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いわて&あきたホリデーパスで日帰り乗り鉄旅(北上線・秋田内陸線・花輪線)

 今回はいつもの徒歩旅の記事とは雰囲気を変えて、乗り鉄旅に挑戦した記録を記事にしてみます。
 私は、鉄道オタクを名乗れるほどの鉄道趣味はありませんが、これまでみちのく潮風トレイルをセクションハイクしてきて、気仙沼線BRTや大船渡線・釜石線といった三陸海岸に向かう東北地方のローカル線に何回も乗車して、すっかり鉄道旅もおなじみになっていました。しかし、海岸方面に向かうローカル線には毎度乗っている一方で、内陸部に向かう北上線や花輪線といったローカル線には乗車する機会が無く、新幹線の車内でそれらの路線への乗換案内を聞いては旅情を募らせるばかりでした。
 そこで、これらローカル線に乗車してみようと思い立ち、時刻表を手繰ってみたところ、北上線・秋田内陸縦貫鉄道・花輪線の3つのローカル線に一日で乗車できる効率の良い手段を見つけ、思い立ったが吉日と出かけることにしました。
 というわけで、乗り鉄旅の始まりです。

使用する切符

 今回は、「いわてホリデーパス」と「あきたホリデーパス」という2枚のフリーきっぷを利用して移動します。
 最近、青春18きっぷの制度がこの冬から変更されることが鉄道ファンの間で大きな波紋を呼んでいました。私も移動には青春18きっぷを使うことが多く、今回乗車する北上線などにもいずれ青春18きっぷで乗ろうかとも思っていたのですが、今後は青春18きっぷで移動する機会は大幅に減りそうです。
 そこで今回は青春18きっぷに似たフリーきっぷ、いわてホリデーパスとあきたホリデーパスの2枚の切符を使います。いずれのフリーきっぷも青春18きっぷでは乗れない第三セクター鉄道に乗車でき、今回のルートであれば、この2枚の切符を使えば正規運賃で乗車するよりも若干お得になる計算です。ちなみに、どちらの切符もデジタル版が販売されておりスマホで買えますが、記念に手元に切符を残しておきたいので敢えて紙の切符を選びました。
 なお、いわてホリデーパス・あきたホリデーパスはその名の通り土休日しか使えない切符です。また、いわてホリデーパスは通年発売されていますが、あきたホリデーパスは今年の秋・冬だけの期間限定発売なのでご注意を。

いわてホリデーパス&あきたホリデーパス

北上線快速:北上→横手

 やまびこ51号は東京駅を朝一番に出発する新幹線で、いつ乗っても混雑しているのですが、乗客の大半は仙台で降ります。
 北上駅で新幹線を降り、券売機でいわてホリデーパスを購入した後、本日最初のローカル線、北上線快速横手行きに乗り換えます。北上駅の0番線から発車する気動車は東北地方でよく見かける白地に緑の帯の列車で、1両編成なので立ち客も出る程度に混雑していました。乗客は地元の人と鉄道ファンが半々といったところでしょうか。

0番線
北上線の本数はかなり少ない

 北上線沿線には、ゆだ錦秋湖というダム湖があります。晩秋のゆだ錦秋湖は水量が少なく、紅葉はピークを過ぎていましたが、途中の拠点駅ほっとゆだ駅には温泉もあり、観光客らしき多くの乗降があって乗客が入れ替わりました。ローカル線が旅行者の足として活躍している姿を見ると安心します。
 北上線のうちいわてホリデーパスが使えるのはほっとゆだ駅まで。ほっとゆだ駅~横手駅間は通常の切符を購入する必要があります。最近、東北地方では「えきねっとQチケ」というサービスが使えるようになりました。えきねっとアプリ上で切符を購入でき、表示されるQRチケットをかざせば自動改札も通ることができるという優れものです。窓口の駅員さんや車掌さんの手を煩わせることなくスマホ上で完結できるので、どこもかしこも人手不足の時代、こういう手段は積極的に使いましょう。

奥羽本線:横手→大曲

 横手市の人口は約10万人、秋田県では秋田市に次ぐ第二位の人口を擁する意外と大きな街です。横手駅から歩いすぐのところには国道のバイパスがあり、スターバックスやマクドナルドなどロードサイド型の店舗が集まっています。スターバックスのモバイルオーダーで買ったコーヒーを手に駅へ戻り、あきたホリデーパスを購入。
 奥羽本線普通秋田行は2両編成のワンマンカー。ここから大館まではずっと、あきたホリデーパスのフリーエリア内を移動することになります。

立派な横手駅
ピンク色の帯の電車

こまち24号:大曲→角館

 大曲駅の改札に、この夏の大雨で不通になっている鉄道区間の一覧が貼ってあります。近年は災害が激甚化し、毎年どこかで鉄道が不通になるのが風物詩のようになってしまっています。中には災害で不通になったまま廃線が議論されている路線もあり…、ローカル線には乗れるうちに乗っておかないと、いつ無くなってしまうかわかりません。

不通区間の一覧

 NewDaysで大館駅の名物駅弁「鶏めし」が売っているのを見つけたので、昼食にしました。

鶏めし

 大曲駅から盛岡方面に向かう田沢湖線は本数が少なく、ちょうどいい時間の乗り継ぎがありません。秋田新幹線であれば1時間に1本は運転されていて、特急券を買えばあきたホリデーパスでも乗ることができます。
 秋田新幹線こまちは全車指定席ですが、秋田〜盛岡間は特定特急券を買えば指定席の空いている席に座ることができるという特例があります。角館まで一駅の特定特急券を購入し、こまち24号東京行きに乗車します。
 大曲駅の新幹線ホームは行き止まりの構造。子供の頃、電車でGoで秋田新幹線を運転してはここの車止めにわざと激突するという悪趣味な遊び方をしていたのを思い出します。

車止めにぶつかってはいけません
鮮やかなこまちの車体

角館武家屋敷を散策

 角館で乗り継ぎ時間が1時間ほどあったので、角館武家屋敷を散策しました。紅葉の見頃は終わりかけの時期ですが、外国の方を含めて大勢の観光客で賑わっていました。

見事なカエデ
歴史を感じる武家屋敷のお庭

 角館駅から角館の武家屋敷までは1kmほど離れており、駅から15分ほど歩きます。私は歩き慣れているので大した距離ではありませんが、高齢の方にはちょっと厳しい距離かもしれません。
 戊辰戦争の戦禍を免れ、明治の近代化の影響も小さかった城下町の街並みが保存されている角館。いくつかの武家屋敷は中に立ち入って見学できるようになっていて見どころは多く、乗り継ぎの1時間程度では全て見て回ることは不可能でした。いつか時間のある時に、ゆっくり再訪したいですね。桜の名所としても知られる角館、春にはもっと多くの観光客で賑わうことでしょう。

秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線:角館→鷹巣

 角館駅に戻る頃には次に乗る秋田内陸線の発車間際になっていました。急いで発車間際の3両編成の列車に乗り込もうとすると、1両目は団体貸切車両なので乗車できませんと案内されます。2両目に乗り込んでびっくり、秋田内陸線の車内は台湾の方でほぼ満員の混雑でした(なんとか空席に座れましたが)。紅葉の山の標高の高い部分にだけ雪が積もっており、台湾の方たちは景色に歓声をあげていました。台湾人にとって紅葉や雪景色はきっと珍しい景色なのでしょう。

秋田内陸線は3両編成(うち1両は貸切)
混雑する車内に中国語が響く
紅葉の山はうっすら雪化粧

 台湾の皆さんは角館駅から5駅目の松葉駅で降りて行きました。車内に残った日本人が、ホームに降り立った台湾人に向かって手を振ってお見送り。
 台湾人の集団が降りても、車内にはそれなりに乗客が残っています。途中の阿仁合駅で最後尾の3両目を切り離すので3両目の乗客が2両目に移動してきて、車内はまた混雑してきました。車内の乗客はほとんど観光客のようですが、秋田内陸線が観光客を呼び込む観光資源として機能していることを感じ嬉しくなります。1両目の貸切車両に乗っている団体客は終点の鷹巣まで乗り通しました。彼らは今夜どこかの温泉にでも宿泊するのでしょうか。

この辺りはマタギの里として知られています
阿仁合駅で対向列車と行き違い
秋田内陸線も本数は少ない
乗車記念のキーホルダー

奥羽本線:鷹ノ巣→大館

 秋田内陸線の駅は鷹巣駅、奥羽本線の駅は鷹ノ巣駅と微妙に表記が異なります。再びピンク色の電車に乗り、大館駅へ。秋田内陸線にあれだけ乗っていた観光客はどこへ行ってしまったのか、奥羽本線弘前行きに乗り継いだ乗客は私のほかは鉄道ファン風の男性ひとりだけでした。

奥羽本線も本数は多くない

花輪線:大館→盛岡

 今日の最終走者は花輪線。再びいわてホリデーパスに切符を持ち変えて改札を通ります。
 花輪線は大館から盛岡まで3時間もかかる長閑なローカル線です。すっかり日が暮れて景色を楽しむことはできませんので、さすがにこの列車は観光客の姿はほとんどありません。車内でのんびりと読書をして過ごします。
 花輪線は2両編成ながらワンマン運転ではなく、車掌さんが乗車していました。そういえば去年宮古からの帰りに乗った山田線も1両編成なのにワンマン運転ではありませんでした。
 列車は十和田南駅でスイッチバックし、進行方向を変えて進んでいきます。

花輪線盛岡行は2両編成

 花輪線は終点の好摩駅からはIGRいわて銀河鉄道に乗り入れて盛岡駅まで向かいます。そのため花輪線に全線乗車するとJRといわて銀河鉄道両方の運賃が必要ですが、いわてホリデーパスはいわて銀河鉄道線もフリーエリア内に入っています。ちなみに、花輪線を大館から盛岡まで乗り通すだけで、いわてホリデーパスの元を取ることができます。
 盛岡駅での花輪線から東京行き最終のはやぶさへの乗り換え時間は13分。IGR銀河鉄道のホームは新幹線のホームからやや離れているので乗り換えに時間がかかり、ルートが不親切で慣れていないと迷いやすいので注意が必要です。ちなみにこの最終はやぶさは宮古発の山田線からも乗り換えできますので(この日は大雨の影響で不通でしたが)、これから先宮古周辺のみちのく潮風トレイルをセクションハイクする際にも、この最終はやぶさにはお世話になることでしょう。

盛岡駅名物はやぶさとこまちの連結シーン

 東京行き最終のはやぶさは、流石に空いていました。

まとめ

 乗り鉄というと一日中座りっぱなしでお尻が痛くなるようなイメージがありますが、途中に見どころも多く、飽きずに乗り鉄を楽しめました。紅葉シーズンということもあり、北上線や秋田内陸縦貫鉄道といったローカル線が観光客や地元の方の足として元気に使われている姿を見ることもできて、安心しました(花輪線は、ちょっと寂しかったですが…)。

 最後に、東京駅を起点にこのルートを移動する場合の行程を以下にまとめておきます。ダイヤは2024年11月23日現在のものです。

  • やまびこ51号 東京6:04→北上8:54

  • 北上線快速  北上9:55→横手11:09

  • 奥羽本線   横手11:47→大曲12:05

  • こまち24号  大曲12:46→角館12:56

  • 秋田内陸線  角館13:58→鷹巣16:22

  • 奥羽本線   鷹ノ巣16:48→大館17:06

  • 花輪線    大館17:35→盛岡20:37

  • はやぶさ48号 盛岡20:50→東京23:04

 東京駅を始発で出発して終電で戻ることのできるルートです。途中で列車が遅れたら戻ってくることができないのがリスキーですが、2枚のフリーきっぷを使って3つのローカル線を効率よく乗り潰し、一日中乗り鉄を楽しめます。あきたホリデーパスは期間限定なので、フリーきっぷでこの乗り継ぎができるのは今だけです。興味のある方はぜひ試してみてください。
 それでは。

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