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2022年6月の記事一覧
【SS】鏡の国の亜里沙(840文字)
物心がついたときから、私は鏡の国の住人だった。
私は亜里沙の写し鏡。
現実世界の亜里沙が笑えばそれに合わせて笑い、怒っていれば顔を顰めてみせた。彼女の姿を映すこと。これが私の生まれた意味だ。
幼い時から彼女を見守ってきたからか、私は彼女が愛おしくて仕方がない。笑顔が可愛い亜里沙。彼女が笑えば私も嬉しい。
でも、中学校に入った頃から亜里沙はあまり笑わなくなった。朝学校に行く前に、亜里沙は鏡の
物心がついたときから、私は鏡の国の住人だった。
私は亜里沙の写し鏡。
現実世界の亜里沙が笑えばそれに合わせて笑い、怒っていれば顔を顰めてみせた。彼女の姿を映すこと。これが私の生まれた意味だ。
幼い時から彼女を見守ってきたからか、私は彼女が愛おしくて仕方がない。笑顔が可愛い亜里沙。彼女が笑えば私も嬉しい。
でも、中学校に入った頃から亜里沙はあまり笑わなくなった。朝学校に行く前に、亜里沙は鏡の