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#4 DTM 独学では挫折する? 体系的な情報発信に挑戦します

 皆さま、改めましてこんにちは。ご覧いただきまして誠にありがとうございます。ABE Sound Studio(エービーイー・サウンド・スタジオ)です。  

 私は個人スタジオでレコーディング、ミキシング、マスタリングの駆け出しエンジニアとして活動しております。私の詳しい経歴については「新聞記者がサウンドエンジニアを目指した理由()()()」でそれぞれ紹介しておりますので、関心を持っていただけましたらぜひ一度ご覧いただけますと幸いです。

体系的な情報発信へ その狙いは

 それでは今回から、DTM(デスクトップミュージック)に関する情報発信を始めたいと思います。初回はその狙いについて説明いたします。

 それはスバリ。DTMをやりたいという方が、最初に何を準備して、どう始めればいいのか、といったことを順序立てて説明している情報がまだまだ少ないなと感じたからなんですね。この順序立ててという点がポイントで、何をどう学んでいけばいいのか、その見通しが立つような体系的な情報発信が必要だと思ったんですね。一連の流れでDTMを学ばないと内容が頭に入ってこないなと感じているんですね。流れが見通せないと、自分がいま何をやろうとしているのかすらもよく分からなくなってしまいます。それによってDTMを挫折したという人の話をよく聞いてきました。

独学で苦労した過去

 では、なぜそうした情報発信が必要だと思ったのか。それは私自身がDTMをやるにあたって、かなり苦労した経験があるからなんですね。私は音楽学校で学ぶためのお金がありませんでしたから、独学でDTMを学んできました。だがそれは困難を伴うことでもありました。今でこそ、ある程度のレコーディング、ミキシング、マスタリングに関する知識や技術は得られましたが、そこに至るまでの道のりは平たんではありませんでした。
 
 まずDTMをやるにあたって、必要な機材をそろえるわけですが、それがオーディオインターフェース(IF)、音楽制作ソフト(DAW)、ヘッドホン、マイク、ケーブル等ということがわかっても、それぞれどれ一つとっても、多岐にわたる種類があります。機材をそろえる時点からもうどうすればいいか分からないわけです。

断片的な情報に一喜一憂した

 そして、それらの製品を調べる際、ネットの情報を頼ると思いますが、さまざまなサイトがあります。もちろん、それらのサイトの内容はそれぞれ個性的で見てて面白く勉強にもなるのですが、いかんせん情報にばらつきがあるんですよ。たとえば、IFについてあるサイトでは「ビギナーが買うべきはこれ」と安価なものを勧めている一方、別のサイトでは「これを買えば間違いない」と高価なものを、他にも「有名歌手の○氏も使っている」などのうたい文句で宣伝しているものもあります。当時の私のように、初心者の方にとっては、どのサイトも内容が魅力的に見えてしまうだけに、逆に頭が混乱するわけですね。

 そうして断片的な情報に振り回される結果、一喜一憂を繰り返す無限ループに入ってしまうわけです。そうなると何を買えばいいのかの確信が持てなくなります。「これでまぁたぶんいいのか」というあいまいな判断基準で、そこそこの値段の機材を買ったりしてしまうわけです。

 また、機材を買ったら買ったで、今度はIFとPCの接続方法やDAWの基本的な設定、操作方法が分からなかったりするわけです。恥ずかしながら、私なんてDAWをまともに扱えるようになるまで半年近くかかりました(笑)。しかもいまだによく分かっていない機能だって無数にありますし。

 メーカーサイトの説明書やQ&Aみたいなページを見たこともありますが、聞き慣れない専門的な言葉で書かれていたり、文字が所狭しとびっしりと埋まっているため、とても理解できないという経験を何度もしました。本屋に行って、DTMに関する書籍をあさってみましたが、これも難しい言葉で書かれていたり、内容が専門的すぎだったり、情報が断片的で体系的に説明されていないため、一見読んで「なるほど。そうか」とは一瞬分かったつもりにはなるものの、いざDAWの前に立つと「待てよ、でもじゃあ次にどう操作すればいいんだ」という状態になったこともしばしばでした。困ったあげく、メーカーに問い合わせて解決したものもありますが、返答に時間がかかるうえ、必ずしも自分が求めている回答ではないこともありました。

出口が見えず負のスパイラルへ 

 紆余曲折をへて、ようやくボーカルや楽器を録音できるようになったかと思いきや、今度はミックスの問題に直面することになります。「ボーカルの線が細いなぁ」「ボーカルと伴奏がなじまないなぁ」「音量感が足りないなぁ」。疑問点が無数に出てきますが、DAW付属の純正プラグインしか持っていませんし、そもそもの使い方も分かりません。自分なりに調べてプラグインを挿してみても思ったようにならない。そうなると「うまくいかないのは、高い機材やプラグインを持っていないからだ」という思考になってくるんですよ(笑)

 そうしてまたネットの情報を頼り、サイトを見ていくうちにいろいろな機材やプラグインに心ひかれ、「そうか。これを買えばいいのか!」と心躍らされます。買ってみたもののまたもや思い通りのクオリティにならず、今度は別のものを導入してしまう。そうするうちに機材やプラグインばかりが増え、肝心の使い方が分からないまま時間だけが過ぎていく。やりたい気持ちはあるのに、そのやり方がわからないがためにいつまでたっても前に進めない。出口が見えない葛藤は本当にストレスで、鬱(うつ)っぽくなったことも数え切れないほどです。

ついに挫折 時間とお金だけが消えた

 この負のスパイラルによって、実は私、過去2回、DTMを挫折しました(笑)。1回目は上記のようにDAWの使い方が分からず、「俺には無理だ」と諦めてしまったとき。2回目は低価格帯のアナログ機材のマイクプリやコンプを導入した後、UADの存在を知って「なに!?俺が持っているのより圧倒的に質の良いアナログ機材をシミュレートしたプラグインが使えるIFがあるんかい」とがくぜんとしたときです。大損こいたような気分になった私は誰が悪いわけでもないのに、「コンチクショー。ふざけんな」と怒りにまかせて、せっかく買った機材をヤフオクでぶん投げましたね(笑)。ですが結局、音楽への思いが断ち切れず、後々、UADを導入することになるのですが。しかも、アナログ機材はそれはそれでUADには出せない質感があるのに、売っぱらってしまったのを後悔することにもなるのでした・・・。

 今では笑って振り返ることができますが、いずれのケースも私がいろいろな断片的な情報に惑わされたがゆえに起きた悲劇なのです。最初から体系的に学べるような情報媒体があればこんな回り道はしなくて済んだだろうと思うのです。これによって私はかなりの時間やお金を浪費してしまうことになりました。後に信頼できるDTMerの方に出会えたことでなんとか光が見えたのですが。

玉石混交の情報に惑わされないで  

 一見、ネットを開けばすぐに正確な情報にたどり着けるかのように見えます。しかし、私がそうだったように、初心者の方ほど玉石混交の情報があふれるネットの海を右往左往してしまい、ついぞ自分なりの判断基準を持てないままに漫然とそれを繰り返すだけになってしまうと思うんですね。もちろん、それでもある程度の知識は得られるとは思いますが、高みを目指せば目指すほど、どんな手順で技術を高めていけばいいのか分からなくなり、どうしても自分の力だけでは限界を迎える瞬間がやってくるんですよ(涙)。それこそミックスとかの話になると、八方ふさがりで手も足も出なくなります。

音楽業界は機密性が高い?

 DTMをやり始めて常々感じているのは、DTMを含む音楽業界は全般に機密性が高い世界だなということです。もちろん、レコーディングやミキシング、マスタリングなどは作品に個性が反映される職人芸ですし、プロの方々はそれで商売をしていらっしゃるわけですから、簡単にその技術を明かすことはできないという事情はわかります。ただ、それでもまだまだ情報は少なすぎるように思うのです。そのことによって、DTMの敷居が高くなっているように感じます。

 DTMで何をどう学んでいけばいいのかということや、技術面についても誰もが知っておくべき基礎的なことであればもっと示してもいいのではと思うのです。学習意欲の強い方であれば、その情報を基にどんどん試行錯誤を繰り返して、自分なりの音作りに挑戦すると思いますし、ひいてはそれが音楽業界の発展につながると信じているからです。

志高きDTMerを応援したい

 だからこそ私はやはり体系的に学ぶことができる情報媒体が必要だと感じています。どんなステップを踏めば、自分が求める水準までいけるのか。その見通しさえ立れば、DTMで挫折することは少なくなるはずです。というよりも音楽に対するモチベーションが無用に失われずに済むと思うのです。「なんかネット見てもようわからん」「難しくてめんどくさそう」。せっかく音楽をやりたいという人が、こうした本来的ではない理由であきらめるのって業界にとっても損失だと思うんですね。  

 私がそうした存在になれるかは分かりませんが、「この内容を実践すれば、必ず自分も同じことができるんだ」「次はこれを学べばいいんだな」と読者の皆さまに自信を感じていただけるような情報発信に挑戦したいと思います。昔も今の私もそうですが、何事も上達するにはとにかく他の人のマネをしてみるのが一番の近道だと思うんですね。

「歌ってみた」(2ミックス)を目標に 一緒にやってみましょう! 制作過程を順次公開へ

 というわけで、DTMを始めたいと考えている方が、「歌ってみた」(2ミックス)をご自身で作れるようになることを目標に、そこから逆算するような流れで、その一連の制作過程を、まず機材をそろえるところから順に公開していきたいと思います!詳しくは、#6(タイトル未定、鋭意執筆中)の掲載時にご説明いたします。

 というわけで、初回はここまで。もし「これがわからん」「あれについて聞きたい」など題材がありましたら、ぜひお気軽にコメント欄よりお寄せいただければありがたく存じます。

 このブログの内容は、私のYouTubeチャンネル「ABE Sound Studio」でも近く配信する予定です。こちらもご覧いただけますと幸いです。

 それでは、次回も皆さまとお会いできますことを楽しみにしております!

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