
顔は人間の内面を映す鏡 ①
誰かに会ったときの第一印象は、その後の記憶に長く残るものです。
ある程度会話を交えて知り合える時間があれば別ですが、挨拶程度で別れた場合、その後の関係にも影響を与えうるでしょう。
当然患者さんからも「きついといわれるので、やさしい目、顔にしてほしい」という相談を多く受けます。
そんなとき、その人の顔のイメージをできるだけ客観的に分析し、顔全体のバランスを考え、具体的な治療の方針を提案しますが、あえて効果面から、治療の必要を再考してもらうこともあります。
顔の印象は主観的な部分も大きく、また、相手によっても変わるともいえます。あえていえば顔の相対性理論です。
実際に顔の印象とその人の性格、嗜好との間には相関関係があるのでしょうか。
最近、韓国の全南大学産業工学科の博士論文のテーマに「顔の類型別乗用車の職買評価基準に関する研究」を発表した研究者がいました。
乗用車を購入するとき、例えば四角型の顔の人は積極的でスピードを、逆三角形型の人は神経が敏感で正確なため安全性を優先するといった具合です。
また、身が尖った人は、丸い人よりプライド、名誉欲が高く、イメージや品格を、身が小さい人は、イメージより安全性を重視するそうです。
少し首をかしげるところもありますが、マーケティングにも外見や、人相学を結び付けようとするところが韓国ならではと興味深いです(この論文で博士号が取れたかどうかはわかりませんが…・・・・・)。
しかし、経験上誰でも外面的な印象と性格、性質には何かしらの関係があるのではと感じる人は多いのではないでしょうか。
人間にとって顔は、機能面での体の一部であるだけでなく、社会と関わり合う表現の場所でもあるからです。心配ごとがあったり、つらいことがあれば、自然と眉間にシワが寄りますが、繰り返していると深い癖ジワとなって顔に刻まれてしまいます。
そして、そのシワー本が顔の印象を暗くさせ、その結果、外見的印象も暗いものとなるかもしれません。
アメリカの精神科医がうつ病患者に対して、ボトックスという注射で眉間のシワの治療をしたところ、うつ状態も改善したという報告を発表しました。
私も外見の悩みが解消され、本当に嬉しそうな患者さんと接するとき、顔の重要性、そして奥深さを感じる瞬間です。