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美容外科、美容整形、形成外科…美容医療アレコレ
美容外科も内科、外科や小児科、産婦人科などと同じ医療の一分野
なぜ多くの女性たち(最近は男性も…)が美容整形に関心を抱くのでしょう?
勿論誰もがより美しく、若々しくなりたいからですが、長く専門医として診療をしてくると、何パーセントの方々に、多くの美容外科を渡り歩き、手術を繰り返しながら、むしろ本来美しくなるという目的から離れていっているのではと感じるケースに出会うこともあります。
その度に、最初にどれだけのカウンセリングが行われ、その結果本当に必要な治療が、正確な技術の元に施行されたかを考えずにはいられません。
私が、美容外科のカウンセリングで最も大切に考えているものは、診断学です。
一般的には美容外科は患者自らが診断し、望むものをおこなえば良いものだと考える人が多いでしょうし、美容治療に携わっている側もそのような認識を持っているかも知れません。
しかし、医療である以上、どんな治療でありリスクは伴いますし、何より自分のことを客観的にみることは以外と難しいのです。
幾ら本人が希望しても場合によっては必要ないという診断も大切です。
どうしても人間は気にしている部位は必要以上に拡大して解釈しますが、全体のバランスをもって見ることはなかなかできません。
さらに、医学的な知識や根拠に関しては、イメージや簡単な広告内の説明以上にはわからないものが多いでしょう。
例えば最新のレーザーという表現が書かれていても、実際レーザー自体が何であるか、そこでうたっている最新の意味や治療の原理、効果、副作用、限界までは判断しようがありません。
病気でやむなく手術や治療を受けるときに、日本で初めておこなう治療や薬であるとか、この病院だけにある機械であると聞けばむしろ不安に感じるのではないでしょうか?
しかし、美容医療の世界では、本邦初とか最新機器、この病院だけの技術などがよく伝えられます。
病気の治療でないから、大丈夫なのでしょうか?病院だから安全性など当然であると考えるでしょうか?残念ながら商業性を優先して、基本的なその点をおろそかにしている面も少なからずあるのが現実です。
美容外科も内科、外科や小児科、産婦人科などと同じ医療の一分野であり、治療対象が異なるだけで全く同じ医学なのです。
美容医学に携わる一人として
日本では美容整形という言葉が一般的かも知れませんが、正式な標榜科としては美容外科といいます。
私は形成外科の専門医ですが、美容外科は形成外科のサブスペシャリティーと考えられるでしょう。
形成外科の仕事は、病気やけが、あるいは先天的な原因で失ったもの、壊れたもの、正常でなくなった部位に対して、機能的にも外見上も正常な状態に近づける再建医学です。
一方美容外科は、醜い傷跡を目立たなくする治療は別として、健康な方がより質的に(美的に)更に上の状態を目指して行う医療分野です。
しかし、乳がんの患者さんの乳房再建術の中には保険が認められず美容外科扱いになるものがあるように、実際はその境界線も曖昧なものも多くあります。
それゆえ、質の医療としてあくまで同様の医療、形成外科の一分野としてしっかり認識される必要があります。
さらに、基本的に健康な人を扱う医学である以上、むしろ医療以上に安全性が優先されなければなりません。
健康は最も基本的な美しさの条件なのです。
何年ももつと謳ったシワ取り注射や、異物を額や頬に注入したり挿入したりする治療は、その点の安全性や効果の根拠に対する説明が曖昧であることが多いようです。
また、簡単に「痩せる」「にきびができなくなる」「ニキビ跡が消える」「バストが豊かになる」「毛が生える」「肌が白くなる」「傷あとが無くなる」テープ、クリーム、薬、注射やレーザーなど現実にはまだどんな再生医療でも実用化されていないものに対して、安易に宣伝し患者さんに勧めているものがあるようです。
効果がなければ費用は惜しいだけで済みますが、実際にそのような薬、注射で効果(変化?)が出たならばむしろ副作用の結果であるかもしれません。
しかし、反面 逆の意味で美容治療に対する偏見もあります。
一部の施設、医師がいい加減な準備や未熟な技術によって起こした失敗をもって、その治療自体が安全でない間違ったものであると判断されるものです。
商業目的のみの過大で不正確な宣伝があるのも事実ですが、興味本位で美容外科全体を色眼鏡でみる一部の報道にも問題はあります。
一方的な宣伝、うわさ、イメージ中心の情報ではなく、医学的にも正確な知識や情報を私たちが発信していく努力が大切だと考えます。
私は美容医学に携わる一人として、なるべく正確でわかりやすい情報を紹介していきたいと思います。