MMT(現代貨幣理論)と為替相場についての解説
今回はリクエストもありましたが、日銀の利上げによって為替が円高に動いたことで多くの人が為替に注目が集まっているのも相まってMMTと為替相場について解説したいと思います。
まず、為替には変動相場制と固定相場制の2つがあります。MMTの最初の説明に以下のような文言があります。Wikipediaから引用します。
引用始まり
「変動相場制で自国通貨を有している国家の政府は通貨発行で支出可能なため、税収や自国通貨建ての政府債務ではなく、インフレーションを尊重した供給制約に基づく財政規律が必要であるという主張をしている」
引用終わり
自国通貨を持っていれば税収や自国通貨建ての政府債務が制約では無く、インフレが制約になるという所は理解可能だと思いますが、冒頭の変動相場制と書く理由は何か?固定相場ではダメなのか?という疑問を持つ方が多いと思います。結論から申し上げますと…
固定相場制を採っている国は貨幣的な財政制約が出て来てしまいます!
なぜそうなるのか?理屈を説明していきます。
まず、そもそも固定相場制というのは1ドル=100円と国なりが決めたらなるものではありません。商売等で互いの国の通貨を両替するので、常に為替は動きます。万が一、1ドル=100円でないと受け取れないみたいな事をされたら商売が成り立ちません。では固定相場制の国は一体何をして固定相場にしているのか?それは…
常に為替介入を行い外貨とのレートを一定に保っています!
少し前に日本の財務省が行った為替介入ですが、あれを毎度やることによりレートを一定にします。それをやるためには常に…
外貨が必要になります!
そして、そういう国はなぜ?固定相場にするかというと…
固定相場の国は輸入品に頼っている比率が非常に高いためです!
円安で感じたと思いますが(日本の物価高は為替だけで無く他国と比較して財政出動が少なかった事が主な要因)自国通貨が安くなると輸入物価が上がります。そうなると生活が苦しくなるなどの悪影響が出て来ます。なので…
相場を固定する必要があります!
そうなると常に外貨が必要になりますが、輸入に頼っているとなると…
基本的に外貨があまり持っていない事になります!
でもそれでは為替は一方的に自国通貨安になっていってしまいます。ではどうするか?それは…
外貨を借りるしかありません!
つまり外貨建て国債を発行する必要がありますが、これは本当の意味で…
国の借金になります!
日本の嘘八百のクニノシャッキンなる物とは違い純然たる借金です。この場合は…
本当に財政破綻、いわゆるデフォルトする恐れがあります!
なので、需要を刺激する財政政策が打ちづらいです。輸入に頼っているので需要を刺激した場合、ますます輸入が増え、為替を維持するためにドンドン外貨が必要になるからです。直近の例ではレバノンのデフォルトが上記の典型例です。
なので、MMTの序文に出てくる変動相場制を…という文言は…
極めて重要な文言になります!
いかがでしたでしょうか?違う理由で固定相場制を採用している国もありますが、基本的に上記の理由で理解して頂ければ良いと考えます。
最後まで読んで頂きありがとうございます😊