ボーカリスト燈の成長からみたMyGO!!!!! (1)
MyGO!!!!!はストーリーも良いが音楽も良い。特に、羊宮さんのボーカルとそれをもり立てるギター等の演奏は目を見張るものがあるので思いつくままに語ってみる。
3話 春日影(Crychicバージョン)
このときのボーカルは、あどけなさが残り力強さには欠けるが、母性本能をくすぐる儚さと愛おしさが感じられる。
特に、歌い上げるというよりは「語り」を感じさせるボーカルが効果的。サビの「熱く熱く」のフレーズをやや抑え気味にし、「君の~手は」「どお~して」の音を伸ばすところも、力強さよりは切なさが感じられる。手を話すと壊れてしまいそうな儚さと美しさが、このボーカルにはある。
ボーカリストとして歩み始めたばかりで、それでも人の心に訴える力をしっかり感じさせるという燈の特徴が見事に表現されている。キーボードの可憐な響きもこのボーカルにぴったりで、「この時、この瞬間の燈」のためにカスタムアレンジされている。
ただ、睦という凄腕のギタリストがいながら、ギターが不自然なまでに目立たないのは、何か理由がありそう。ギターに比較して、ベースとドラムの音圧が高めに設定されているように思うんだけど、これ、気のせいではないよなぁ。まあ、この時点での燈のボーカルは。この時点ではまだ力強さに欠ける面もあるので、ボーカルを立てるようギター等の音量を絞っている、と考えることもできる。実際、「暗がりの中一方通行~」になってやっとギターとベースが入ってくるので、ボーカルを目立たせるという意図はありそう。睦だけは燈から目をそらすシーンがあるのも示唆的。
あの皆で集まった幸せなカラオケ後に燈が初めて意識して「歌詞」を書いた、というのもポイント。その歌詞を読んだ祥子が一見して「私達の曲」と涙したのも良くわかる。また、歌詞には、特に燈から祥子への想いがあふれている。
特に、「咲き誇る大切な人」のフレーズには、光のように優しく暖かく手をさしのべてくれた「さき」子への、燈からの愛と感謝が溢れている。やろうと思えば、例えば「そよ風の中、睦まじき友と育てたきぼうがあふれる」のように、いくらでも他のメンバーの名前を入れることもできたはず。それをしなかったことは、祥子への想いが圧倒的に大きいという証だろう。
ちなみに、眩しく、優しく、美しく、温かいあのカラオケで睦が歌った「もう一度ルミナス」の歌詞、「今はまだ弱いままでも光はそこに燈っているから」というのも見事にはまっているよなぁ。