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大石泉ちゃんの友情はスポーツなのか

 HERO氏が描いた『レンタルフレンド』という漫画があります。主人公の相内さんは友達が欲しいのですがなかなか友人が作れず、お金を払って限られた時間の中だけは友達として振る舞ってくれる人をレンタルするレンタルフレンドというサービスを利用することになります。そこで出会ったレンタルフレンドと関わっていくうちに相内さんは友達についていろいろ考えていき、最終的にはレンタル抜きの友達を作ることになります。
 相内さんとレンタルフレンドの付き合いかたを見ていると、それがスポーツのように感じられます。レンタルフレンドと共に行動するのには制限時間があり、その時間内は親しい友達であるかのように振る舞うというルールがあります。試合が始まって、限られた時間帯の中でプレーして、その結果として充実感を得るという構図はスポーツと同じです。




 大石泉という女の子は友達を大切にする女の子です。周囲に困っている人がいるとサポートに尽力します。泉もまた自分にルールを課しているのかもしれません。「誰かがなにかを欲しがっている→だったら私がそれを与える」という感じで、他人の困難に誘発される形で泉は他人を助けます。

 けれども友達や仲間を気遣い、信頼して生きていくのは面倒くさいところもあります。なぜならその友達や仲間も意識を持っていて、スポーツのように常に一定のルールの下で振る舞っているわけではないからです。機嫌が悪いときもあれば過度に元気なときもあります。仲が良い他人のふとした言動で自分が不快な気持ちになることもあります。レンタルフレンドのようにコストを支払えば仲良く接してくれる、とはいきません。


 大石泉は誰に対しても優しいお姉さんです。献身的に接してくれます。泉が他のアイドルと幾つものユニットを組んでいるのも優しさゆえと言えるのではないでしょうか(特に「花粉には勝たん…」とか)。その優しさの源になっているのは「他人を大切にすべき」という泉自身が持つルールでしょう。そしてそのルールを改良していくのが泉の課題だと思います。現実にはそれぞれの考え方で振る舞う他人がたくさんいます。スポーツのようにそれぞれひとつのルールだけが稼働しているわけではありません。そのときルールとルールが干渉し合う中で、他人と対話することができれば、他人のルールを知ることができます。他人から見て自分のルールはどんな感じなのだろうと考えることもできます。決まった答え、結論がないからこそルールはずっと先まで改良することができます。

 自身の優しさや友情のルールが変動することを恐れずに他者に接すること、その上で他者を尊重し、いい意味で他人から影響を受けて前進していくこと。いわば決められたルール下で振る舞うスポーツ型友情からいろんなルールを持った他者と関わることで自分を高め相手も高める対話型友情へ移行すること、それができれば泉はステップアップできると思います。大石泉の魅力はたくさんあるのですが、強く印象に残るのは他者に対していつもフレンドリーに接する態度です。他の人間と仲良しになると同時に自分の考え方もアップデートしていくこと、それができれば、大石泉はより良いアイドルになれますし、我々もそうした泉から学ぶことがたくさんあるでしょう。

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