七つの子 : another heaven 8
【注意】怖い話、嫌な話が苦手な方はスルーでお願い致します。
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友達から教えてもらった住所を頼りに、指定されたあの白い家まで自転車で行きました。
辺りはすっかり暗くなっていて、犬が吠えていました。もしかするとあのお婆さんの黒くて細い犬かもしれないなと思っていました。
あの家はすぐにわかりました。そこだけずっと落とす事が出来ない汚れみたいな場所でした。
ガレージには赤い軽自動車が止めてあったので、友達が中にいるんだなと思いました。
以前はキレイだったであろう草花を模した鉄の格子の扉を開ける時にギーっという不気味な音がしました。
玄関の戸の前で少し立ち止まり家の中の様子を伺いましたが何の音も聞こえませんでした。灯りももちろんついていません。とにかく扉を開けてみました。中には友達がいて、僕の予想が正しければ、一刻を争う状況なのです。僕が早く友達のいる場所にたどり着かなければ彼は死んでしまうかもしれなかったのです。そしてすでに家の中に入ったとたんガソリンの臭いがしていたのでした。
靴のまま家の中に進み、目の前の階段の脇を通りすぎた辺りだったでしょうか。突然背後から誰かが現れたかと思ったら、羽交い締めにされて、僕は情けない事に気を失ってしまいました。
「刑事さん、これがボクが覚えている全てです。そこから先はどうやって家に戻ったのかもわかりません」
「そうですか。いや、ご協力有り難う御座いました」
「それで、友達は助かったんでしょうか?」
「いや、お友達は残念ながら死にました」
「え!? やっぱり…あの家で自殺したんでしょうか?」
「いいえ。今から言う話はご内密にお願いしますが、貴方のお友達は高速道路で事故に遭って死にました。大きなトラックに挟まれて車ごとぺしゃんこです。もちろん即死でした。それと、あの男は貴方を含めて四人も殺そうとしてたんです」
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アイツはやっぱり馬鹿だわ。オレの言う事を信じて自分でまんまと遺書を書いちゃった。笑える。
あとはアイツをここで待って、この三人と一緒に生きたまま燃やすだけだな。今回はちょっと趣向を変えますよー。人間バーベキュー。あ、人間BBQか。言い直しちゃダメじゃん! 笑える。
でも前回と同じ四人かー。今回はもっと殺しちゃう予定だったのによ。アイツが余計な事言うから。クソが。アイツマジ、クソだわ。
あれ、まだ死なないでくれよ、おっさん、ぼくちゃん、おじょうちゃん。ん? そう言えばこいつら何日めし食ってねえんだ? ま、いっか。どうせもうすぐ死んじゃうんだし。笑える。
あ、来た来た。笑える。
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日曜日の夕方。カケルがミフネさんに導かれて国道沿いのコンビニに来てみると、目の前をある男が自転車で通りすぎた。
いつの間にかミフネさんがその男の後ろを走りながら追いかけ、自転車を減速させて、やがて止めてしまった。
ミフネさんが「おいでおいで」をするので戸惑っている男の側に近づいていくカケル。
「ああ、この前、学食であったね」
「ああ…どうも。ちょっと今急いでまして」
「ごめんごめん、いいよいいよ、どうぞどうぞ、気をつけて」
学生は思い詰めた表情で自転車に跨って行ってしまった。
「ミフネさん、彼がどうしたって言うの? え? 追うの?」
カケルは息を切らせながらついて行く。追いついた時にはあの学生が廃墟のような家の中に入るところだった。
「なんだなんだ?」
カケルも恐る恐る家の中に入ってみると、まずガソリンの臭いが鼻についた。そして誰かを羽交い締めにしているミフネさんの姿が月明かりに見えた。
「え!? ミ、ミフネさん…何してるの?」
死んだの? 気絶しただけなの?
カケルが側に寄ってみるとどうやら気絶してるらしい事がわかって安心した。「もしかしてさっきの学生?」そう思っていると、隣の部屋らしきスペースで物音がした。
「なんだよ、ミフネさん、どこだよ。怖いんですけど」
カケルは物音のした方へ行くと、誰かが寝ている。一人ではなかった。大人が一人と子供が二人、縛られて転がっていた。辺りは相変わらずガソリン臭かった。
ミフネさんはなかなか戻って来なかった。
「こんな時にいないなんて、ミフネさん、案外頼りにならないな」
すると、表の方で車のエンジン音がした、ような気がした。
カケルはとりあえず、110番に電話し、それから先は近所の人に手伝って貰う事にした。
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ん? おかしいな、確かに今人が来た気配がしたんだけど、うっ…動けない…え、何ナニなに? どうしたオレ。動けないジャン。マジで。やべえよマジで。
え? 体が勝手に動く…と言うか浮いてる? え? なんだこれ? 待て待て待て待て。ありえねって。マジで。マジか。玄関出ちゃったよ。
え? 車の扉が開きました。で、オレがポーンて…飛んだよ。
なんだよ? どうなってるんだよ? え? 何これ夢? え? そうなの? 夢なの?
エンジンかかるし。勝手に進むし。
ん? フロントガラスの前に何かいるぞ。
なんかぼうっと青白い光が三つ、四つ…え? お、お前ら、五年前にオレが殺した。ちょっ、ちょっ、何何何…お前らが馬鹿なんじゃん! 運が悪かったんじゃん! やめろよ、恨むとか! やめてくれよ! マジ、お願いだから!
え、何どこここ?
鯨? 大きな鯨の群れ? え?
前の鯨にぶつかるーーーーーーーーーーーーっ!
ぐしゃッ ぐちゅ ゴキバキボキ ポキパキ…
まっかだなー まっかだなー つたーのはっぱがまっかだなー
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警察の事情聴取が終わると、後ろから声をかけられました。あの学食の人でした。確かカケルさんと言う名前の。
「君も事情聴取が終わったとこ?」
「そうですけど…」
「僕もそうなんだよ」
「どうしてまた」
「ん、まぁまた今度学校ででも話そうよ。僕もよくわかってないから」
カケルさんはそう言って疲れたような顔で笑いました。そして駅までの道すがら、変な事を聞いて来たんです。
「君さ、鯨って言われて思い当たる事ある?」
終わり
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これはしめじのお兄さんが書いた世にも怖い物語から始まった企画に乗っかった物語です。下記が募集要項(?)です。
《カーナビに残る、前所有者の住所》の設定だけ残して、あとは全部変えてくれてもいいよ👌 (どんどんゆるくなっていく企画設定) あなたなりの解釈を。 あなたなりのストーリーを募集致します🐵
僕が今書いたものはそれほど怖くないかもしれませんが、
しめじさんと穂音(ほのん)さんが書かれたお話はガッツリ怖いので、苦手な方は本当に要注意です(笑
↓ こちらは しめじさんが書いたオリジナル(ホラー? サイコサスペンス?)小説(全9話)。
↓ こちらが 穂音(ほのん)さんが書いた別の最終話。この物語を一番と言っていいほど怖がっていた方が、さらに恐ろしい最終話を書くという現象が起きました。人の心の複雑さを垣間見れた瞬間でした(笑
七つの子(9) : another world
ここまでお付き合い下さった皆様、誠に有り難う御座いました。
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