美容整形大国と呼ばれて
逃亡中の容疑者が美容外科手術を受けて、顔を変えていたというニュースが話題になりました。
もちろん、これは美容外科の本来の目的とは程遠く、美容医療とはいえないものです。
しかし、美容整形に関してのマスコミなどでの一般的な扱いは、いまだにやや嘲笑するような、興味本位の表現が圧倒的に多いのも事実でしょう。
特に韓国に対して“美容整形大国”と呼ぶときには、それは美容医療の水準の高さを指すものではなく、多分に、誰でも整形する国といった揶揄的表現であるような気がします。
韓国人が日本人に比べて、美容治療に対して、より積極的であるのは事実かもしれません。
そこには、外面を重要視する価値構造と、思ったことをダイレクトに表に出す言動、それが美醜に対してもそうであることなどが影響しています。
そして外見に関しても内面同様努力して得られればよしとする国民性があると思います。
しかし、日本人の男性が、「外見は重要ではなく性格である」「顔やスタイルより心が大切だ」といったとして、それを100%鵜呑みにする人はいないでしょう。
内面が重要なことは当然としても、人の心の内や内部を判断、評価することは簡単ではありませんし、少なくとも「性格が同じならきれいなほうがよい」というのが本音ではないでしょうか。
また「親から貰った体にメスを入れられない」も患や、体表上のコンプレックスで本当に悩んでいる当人にとっては、外見は関係ないという建て前のみの社会でない以上、むしろ残酷な言葉ともいえます。
美容外科、美容整形といっても現在様々な種類、技術があります。注射やレーザーによる治療も、メスを使わない低侵襲の技術としてかなりの効果が期待できるものもあり、頼できる専門医のもとでなら、むしろ怪しげな美容法や化粧品、美容機器よりも安全ともいえます。
最近、私は某大学の美容センターの講師として若い医師や学生の指導をする機会が増えましたが、まず美容医療に対する世間の、そして同じ医師の中でさえ誤解が多いことを切実に感じます。
美容医学は、それを必要とする人たちに対する“質の医療”です。それだけに適応と安全性を示さなければいけません。
美容医療観光を制度化し、国策として推進するアジア諸国の中で、韓国は美容医療をその目玉と考えています。
量ではなく質で評価される【美容先進国】であってほしいと思います。