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日常から寄り道したくなる舞台『あなたの目』

舞台『あなたの目』をライブ配信で見た。
面白かった。

元は1962年にロンドンで上演された作品。大分、コメディタッチに仕上がっていた。どれくらい台本・演出で、手が入っているかわからないけど、僕は好きな作品だ。

緩急のつけ方や間合い、台詞回しで小林賢太郎の舞台を思い出した。KKPが好きな人は、楽しめる確率が高いと思う。

観劇後、新たな世界を自分の目で見たくなった。僕が新卒で入った会社では毎朝、「何よりもまず動き、自分の目と耳で確かめます!」と唱和していたが、まあ、いい意味でそれを実践したくなる。

芸術でも買い物でもスポーツでも人づきあいでも、何でもいい。「これを見てよかった」と思えるポテンシャルを秘めた物事が、身近に満ちている。

だのに僕たちは、既定の人間関係とルーティンワークの隘路にハマって、簡単につまらない時間を過ごしがちだ。「そんなことは愚かだぜ、あさってに目を向けて、感性のスイッチを入れろよ」とこの舞台は、笑いと皮肉をベースに畳みかけてくる。

とりあえず、TENETをIMAXで観ようと思った。

あと、この舞台は、奥さんがラジオで紹介されているのを聞いて、チケットを買ってくれた。そこにも感謝しようと思った。そういうテーマの舞台でもあった。ありがとう、妻。


ライブ配信では、終演後に役者さんのミニトークがあった。1時間30分くらいほとんど出ずっぱりだった役者さんが、そのままのノリでチャキチャキ喋っていて、それだけでも、プロはすごいと思った。これはライブ配信だからこそのありがたみだろう。

それと開演前に、会場の扉を空けてホールに入っていくまでの演出も、実際に観劇したようでよかった。こういうのはスタンダードになっていくのかもしれない。

配信終了後に「初めてだけど頑張りました、至らないところあったら申し訳ございません、これからもライブ配信頑張ります」的なメッセージのスライドが流れた。それも何か結婚式のエンディング見たいな、初々しい覚悟があって、いいなあと思った。特に「これからもライブ配信頑張ります」というところが。

今回の作品は、劇場とライブ配信の両方をやっていて、劇場の方はチケット完売していた。こうして、両方で観る人が増えて、前よりも演劇界が潤っていけば、本当に喜ばしいと思う。公演したシス・カンパニーの皆さま、ありがとうございました。

サポートされた者たちから受け継いだものはさらに『先』に進めなくてはならない!!