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アダプトツアーの感想



2022.1.9
2022.1.29
2022.1.30
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サカナクション SAKANAQUARIUM2021-2022
アダプト ツアー
ゼビオアリーナ仙台
日本武道館2days
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2年前の仙台以来のサカナクション生ライブ。
オンラインライブが当たり前の世の中になっても、サカナクションの生音を聴くと、やっぱり生ライブには敵わないんだと、強く感じる。
ツアーを複数公演参戦するのは3年前の(834.194)ぶりかな。
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アダプトオンラインも週刊アダプト?も何もチェックしてなかったので、ある意味まっさらな状態での参戦。深海魚民としては有るまじきスタンスなのかもしれないけど、結果的にライブを新鮮に楽しめたと思う。
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セトリバレもほぼなしで観れたのでライブ独特の「次何来るんだろう?」のドキドキ感もバッチリ。
ただ今回はコンセプトを強く押し出してるのでそのコンセプトに乗っからないとついていけない要素もあった。
「舞台×MV×ライブ」の一体化が今回のコンセプトだったんだよね。
サカナクションのライブ自体がMVみたいな異世界感あるし、わざわざコンセプトとして打ち出さなくてもなぁと思ってたけどライブで意図が判明。
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"アダプトタワー"。やたら大掛かりなセットだなという印象。スローモーションで女優さんが出てきて曲のバックで演技。雪が降る演出で曲の正統MVのような感覚。このような演出は今までモニターに映像として映し出されるものが主流だっただけに、目の前でタイムリーに演技しているのを見るのは新鮮な気持ち。ただ元も子もないことを言うと、これ必要だった?サカナクションがリアルタイムにこだわることは過去のライブでいうところのオイルアート演出などで理解はできるけど(そのオイルアートは『なんてったって春』〜『スローモーション』の繋ぎで使われただけで、しかもリアルタイムアートではなく映像素材としての登場。味気がなかった。)、演技の舞台における音楽はあくまでも脇役で、でも音楽ライブにおける演出効果(映像や照明)もどちらかと言えば脇役。その両脇同士を前面に押し出すことで、芯がブレているような感じ。サカナクションを観に来た聴きに来た自分は「?」になった。どっちを観たらいいかわからないような分かりづらさ。女優さん使ってそれっぽい演技させて、それが特段演奏自体と絡むこともないなら映像で良かったのでは?と思う。アダプトタワーというセットを組むことによって、今まではあったステージ後方のモニターがなくなってしまった。(ステージ両サイドに設置)ゆえにステージそのものからは完全に華は消えてる。
サカナクションといえば計算的で緻密で、そして戦略的で、でも芸術的で、そんなライブのイメージがあるんだけど今回のライブではそれをあまり感じられなかった。
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本物の女優さんを使ったリアルタイム演出で良いなと思ったのは『バッハ』のMVを再現したようなテレビを観るところと、『壁』のブロックを敷き詰めるところかな。サカナクションが武器とする技術的な要素があって、新しかった。ただ『月の椀』でランニングマシンに乗って背景に映像映す演出とか、オンラインライブで観たら面白いんだろうけど、会場で観るとこれも「?」。モノクロ映像はヤリスクロスのCMに寄せたんだろうけど。
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『スローモーション』で最初に使ったアダプトタワーの高いステージも、あれ以降ろくに使われず、ライブを通して見れば邪魔だった。二通りの使い方だったり、あっと驚く展開だったりがあれば唸るところだったけど、そこまであのタワーって意味ありました?
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『ティーンエイジ』での女優さんの演技には素晴らしいものがあったけど、あれもリアルタイムでやる必要があったのかな?と。あの表情は映像で見るから凄みを感じるわけであって、カメラに向かって演技をしている女優さん自身を見たらなんか違うよな、って。作り物であることが露骨に伝わると冷める。愛美ちゃんのコーラスは抜群に良かった。コーラスというかデュエットレベル。
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『目が明く藍色』ではステージ上の演出はなく横のモニターに女優さんが映し出されている。映像素材とリアルタイム演技のバランス。コンクリート打ちっぱなしのような感情のないステージと相対する海辺の映像。これは非常に感情揺さぶられるものがあって良かった。ただやっぱりアダプトタワーがなかったらこの素晴らしい映像はステージ後方に映し出されていたんではないかと思うと勿体ない。
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アダプトタワーが良かったなと思えたのは、『DocumentaRy』。ラップトップスタイルで完全なる「踊り」の空間。本人たちを観なくていいんだよねあの時間って。だからこそタワー最上部、オーディエンスから一番遠いところで良かったのだと思う。サカナクションの真骨頂であるライティング、レーザー演出、近代的な映像を存分に楽しめたし、何より踊れた。飾り気のないステージが華やかに彩られてサカナクションらしさが戻ってきたような感覚。からの『ルーキー』は11年前の流れの踏襲。素晴らしかった。
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『アルクアラウンド』もライブ後半に観れたのは久しぶりで良かった。ライブの火付け的役割が今まで多かったからね。
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個人的に一番意味が分からなかったのは『ショック!」。まあ結局のところそもそも意味はなかったのだろうけど。急に別バンドのライブに来たようなコミカル路線。NFパンチとかシュガシュガとかいう意味わからん番組始めてからなんかこういう要素が増えたよね。みんなこういうの好きなのかな?内輪で盛り上がってるような寒い演出。見たことあるような顔ばっかりがモニターに映って、"取り巻き感"。冷める。曲自体は新しくてカッコよかったので、余計な演出削ぎ落としてほしかった。『プラトー』がシンプルでカッコいい演出だった分余計にがっかり。そしてワキワキダンス?ああいうのやめませんかね。一郎が「自由に踊って!」って煽る曲に限って振付あるのは心底意味わからん。結局メディアで使われるのってああいう一体感でしょ。サカナクションはどこを目指してる?
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『モス』『夜の踊り子』『新宝島』は安定したパフォーマンス。クライマックスに向かうボルテージの上がり具合がとても良かった。スクールメイツ達の登場もプチサプライズでGOOD。『忘れられないの』のミドルテンポフィニッシュも良かったな。個人的にはアウトロでビル建ち並ぶ夜景が映し出されたところがすごく好き。
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サカナクションのアンコールといえば第二のライブのスタート!…と思いきや普通に登場してきてMC始めちゃった。ここはかなり残念。演出練ってないんだね。サカナクションのライブでアンコールのド頭演出を楽しみにしてる人ってたくさんいるよね?アダプトタワーなんて作っちゃってさ、これをどう利用してくるんだろうってドキドキして待ってた俺の気持ちよ。尚更に思う、アダプトタワーの意味は???と。
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『三日月サンセット』『白波トップウォーター』『NFIG』と全くアダプトタワーを使わない通常演出で3曲のアンコール。いよいよ本当に邪魔、アダプトタワー。
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最後の曲で申し訳程度で『スローモーション』と同じような使われ方で女優さんが演技していた。この2曲のために設置したとしたらサカナクションのお金ない設定にイライラが募る。
ちなみに最後の曲、アーカイブ配信で歌詞見たら、時代を投影したような、『エンドレス』に近いようなメッセージ性を感じて曲への理解が深まった。エンドロールに使うなんてもったいない!
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終始文句言ってるような感じになっちゃったけど、音はすごく良かったし、何より久々のライブで全身で音を浴びる快感が帰ってきてかなり楽しかった。
あれこれ考えずにライブ楽しむスタンスも大事だなと自分の感性がちょっと嫌にもなったけど、また次もライブには行きたい。
総合演出の田中さんと俺が合わないだけかもだしね。

#サカナクション  #アダプトツアー

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