いちじくと唇



イチジク最盛期なので
これを再掲したくて探してたのに
他のおもしろ日記が出てきたので
脱線して貼りまくってしまった
陰気なウンコを貼り出そうと思った瞬間
自分の良心がぶっ飛んだ感触を得ましたね、ハハハ

早くこの前の東京遠征の日記を書けと
じれったく思うフォロワーさん♡
ゴメンね♡♡♡
今から書くよ、寝てからね♥






日記徘徊中
「無花果」の言葉を見つける


いちじく

フと、思い出すあの光景




いちじくがどういう風に育つのかも
木じゃなくて茎成りするのも
おいしい時の見極めも知らなかった高校生のころ
私はふとしたきっかけで
遠い他県に住む
友達になった子がいた
その子の住んでいる街では
庭木にいちじくを植える家庭が多く
立派に育った枝が
道に伸びて身体に触れる

散々夜中に盛り上がり
そのまま
彼女の家に泊まった後
🌪🌪へ遊びに出るために
二人で地元の駅まで行く途中
ときおり通る車をよけるため
民家の壁近くに退避しながら
私たちはノンビリ歩いていた

昨夜の雨が
地域中をジットリと湿らせ
まるで息ができる水中を
泳ぐように掻き分けるように
ふたりで駅へ進む


また車が通る
壁側に
彼女が私の手を引く
その時、私の顔に雨と朝露でビシャビシャの
いちじくの葉が触れた
あ、

ごめんね

ううん、大丈夫



その葉の枝の元に
3つほど完熟したいちじくを見つけた
パックに入ったいちじくしか知らない私だが


これイチジクや・・・

初めて見る?

うん、この木がいちじくってことも
知らんかった

ここら辺いっぱいあるけん、
食べても気づかんよ?
 
そう言うと彼女は少しかがんで
水で滴るいちじくの実を
舌で迎えながら食べた
もう一度
残りの二つの実から
齧りかけの果実を離すように
舌で左に押しやりながらもう一度パクリ

卵ほどの大きさのそのいちじくは
軽くモグモグされた後
二口で彼女の中に収まった



皮ごと食べる人を初めて見たし
手も使わず直食べする人もはじめてみたし
他人の家のを躊躇なく食べる人も
見たことがなかった
でも
すごく綺麗だった


朝の光の中
ジットリした湿度の中
身体に残るけだるさの中
あの独特の香りの中

彼女の唇と舌が触れ
実に吸い付き
その断面からは
昨夜を思い出すような
ピンクがかった紅色が見える
50cmは離れてたのに
ズームアップされて私の記憶に残る
ふたつの紅色


朝のひとくちは一瞬だろうけど
数分間見つめていたような恍惚感
見惚れていた顔が
相手にはボーッとしていたように見えたみたい
彼女は食べた隣の二つを私に向けて
順番を譲った

庭主が気づく前にと慌てて底に齧りつく
チクチクした毛が舌や口腔に
びっしりと感じるがいちじくの味がする
彼女に習い
私も二口で収め、その場を離れた



モグモグしながら道を進む

私:初めて食べた

いちじく初めて!?

私:ううん、こうやって食べたん初めて

私もー(笑)

!?
思わず彼女を見る
てっきり常習犯だと思って
安心して大胆に食べていた
彼女はなんともない顔で前を見て歩いていた


いたずら好きな雰囲気もない
大人な感じだったのに

このドキドキが
悪いことをしたからなのか
彼女の唇と舌が迎えたいちじくを
見てしまったからなのか
わからないまま

次の話題に話が移り、
駅に着いたところでこの話は終わる。

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