猫と花
アメリカンショートヘアのアンコロモッチは寂しがっている。なぜって、親戚中で一番仲が良い従妹のアブラダモッチとあまり会えなくなってしまったから。
最近、アブラダモッチは人間の国にお気に入りの場所が出来たようで、猫の国に戻って来る機会が減ってしまった。
「今度戻って来たら一緒に美味しいものをいっぱい食べたいな」
アンコロモッチはとても楽しみにしていた。
そして今日、久しぶりにアブラダモッチと会えて、一緒に甘味処に向かっている。
「いったいその人間のどこがいいの?」
「人間もだけど、お屋敷の佇まいが気に入ってるの。お庭や木や薬草園。それにそこに集まってる犬やカラスも好きよ」
「へえ」
アンコロモッチはピンと来なかったけれどアブラダモッチが楽しそうなのでそれ以上何も言わなかった。そしてお店でちゅーるとカリカリが沢山入った大きなパフェを仲良く一緒に食べた。
アブラダモッチが食べる姿を見て少し嬉しくなった。だって、ひげが汚れないように神経質そうに食べるのを見て、いつものアブラダモッチだと思ったから。
「小さい時はこのカリカリが苦手で、よくお母さんに食べて貰っていたな」
アンコロモッチがそう言いながらひと匙掬って食べる。
「あら、もったいないこと。でも今は食べられるのね」
アブラダモッチもひと匙食べる。
「そうそう。今は大好き。お母さんが『こんなに美味しいのに、どうして食べないのかしら』って言っていたけど、お母さんてば本当の事を言ってたんだって最近気が付いたの」
アンコロモッチがそう言うとアブラダモッチがまた楽しそうに笑った。
お腹いっぱいになった従姉妹たちはそれぞれの場所へと帰って行った。
「明日からまたしばらくアブラダモッチと会えないのかしら」そう思うとアンコロモッチは胸がチクッとなった。
「でもツルニチニチソウってどんな花かしら」さっきアブラダモッチに聞いた、笑うように揺れる花の事を想うとちょっと楽しくなった。
「人間の国か…」
「お母さん、ただいま!」
アンコロモッチは明日から元気になれそうだった。
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またまた穂音(ほのん)さんの大好きなシリーズとコラボさせて頂きました!
(このコラボの事を(あきやまやすこさん命名)ほのラジと呼んでます(笑
穂音(ほのん)さん、そして読んで頂けた皆様、
ありがとごじゃいます^^