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秋華賞 走法分析

どうも!あばたです!
今週は秋華賞。牝馬クラシック戦線の最終章となります。スターズオンアースの三冠なるか。他の馬が意地を見せるか。馬券抜きにしても楽しみなレースですね。

今回もスキ!ボタンを押していただくと、A評価の馬が見られます!

さて、今年も阪神2000mでの開催となるわけですが、このコースは本当に難しいコースなんですよね。スタートしてすぐ急坂、そして1コーナーまでが短く、ここで位置を取れる馬の走法と言うのは非常に強い傾向があります。
そして、3コーナーからの下り坂では、スピードがかなり出るためコーナリング技術が必須。終いの急坂は惰性で登れることもありますが、駆け上がるための余力を残しておく必要があり、力のある差し馬ならば十分に差し届く絶妙な設定です。先週開催では過度な馬場バイアスは発生しておりませんでしたが、雨もありましたし今週は平日は晴れが続くようですね。降雨中の開催で踏み固められた土が固まっていき、インがカチカチになる可能性もあるわけです。これは土曜日を見てみないとわかりませんが

さて、走法的なポイントは
①ピッチ・ストライドのバランスの取れた形 
②キビキビとした連動性
③局面に応じた姿勢の維持

ちなみに昨年はアカイトリノムスメを最高評価としました。

・アカイトリノムスメ
ダラッとした脚を使う印象はおそらくクビの位置の問題。頭の部分を隠してやれば、全く見劣りしない回転力と脚のノビ。クビの位置が低いのは、ディープ×アパパネ配合の決まりなのだろうか… 2歳時~桜花賞まではクッションが効かずに非常に硬い走り方をしており、エンジン性能だけで桜花賞4着という印象。オークスで一皮向け、非常に綺麗なトビとなかなかの柔軟性の好走法に代わってきた。追切映像を見る限り、さらなる大変身!という部分はなさそうだったが、オークス前に気になった右手前でのバランス感は改善されたている。ただ、さらにクビが下がったような気もするのが少し気がかり。
 アパパネの走法特徴にプラスして、ディープの血が柔軟性やバネ感を補い、距離適性を長めに出している印象を持っており、世間一般のイメージと私のイメージは結構かけ離れている。私は、1800~2000くらいが適距離と見ていて、1600や2400は守備範囲内ではあるが、この馬の一番の良さを出せる距離とは思えない。世間とのズレは美味しいオッズの源。強気にいきたい。上位評価。

当時、この馬の距離適性やコース適性は意見が割れており、母系からくるマイラー志向性を指摘する意見や、ゆったりとした動作に見える点から距離は2400mがベストだった(オークスはハマった)と言った意見で割れに割れまくっていた記憶。

クビの位置から緩慢に見える動作がポイントでしたが、背中を含めた脚捌きと連動性に芯が入っている点がポイントで、見た目以上に反応良く動けているのが印象的でした。

さて、前置きが長くなりましたが、今回の秋華賞で狙うのはやはり共通項として、身体の芯の入り方と脚さばきのバランス。一瞬のキレ味と言うよりかは、一貫して身体の使い方が整っていて安定感のある総合力の高い馬の勝ち切りを狙っていきます。

近年の入賞馬で言うと、アカイトリノムスメ、アンドヴァラナウト、マジックキャッスル、ソフトフルート、カレンブーケドールと言ったあたり。
大雑把な括りをすると、これらの馬は特大のストライドがあったり、恐ろしい回転力があるわけでは無い馬で、走法的に固有の武器が無いタイプです。他条件で惜敗・取りこぼしがあるタイプとも言えます。
マジックキャッスルやカレンブーケドールなんかは、勝ち馬がデアリングタクト・クロノジェネシスという稀代の名馬ですからね。今回はスターズオンアースがその立ち位置を取り切れるのかどうかということが一つの争点ではありますが、流石にこれほどの凄みと言うのは感じられませんし、ちょっと走法のタイプが違いますよね。
今回はまず、怪我明けのスターズオンアースを総合力で上回れる馬が居るかどうかという判断が全てになると思います。

では、個別の分析を初めていきましょう。
まずは人気の4頭について、深めにガッツリと考察して見ます。
その後残りの馬をいつものボリューム感で書き上げます。

アートハウス

オークス記事より引用
ストライドは伸びやかで前脚の上がり方はまさにスクリーンヒーローの走る産駒の特徴。クビの上げ下げは過度に大きく無く、連動して前脚が綺麗に高く上がり、力強く踏み込み・掻き込みへの流れまでほぼほぼ問題なし。後肢はタメが効いており、流れたりせずしっかりとした踏み込み。
母パールコードも特徴的な走法で、後肢の踏み込みが非常に深い。しかし前脚の上がり方が悪く、掻き込みが強すぎる節があった。これは後肢の強靭な動きに対して、クビの使い方がやや硬く、前脚の使い方との噛み合いにくさややや前傾気味で状態が起こしきれていない点が寄与していたと思われる。
父スクリーンヒーローは身体の使い方が大きく、前脚が綺麗に上がるストライド走法。
本馬の前脚の捌きは、この父の産駒(もっと言えばグラスワンダー→スクリーンヒーロー→モーリス)の特徴的な点を受け継いでおり、パワーのあるストライド走法の馬のもの。後肢の踏み込み方・動作の質をじっくり見てみるとこれは母に似ている部分が多く、非常に興味深い。身体を大きく使える反面、ピッチを効かせるような器用さはやや劣り、持続力寄りの性質。

前走ローズSでS評価(4〜5レースに1頭くらいのレア評価)
前目からスッと抜け出し、押し切っての勝ちは非常に強いものであった。さて、走法の評価だが、まずトビの高さが抑制されてきている。そもそもは後脚の踏み込みの深さと強さが際立っていて、さらに繋ぎを含めた運動がかなり剛体的なため、無駄に高く飛んでしまっていた。そのため、追ってからも回転が上がらず、ストライドの大きさを活かした惰性での粘り込みと言うのがパターンだった。しかし、前走を見る限り、この後脚の着地時の運動にしなやかさが出てきた分、踏み込んだ力は適切に分散されて前方向に向くようになり、連れて前脚が上がりすぎていたのも抑えられるようになった。追ってからクビが少し下がっていい位置に収まるようになったため、速いアガリが使えなかった点は改善傾向にある。とは言え本質までは変わっておらず、ストライドの大きいワンペース気味なタイプと言うのは変わらない。コーナリングの脚さばきについても少し外に振られる可能性が高い形のため、勝ち切るならば2〜3番手のインで被されない形がベストか。このコースの好走傾向からはやや外れてくる大トビだが、スタートさえ決めて位置を取ってしまえれば可能性はある。

評価 C

ナミュール

オークス記事より引用
ストライドは中程度〜やや大きめで、前脚は高く上がり力強い叩き付け傾向。後脚のバネの強さ、踏み込みの深さがあり、追走時から身体のアクションが大きく、クビの動きはかなり大きい。それでいて終いはピッチがしっかりと速くなり、ある程度のスピード能力を持っている。終いの脚が使えると言う点から東京向きなのは否定しないが、この馬の2ターン&距離延長への適性については懐疑的。
身体全体の上下方向の運動が大きめなタイプは距離延長の際にやや苦労することが多い。(おそらく距離を持たせるにあたり無駄の多い運動になってしまうため。)
ストライドが伸びる点は評価したいが、上記の点からパフォーマンスを上げて来るのは少し考えづらく、相対的には評価しづらい。コーナリングでも力強さのある脚捌きの反面、過度な力感があるようにも感じられる。

結果、懸念とは反して3着と好走。
なので、引用してくるのも少し恥ずかしい。
改めて見てみると、後肢の動き自体がかなり特殊なバランスで成り立っており、状態によって身体の使い方のダイナミクス自体が大きく変動するタイプの馬。
踏み込んだ瞬間、着地の際には強く反発させる硬い動きでクッションが効いていないように錯覚するが、後肢の可動域の大きさや、蹴り出しから再度の振り上げまでのところを見て、全体の運動感から感じ取られるイメージはいい意味で柔らかさのあるスムーズな運び。なんとなく全体をみると、剛性が可変で理想的なバネ感を演出しているような形。基本的にこの運動のキモとなっているのは後肢の運びの柔らかさだと思われるので、状態の良し悪しがハッキリ出やすいのであろう。
大トビのハービンジャー産駒の弱点としてありがちなのは後脚着地の瞬間の緩さ(クッションの効きすぎ感)だが、この馬にはそのようなイメージは無く、絶妙なバランスで能力を引き出せている印象。
ちなみに大トビの方に特徴の振れたハービンジャー産駒はその着地時のクッション性を活かしたグリップ緑によって小回りの適性が意外にも高く出るが、基本的にはワンペースな逃げ・先行脚質の割合が高い。本馬は小回り・内回りについては未知なところが多く、ここでフットワーク良く回って来られるかどうかと言うのは一つポイントになる。
右手前の方が力が入り豪快なフォームになりがちなところはあるので、右回りの小回りはこの馬にとってベストな条件とは言いづらいところがあるが、無難にこなせたら能力的には頭まで考えられる。
むしろ内枠から内目中団で折り合わせて立ち回る方が頭の可能性は高いかもしれない。

評価 B

スターズオンアース

オークス記事より引用
トビは高く前脚の上がり方は綺麗。かつ、地面への入り方や掻き込む動作はスムーズで難が無い。後脚の踏み込みも安定しており、ストライドは伸びやかで大きい。2歳時はトビの高さの分、走法自体に無駄な動作が多く勝ちきれない面があったが、後肢の運びが安定したことによりこの点は解消されてきた。現状は身体の使い方自体に芯が入っており、バランスの良いフォームで走れている。ストライドが大きいがクビの使い方は適切で、身体の使い方の割にはスムーズに加速してくるし、そのストライドの特徴通り長く良い脚を使うことも可能。相対的に距離が伸びることに対して不安は少なく、また右手前の方が力強さを感じるため直線の長い左回りのコースは絶好舞台。力を出してきたら順当に上位に来る。

しなやかに伸びるストライドの綺麗な走法。総合的に見て難点が少なく、柔軟性・踏み込みの強さともにハイレベル。桜花賞・オークスで勝ち切ったのは、1レベル上の走法良化があった点が大きい。元々は手前変えの際の動作があまり器用では無く荒削りなところもあったが、その辺りは現状ハイレベルにこなしている。1サイクル以上の不正襲歩が挟まるが、癖のようなもので悪さをしている感じはない。
終いは右手前の方がやや伸びやかな感じがあり、左回りの方がいくらか自然だが大差はない。コーナリングは並以上で取り立てて気にするところもない。前脚の着地位置がかなり身体から遠いタイプなため、外外を回るのだけはやや不安か。
インを選択した際に、フォームは大きいが馬群をこじ開ける根性があり、G1でそれが出来ている点も大きい。
ただ、このコースを走るにはいささかフォームが雄大すぎるか。追走時の機動力の観点で、位置取りを意識するとテンは少し頑張って走らないといけない。休み明けでの息の入り方など諸々考えると楽観視ができないコースであることは確かなところ。個人的にはここの1点張りで頭からは外していく予定。

重箱の隅だがまとめると、
・手術明けぶっつけ本番
・コーナー外を回った時の走法不安(の可能性)
・インを選んだ場合の進路不安(可能性)
・綺麗な大トビ・前脚の柔軟性。ゆったりと身体を使いたい馬にとって鬼門の1角までの椅子取りゲーム。

これをオッズと天秤にかけての選択になるのでは

評価 B

スタニングローズ

オークス記事より引用
ストライドはやや伸びやかさに欠け、小さめ〜中程度も脚の上がり方や伸び方は上々。叩き・掻き込み傾向はやや強く、スピードに乗った時にクビが下がりやや突っ込みがちになるが、まだ許容範囲でかなり良くなってきた方。追走時の身体の使い方は型にハマってカチッとした感じ。安定感はそこそこあり、評価できる。終いは回転優位で徐々にストライドも伸ばして行くが、捌き自体はやや硬く距離の融通が効くかどうかと言うとあまりいいイメージはない。

良化を見逃してしまい痛恨となったオークス。

新潟2歳Sの際に初めてこの馬の走法をじっくりみたが、その際の第一印象は硬くてアンバランスな馬。ストライドが伸びたりない感じも、四肢の強度が十分な力任せのピッチ走法。その後も出るたびに硬い・ぎこちないとの評価を繰り返してきた。

今振り返って見てみると、フラワーCの時点では気にしていた重心のバランスが良くなり、全体の姿勢が綺麗に起きていて、前脚の出がスムーズになっている。
厳密に言うと、前脚の上がり方自体は大きく変わっては居ない。では、なぜ出がスムーズになった印象を受けたのかと言うと、後脚の着地時クッションがあまり効かないタイプで、身体全体の連動性を担保するのが難しかったのが改善されたためだと考えている。
後脚の着地→背腰→クビ→前肢の一連の流れ(表記上流れにして書いたが、実際は練成系で、単純な流れでは無い。イメージだけ)の上で、着地時にクッションが効かない馬はどこかにぎこちないポイントが発生しやすい。このぎこちなさを消すためには後脚以外の身体の部分の連動性でバランスをとる必要があり、当然ながら制御するための筋力の要求量は増えると思われる。
"ぎこちなさ"がどこに影響するかというと、トビの高さのバラツキだったり、クビの不安定感などが良くある例だが、比較的この馬は2歳時から、クッションの効かなさの割にピッチが安定していたのが強みで、元々身体に一本ビシッと芯の通った強度が備わっていると考えるのが自然だと思う。それでもやはり硬さが同居していたせいで、全体運動に伸びやかさを欠いていたのだが、しなやかな筋力の発達によって今はとてもスムーズな動作となっている。

とっ散らかってしまったので纏めてみる

2歳時
①捌きに強度があり、身体の使い方も芯が入って強い
②剛体的な後脚の使い方と着地時のクッションが効かない
③身体全体の使い方は硬め
→身体の硬さ・強さを活かしたピッチ優位なパワー走法
 全身の連動性と伸びやかさに課題あり

現在
①捌きに強度があり、身体の使い方も芯が入って強い
②後脚の運びは改善され硬さは解消。
 着地時のクッションはあまり効かない
③姿勢が起き、前肢の運びはしなやか
 クビの使い方は改善
→③要素によって、後脚クッション難を制御しつつ、全身の連動性を担保。
 長所として①が前面に出てくる形。

2歳時は硬さのあるぎこちない走法
現在は、強度を活かしてスピードを得る好走法
要素一つ一つを見れば紙一重だが、全体からくるイメージとしては大差。

紫苑Sの評価は割れるところでは。
サウンドビバーチェを早めに捉えながらも交わすまで時間がかかり小差の1着。
能力的に足りないと言う評価が出てくるのも理解できる。
ただ、走法自体がかなり緩さを感じるもので、ネジが締まり切っておらず、この馬特有のガッチリとした強度が無かった点を考えると、まったくの前哨戦仕上げだったとも考えられる。(そもそも私は勝ち切るとは思わなかった…)

さて、長くなったが、ある程度のストライドを得ることができながらも、追走時に身体の使い方が安定しているこの手のタイプは阪神2000mの条件はドンピシャでは。東京の広い直線での力比べになればそりゃスターズオンアースのような雄大なフットワークの馬に軍配が上がるだろうし、オークスは単純な力負けというよりは適性差だと思う。
順調にステップを踏んできたこの馬の逆転があってもおかしく無い。

評価 A

その他の馬についてはいつもの感じで書き上げます。ここから!

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