多田李衣菜ちゃんの通り道
多田李衣菜ちゃんと言えばロックという単語が浮かんできます。しかしそのロックはどのようなロックなのでしょうか? 李衣菜ちゃんはエレキギターがうなるロック調の楽曲を手がけたいのでしょうか。プログレに走るのでしょうか? おそらく李衣菜ちゃんが(自覚があるのかどうかはわからないけれども)指向しているのは音楽のジャンルのひとつのロックではなく、体制やメインストリームに抵抗するというロック的な「考え方」だと思います。運動性は高くとも装甲の薄い機体で白兵戦を挑んだり、ジオン軍なのにガンダムを装備したり、楽をしたいと思わずレーザーヤークトのような危険な任務に挑む、といった周囲の世界に対して抵抗するロック。ブルーハーツの歌を聴けばすぐわかるように、ロックとははみ出し者が大いなる者にカウンターを仕掛け、いまここにある現実を変えていこうという考え方です。何者にも成れない女の子が既存のシステムに抵抗して、成長していく。それが李衣菜ちゃんが通っているロックなアイドルという道です。こうしたオルタナティヴな道を行く女の子を生み出せたモバマスというコンテンツは素晴らしいと思います。しかしモバマスのサービス終了までに李衣菜ちゃんが完成されたロックなアイドルに成れる可能性は低いでしょう。サービス終了後のアイドル達の姿は各プロデューサーの妄想で補え! という強烈な神託が下されるのかもしれません。