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Phantom Blade Zero (ファントムブレイドゼロ) TGS2024 試遊感想&アクション考察

Phantom Blade ZeroはS-Gameの新作アクションゲーム。
対応機種はPS5、PC。発売時期は未定。
東京ゲームショウ2024にて本作の試遊が出来たので、ゲームプレイの感想と本作のアクションについての考察を書いてみました。
約10分ほどの試遊時間であったため、見落とし、勘違い、早合点が含まれている可能性があることにご注意下さい。



操作説明

試遊時に貰える紙に書いてある操作説明

一般的な近年のアクションゲームといった感じ。弱攻撃と強攻撃を組み合わせてのコンボ、武器を切り替えながら攻撃。R2で遠距離特殊攻撃、R2で奥義。敵の攻撃はガード、ジャストガード、回避、ジャスト回避で凌ぐというシステム。アクションゲームを普段やっている人ならばすぐに馴染めるだろう。
アイテム使用は十字ボタンの下、回避はR1にアサインされているのでここは人によっては違和感を覚えるかもしれない。

普段筆者は新しくアクションゲームを始める時には各攻撃モーションの長さや後隙、回避やガードのキャンセル性能、コンボのディレイ入力がどれだけ効いてどれくらいでリセットされるのか、回避モーション等で移動出来る距離感などを動かしまくって必ず確かめるのだが、今回は興奮のあまり、そういったテストをするのを全て忘れる大失態を犯してしまった…
なので、これ以降の分析は全て実戦中に感じた内容がベースになっている。大変申し訳ない。

探索、収集要素

TGSの試遊版では戦闘に関するチュートリアル、雑魚敵と複数戦、ボス三体との連戦といった内容で、宝箱を開けたり、落ちているアイテムを拾ったりといった探索要素は無く、アクションに寄った内容であったが、開発曰く、製品版ではそういった要素は盛り込んであるとのこと。
実際に主人公の武装はボスを倒すと増えていくようで、トレーラーに出てきたボスの装備を試遊版では使用することが出来た。
本作はDMCのように武器を切り替えながら、スムーズに攻撃し続けられる要素が存在しているので、武器種が増えると自由度の高い攻め方ができるだろう。
今回の試遊では武器ごとの特性の違いを把握するまでの時間はなかったので、製品版で要検証。

他作品との類似点 ソウルライク?SEKIROライク?

開発陣は本作に影響を与えた作品として「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」、「SIFU」、「Bloodborne」の3作品を挙げている。
筆者はMETAL GEAR RISING REVENGEANCEは未プレイであるが、他の2作品についてはトロコンする程度にはやりこんでいるので、どういった部分が本作に影響を与えているのかを考察していく。

「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」
2013年発売のメタルギアシリーズの外伝作品。開発はプラチナゲームズが担当する。
MGS本編とは違いゴリゴリのアクションゲーム。
「SIFU」
2021年発売のインディーアクションゲーム。
独特なゲームオーバーシステムが特徴。
現在実写映画化の企画が進行中。
「Bloodborne」
2015年発売のアクションゲーム。
SCEとフロムソフトウェアのコンビで製作された。
対応機種はPS4のみであり、フレームレート制限がかかっていることもあってか、リマスターやリメイクが熱望されている。

まずSIFUが与えた影響は敵が行うプレイヤーからの攻撃の対処方法
SIFUのボスはニュートラルの状態中に攻撃を仕掛けても、こちらの攻撃をガードしてくるし、距離を取って回避するというより身体を捻ったスウェーのような最小限の動きで躱すので、攻撃の後隙を適切に狙わないと攻撃がとにかく外れるのである。防御してくるというより、「受け流してくる」、「いなしてくる」という表現の方が適切。
ラスボスはこの特徴が特に顕著であり、モーション観察が必須の難敵。
本作にはSIFUのこのテイストがかなり色濃くなって反映されていると感じた。
多くのアクションゲームの敵はこちらが攻撃したら条件を満たさないと怯みこそしないが、ちゃんと攻撃を喰らってくれるのである。だからこそ相手の攻撃をこちらが喰らうタイミングに無理やり攻撃をねじ込み、相打ちになっても敵のHPは減るし、回復を使ってミスを帳消しにし、攻撃を通し続けていつかは勝つ戦法、所謂ゴリ押しが通用する。
筆者と一緒にTGSに参加したアクションゲームの腕前は人並みくらいの友人はこの感覚を「全然攻撃が当たらなくて手応えが無い」と表現していた。
本作にはSEKIROでいう体幹ゲージのようなシステムが存在し、これを削りきれば無防備に出来るので、攻撃をいなされてもちゃんとプレイヤーに利があるようにはなっているのだが、時間経過で回復するので攻めが甘ければずっと空振りするはめになる。
1~2回くらいなら攻撃は当たるが被弾モーションは殆ど取らずに、すぐさまこちらの攻撃に対処してくるのだ。

体幹ゲージの存在、剣戟アクション、ダークな雰囲気、パリィの存在とこれだけ並べると本作はSEKIROライクと言えるかもしれないが、それで終わらせてはつまらないので、本noteでは更に掘り下げる。
結論としてSEKIROとPhantom Blade Zeroでは攻防の入れ替わりのプロセスが違うので、プレイフィールは大きく異なると言える。
SEKIROの面白さを語る上で「弾き」はやはり欠かせない要素であるが、もう一つ重要な要素として「弾かれ」がある。
狼が敵の攻撃を弾くように、敵も狼の攻撃を弾いてくるわけである。
弾かれるとどうなるかというと、隙を晒してしまい攻撃を喰らってしまう…のではなく、狼のモーション状況がリセットされ、最速で「弾き」、「回避」、「攻撃」の三択を選び直せる状況に戻るのだ。
これによって攻防が激しく入れ替わり、SEKIROはあの素晴らしい剣戟アクションを実現している。
SEKIROは他のフロム作品に比べるとゲームスピードは速めであるが、他作品同様にキャンセル性能は最低限のものであり、アクションの自由度自体はあまり無いのだが、「弾かれ」によってこれを解決しているわけだ。
対して、Phantom Blade Zeroには弾かれのような物は無い。
敵の攻撃に潰されなければ主人公の攻撃はモーション終わりまでしっかり実行される。当然後隙もそのままな無防備な状態になるので、タイミングを間違えればそのまま被弾しかねない。
では「後隙を突く以外にこちらの攻撃を通す方法は無いのか?」というとそれも違う。
前述したジャストガードとジャスト回避がここで重要になってくる。
本作の敵は通常攻撃の他に、赤く光る防御不能攻撃と青く光るこちらの体幹を大きく削る攻撃を仕掛けてくる。
この二つの特殊攻撃に適切なジャスト入力を入れると「幽歩」という敵の背後に回り込む専用アクションに派生する。これで背後を取った状態ならば、こちらの攻撃はガンガン通るのである。
幽歩をどれだけ成功させられるかが、強敵との闘いでは重要になってくるだろう。

この独特な「敵が行うプレイヤーからの攻撃の対処方法」は人によって大きく評価が分かれそうな感じがする。
しかしこの要素を好意的に評価すれば、敵のモーションを観察して分析し、自分のプレイングに取り入れていくアクションゲームの面白さの根源的な部分をダイレクトに刺激してくる要素と言える。
この要素は他人のゲームプレイ映像を見ているだけでは筆者は気付けなかった。本作はプレイヤーキャラも敵キャラもモーションのクオリティがとても高いので、つい魅入ってしまってそういう分析が疎かになってしまう。

次に「Bloodborne」だが、これは「前に出て攻め続けるリターンの大きさ」だろう。ゲームスピードも同じく速め。
Bloodborneではデモンズ、ダクソにあった盾ガードが無い代わりに回避モーションが速めで無敵時間も長い。特に前ステップは移動距離も優秀な強モーションであった。
Phantom Blade Zeroでも前ステは強い。そしてPhantom Blade Zeroはスタミナ制のアクションゲームでは無いため、プレイヤーが適切な操作さえすれば、ゼロ距離を維持し続けられる。
上述した幽歩がダメージを与える上で重要な要素なので、体幹を削られていたり、体力が少ない時以外には距離を取るメリットは薄く、むしろ敵の体幹が回復してしまうデメリットが勝る印象。
遠距離攻撃も存在するが、乱戦時はともかくボス戦では使うタイミングをしっかり考える必要がありそうだ。

開発陣は「もう一つのソウルライクを作る計画は無かった」、「マップの構造などにはヒントを得たが、類似点はそれだけ」という旨の発言をしており、実際に遊んでみてそう感じた。
他にもアクション以外の部分はフロム作品との類似点はあるのだろうが、「ソウルライク、SEKIROライクなアクションゲームか?」と聞かれると答えはNOである。

難易度

本作は難易度選択が可能であることが明言されている。
低難易度と高難易度がどれだけ乖離しているかは不明であるが、遊びやすいと言えそうである。
筆者は未確認だが、難易度によってモーションや攻撃パターンが変化するらしいので、腕に自信のあるプレイヤーは高難易度の方がより面白くなるのではないだろうか?
試遊版にも難易度選択が存在していたらしいが、筆者がプレイする時はセッティングは全てスタッフさんが行ってくれてので、どの難易度で遊んだのかは不明。

気になった点、余談

ターゲットをロックオンする際にR3を押すのだが、試遊用のパッドの影響か反応が悪く、スムーズにロック出来ない場面があった。
ハードの問題か仕様の問題かは不明だが、本作の遠距離攻撃はエイムではなく、ロックオン対象に自動で飛んでいくため、ロックオンがしやすいと助かる。

本作は中国のスタジオで開発されており、原語は中国語なのだろうが、試遊版の時点で日本語字幕&日本語音声に対応していた。
日本人ゲーマーには朗報である。

総括

率直に言ってかなり面白かった。
仮に今体験版がリリースされていたとしたら、最高難易度で全ボスのノーダメメージ撃破に挑戦していたレベル。
近年中国、韓国といった日本以外のアジア圏のゲームはメキメキと頭角と現してきており、その中にはアクション要素が強い作品も数多くある。Phantom Blade Zeroもその系譜のアクションゲームと言えるが、自分の知る中では群を抜いてクオリティが高い。
開発陣は発売にはまだまだ時間がかかりそうという旨の発言をしているのが非常に残念ではあるが、じっくり仕上げてから製品版をリリースして欲しい。


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