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首里城の今⑭【2023年7月】

2023年7月7日、首里城に行ってきました。
約2か月ぶりの首里城。素屋根が完成したようで、素屋根の建物を覆うカバーが取り外されていました。
木材加工所の原寸場の見学エリアでは、作業中の職人さんの姿を見ることもできました。

奉神門から

奉神門から御庭。2023年7月7日撮影。

定点観測用に撮影。2022年12月からそれほど変化はありませんが…。

原寸場の見学デッキから

2023年7月7日は唐破風の原寸図をつくる作業をしていました。

原寸場では設計図をもとに実際の大きさで図面を描く作業が行われています。ここでつくられた原寸図をもとに正殿に使われる木材が加工されるそうです。

作業が見学できるのは平日のみ。
復興の工事は長丁場。暑い日が続きますし、職人さんもしっかり休んで頑張ってほしいです。

パソコンを見ながらペンやものさしなどを使って作業中。

ガラスごしに見られながらお仕事するのは、大変だろうな…。
見学できるのはうれしいけど「お邪魔してすみません」という気持ちにもなります。写真を1枚、失礼します。

パソコンが普及してデジタル化が進んでも、最後はペンや定規をつかった手作業が頼りなんですね。

見ていると20~30代くらい?の若い職人さんが多い印象を受けました。
技術の継承の場にもなっているのかもしれません。

東のアザナから

2023年7月7日撮影。素屋根が完成していました。

正殿をすっぽり覆う素屋根が完成していました。
写真中央の体育館のような大きな建物が素屋根です。素屋根の中で正殿の工事が進められます。
この記事を書いていると、7月10日に正殿の柱を支える「礎石」の搬入が始まったというニュースを目にしました。9月には柱などを組み立てる工事が始まるそうです。

風が抜ける京の内

木々が涼しげな影をつくる「京の内」。平成の復興から約30年。やっと往時の姿を取り戻しつつあるのかも。

梅雨明けした沖縄は暑い日が続いています。この日も30度超えの暑さ。
木陰で涼を取ろうと木々が茂る「京の内」へ行ってみました。
風があると、日陰はわりと涼しく感じます。初夏に吹く「夏至東風(かーちーべー)」が木々を抜ける音が潮騒のように聞こえました。

京の内は下之御庭の南側にある壁の向こう側に広がる空間で、系図座の向かい側に入口があります。首里城のあちらこちらには王家の繁栄や五穀豊穣、航海安全を祈る場「御嶽(うたき)」があり、その中でも重要とされる御嶽が京の内にはあったそうです。

入口から京の内に入ると、大きな木の枝を使って地面の落ち葉を掃き掃除している年配の男性がいて「京の内には4つ御嶽がありますよ」と教えてくれました。京の内の御嶽は石垣で囲まれてはいますが、木々が茂っているだけで祭られているものはない不思議な空間です。

今では森のようになっている京の内ですが、戦争で焼けたうえ、戦後は首里城に琉球大学がつくられたため、1992年の平成の復元までは何もない状態だったと聞いたことがあります。
京の内にどのような植物が植えられていたかについては不明な点が多く、平成の復元の際に戦前の首里城を知る地元の方たちにも話を聞きながら京の内の植栽を行ったと案内板にはありました。平成の復元から30年たって、京の内は王国時代の姿を取り戻しつつあるのかもしれません。

首里城には十嶽(とたけ)と呼ばれる10の御嶽があるとされますが、10か所の御嶽という意味ではなく「たくさんの御嶽」という説もあるそうです。
首里城は政治の場、外交の場、王の居城というほかに「祈りの場」でもあったという点が県外のお城との違い、首里城の特徴の一つだと思います。


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