- 運営しているクリエイター
#ほろ酔い文学
【SS】あの痕が消えるまで(5901文字)
「首、赤いよ」
Nintendo Switchの画面から目を離さずにショータローが言った。
「え、かぶれたのかな。最近おかしいくらいあっちーし、あせもだったりして。やだなー」
あたし、キミコは内心ちょっと焦ってる。後ろめたいことがある人間は口数が多くなるというのは本当みたいだ。あたしとショータローは普段同じ部屋にいても無言でおのおの気ままに過ごしていることが多い。だから今日はあたしの口数の多さ
【SS】1キロ圏内のあなたへ。(1055文字)
会える子には会える。
会えない子には会えない。
彼女は会えるひとだった。
5秒で右スワイプして10分で約束して15分後に会うことになった。
ひとつ年上の彼女(Aと名のっていた)は顔写真の代わりに、海を見つめて立つ後ろ姿の写真を載せていた。
「姿勢良く立つ姿と文学好きなところに惹かれた」というのは彼女に送った一通目のメッセージの内容だけど、実際はそのスタイルの良さに惹かれただけだ。
(これな
イヴに独りで鯛を喰う。
※今回出てくるお店は、以前の記事でも取り上げたお店です。
12月24日、終業後の19時過ぎ。
オフィスを脱け出た俺は電飾の煌めく街を彷徨い歩いていた。
ここ最近、仕事の調子が芳しくない。本来の実力の半分も出し切れていない。窮屈な箱に押し込められ手足を満足に伸ばしきれない、そんな閉塞感にずっと付きまとわれている。
上手くやれているところも多いが、上手くやれないところも多い。上手くやれたと