贅沢な遊び ほのラジ楽屋話
あまり面白くないB級映画を見て「時間の無駄」だと思うか、その退屈な映画を作った人たちに思いを馳せて、その退屈ささえも愛でるのか。
「退屈を味わうことが贅沢な遊び」だと、先日読んだ本の中で信頼する作家さんが述べている。
同様に、「?」となるような、何度読んでも意味がわからない、最初から意味なんて存在しないような不条理な物語もやはり「贅沢な遊び」ではないかと思っている。
為になることや名言が書かれていることもないし、心を震わせるドラマがあるわけでもないが、読んだ後に、心の中にうすぼんやりした明かりが灯る感覚が残るような物語を書きたくなる人が一定数いるのではないかと想像する。
偶然、僕はnoteで穂音(ほのん)さんという書き手と出会い、「お月見コンテスト」に共作で応募することになった……。
って、書き出し!
かたいよ、ぼん!
今回、「ほのラジ」名義で「お月見コンテスト2021」に応募させて頂きました!
僕は文章とイラストだけで、
穂音(ほのん)さんは文章と楽曲と動画&記事編集、とだいぶ骨を折って貰いました。しかもネット上に共通のフォルダを出現させる奇術を使って頂きまして、いやもうやりとりがスムーズだし本当に有難かったです!
内容に関して少しずつ、解説させて貰うと、
第一章は僕が以前書いた「猫と月」。
こちらは、タネを明かせば、「ことば展覧会」(拝啓あんこぼーろさんの企画)に参加した時の、自らを「コトバ」だと名乗る魚を登場させ、猫の世界に迷い込んでしまった人間の話と合体させた感じのショートショート。洞窟の描写は昔からある冒険もののオーソドックスな描写だと思いますが、村上春樹ファンなら「ダンス・ダンス・ダンス」のドルフィンホテルや「図書館奇譚」の図書館の地下にいる羊男に出会う時の雰囲気を感じて貰えたらな、というパクり…ではなくオマージュです!
第二章は同じく以前穂音(ほのん)さんが書いた「犬と月」。
「猫と月」から思いついた話ということで、世界観が繋がっております。繋がっている世界にやってきたのは、先日1stシーズンが大フィナーレを迎えたばかりの「ミステリオーザ婦人」シリーズの登場キャラクターとおぼしき、鴉、猫、そして白い犬。そんでもって、お読み頂いた方ならおわかりだと思いますが、穂音(ほのん)さんの発想は僕とは一段ギアが違うのです。鴉が黒い犬に変身したり、白い犬が水面に映った月を咥えて行ってしまうのです。第一章よりもさらに不条理度が増してくらくらする感覚に陥るはずです!
第三章は企画に参加するにあたって書き下した共作です。
「サンダーボルト」という作品で阿部和重と伊坂幸太郎がやったあれです(笑)。ってかっこよく言ってしまいましたが、前半と後半に分けて書いたのですが、どちらがどっちを書いたかお分かりになった方、いらっしゃいましたでしょうか。答えを言うと、前半は僕で、後半が穂音(ほのん)さん。
第三章は、いったん現実に引き戻したかったので、こういう書き出しになりましたが、これは二人とも意見が一致して安心した部分でした。あとはもう穂音(ほのん)さんの土俵。往年の魁皇のように腕(かいな)をきめて……って土俵にひっぱられた相撲たとえはやめます!
……とにかく僕のむちゃぶりを凄い話に昇華させてくれたのでした!
イラストについては、単色か2色くらいで挿絵ぽさを意識しました。「月」を主役にしましたが、どっかで見た月のイラストが頭の片隅に残っていた気もします(笑)
楽曲についてですが、僕がコードなど音楽に暗くて申し訳ないのですが、穂音(ほのん)さん本人のコメントをお借りすると、
とのことです。
が、素人の僕には果たしてそんな芸当が可能なのかどうか判別がつきましぇん!
ところが、ピアノの音色を聴いているうちに、音符たちが動画の中から出てきて、僕の身体や頭のまわりをくるくると楽し気に踊り、ぷくぷくと泡になったかと思うと、自分の口からあぶくが出ているのに気づき、やがて自分が魚であることに思い当たり、月明かりの下に滔々と流れる川へと泳いでいく姿が目に浮かんでくるのです。ほら、皆さんもきっとそうだと思います。
嘘だと思ったあなた! 動画をどうか最後までご覧になってください。
観てくれないと気色の悪い形をした魚が橋の下や湖の中から出て来て話しかけるでやんすよ。
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