにうちのチームは、ざっくり
20:15 - 20:45:兼題発表後、早さ優先でラーメン屋へ。ホテルに戻る
20:45 - 22:30:それぞれ10兼題詠む
22:30 - 24:00:お互いの句にダメ出し、推敲
24:00:推敲しきれなかった句を宿題にして解散。1人1〜3句持ち帰り
8:00:ホテルから出発
という感じで動いた。僕は3句宿題を持ち帰って、睡眠時間は5時間くらいだった。ちなみに会場到着後も推敲を続け、一応最後の最後でチームメンバー同士で「全句についてギリ及第点はあげられるかな〜」くらいになった(もしかしたら、内心違ったかもしれないけど)。
そんなわけで、みんなで集まって作句するなら、ラウンジつきのホテルは、おすすめです。ちなみに今回、同じホテルのラウンジで別のチームに遭遇するかと思いきや、我々しかいなかった。
ただ受験生が1人だけいて、我々が議論タイムに入ってから去っていった。
彼にはホント申し訳なかったです。合格をお祈りしております。
4. 事前に詠み貯めるなら、納得いく句を詠もう
今回我々は6月頭にチームを結成し、8月から毎週3兼題ずつ、冬と新年の句を詠んだ。一応、それぞれ指摘しあって推敲句も用意した。そうして、のべ50題について詠み貯めた(加えて毎月1-2チームと句会させて頂いた。相手してくださった皆さま、ありがとうございました!)。
そしてなんとその中で。
予選兼題の「凩」を詠んでいたのである。
普通ならば「キター!」と言うところだろう。
だがそんなことはなく。詠み貯めた句
を見て「これはこのまま出せないなあ」と思ったのである。
いかにも置きに行った句なのである。実景だから思い出を語れるし、平均点は取れそうだが、「自句である」と胸を張れない句だったのだ。なので結局詠み直して、
で提出した。
結果は8点。元々の句なら9点だった気もするが、自分として後悔はない。
で、今回わかったのは「事前に詠み貯めても、納得できる句として仕上げておかないと、結局意味がない」ことだ。
何を当たり前のことを、と思うだろう。
だが当時の自分はわかっていなかった。「最低限形になった句を作っておけば、他の兼題に時間を充てられるから、無いよりは増しだろう」と思っていた。
だが実際にその場面になってみると巧拙はさておき、「3人の先生に見てもらいたい句」「ディベートになったとき好きなだけ語りたい句」を出したいという気持ちでいっぱいになった。今回事前に詠んだ句は、無いも同然となった。
だから半年前の自分たちにアドバイスするならば、詠むお題を減らしてでも、納得のいく句を揃えるように言う。
俳筋力のトレーニングにはなったし、季語に慣れるためにはたくさん詠んでおくといいのだろう。けれど、事前兼題の予想が的中した場合に備えるならば、量より質を優先しよう。
(ちなみに、あし俳の予選ルールはこちら。全句について、審査員3人の先生それぞれが5点満点の計15点をつける。そしてチーム3人の合計得点で上位8チームが決勝に進出する。今回、全40チームで、最高点は35点、決勝進出のボーダーラインは32点だった。個人点で8点以下は120人中23人)
5. 話したい人とは隙あらば話そう
多分あし俳は、いつき組が集まる最大のイベントだ。道後俳句塾も同じくらいの人数が集まるけどそのうち、いつき組は6〜7割くらいだと思う。あし俳は運営の方も相当数いらっしゃるので、体感2倍くらい多い。
だが、イベント中の交流時間は意外と少ない。
「またあとで話しましょう」的なことを言って、ほとんど話せないまま別れる人のなんと多いことか。
終わったあとも、すぐ会場を撤収しなければならないので、後ろ髪を引かれるように退出することになる。そうしてあとから、話し忘れたことを思い出す。
碧西里さん・世良日守さんとジョジョのことを話し損ねたし、凪太さんとインド映画のことを話し損ねたし、大槻税悦さんに「2023年の漢字が税でしたね」と声をかけ損ねた。
だから話したい人を見かけたら、すぐに話しかけた方がいい。
そのためにも名刺や、おやつを持って声をかけやすい体制をつくっておこう。おやつはなくなりやすいから、もし、あし俳の前後に句会の予定があるなら、別途用意しておくのがオススメだ。
あと、もしかすると自分に声をかけてくれる人がいるかもしれないから、チーム紹介タイムでは、聞き取りやすいように、口にマイクを近づけて話そう。残念ながら僕は1/4くらいの人が何と名乗ったか聞き取れなかった。早口の僕が言えることじゃないけど、特に男性はマイクに向かって大きく口を開けて喋るといい。
そして、しっかり話したい人がいたら、早めにご飯に誘っておこう。終わったら声をかけようなんて思ってるうちに、会場を追い出されて取り残される危険性を孕んでいるのが、あし俳だ。
最後に
あし俳の運営の方々はびっくりするくらいホスピタリティに溢れている。スムーズに運営できるよう万全に準備をしてくださっている上に、句友としても声をかけてくださる。
あと参加費2,000円なのに、お土産のお菓子や、取っておきたくなる参加証を頂いてしまった。恐縮でしかない。
一瞬参加者側にいるのが、申し訳なく感じたりもしたが、すぐに「楽しむことが、運営の皆さまへの最大の恩返し!」と思い直した。それくらい、もう感謝でいっぱいになるような運営をしてくださった。心より御礼申し上げます。
そして、声をかけてくれて一緒にチームを組んだ竹田むべさん。お声がけ頂かなかったら我々夫婦は、あし俳に参加していなかったと思います。満ち足りた気持ちになれる場所に連れてきてくださって、本当にありがとうございました!
以上、初あし俳を終えてのメモでした〜!