1億円の低カロリー【ショートショートnote杯】
ホテルの最上階にあるレストラン。往年のスターがマネージャーとこそこそ話をしている。
すっかり年老いた彼は皺は増え頭髪は減ってしまった。
「低カロリーをとらないとダメかな」
「試しに十万円の低カロリーをとってみましょうか。すぐに手配しますよ」
その会話を聞いていた支配人は気を利かせて厨房に指示を出した。
そしてスターは食後にこう思った。
「今日の料理は全体的に少し薄味だな」
彼がそう感じたのも無理はない。支配人の指示でカロリーが調整されていたのだから。
一か月後。
やはり同じレストランにてスターとマネージャーが話している。
「一度低カロリーをとってしまうとやめられなくなって、ゆくゆくは維持費が1億円くらいになるそうだから、やはり低カロリーはやめておこう」
これを聞いた支配人はあの時と同様厨房に指示を出した。
スターは食後に「味が戻って良かった」と思っていた。
ちなみにスターの世界ではアレのことを低カロリーと隠語で言うのだとか。
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