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リアルD&Gの香水

元彼にもらった香水がまだ家にある。

前に一度記事にした、遠距離で8ヶ月以上会えなくてやむなく別れた彼氏。

その彼がつけていた香水をプレゼントとしてもらった。

が、ほとんど使っておらず、綺麗なまま放置してあったのだ。



それを折りに触れては匂いを嗅いでしまう。

いけないとわかっているのに、辛くなるのはわかっているのに、

それでも私は時折彼の残した残骸に触れたくなって、

その香水を嗅いでしまうのだ。


心臓がキューっと苦しくなり、途端に泣きたくなる。

身体中が重くなって、崩れ落ちそうになる。

視界が滲んでぼやける。

私はまだ忘れていない。

もう好きではないと思っているが、きっと心のどこかに彼の記憶が残っているのだ。


胸に飛び込んだとき、胸元から香ったこの香水。

あの時はここにいれば安心だと、心のそこから思った。

心から安堵した。彼といると落ち着いた。

その時の匂い。

安心の匂い。安らぎと、ささやかな愛の匂い。


今の私に心の安堵はない。

今は夜な夜な街に繰り出しては行きずりの男とセックスするサバイバルライフ。

刺激と興奮はあれどそこに安堵はないのだ。



匂いはずるい。

匂いとは、何かを象徴づける唯一無二のもの。

その匂いがある人と強く結びつけられれば、その匂いを嗅いだだけで全てが鮮明に蘇ってくるのだ。



この香水のせいで私は、自分自身を傷つけてしまう。

なのに私はまだこの香水を捨てられない。


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