おいでませ。
おいでませ。
わたしは いつか 水に入った
そこから世界は変わる
-貴女を待っていました-
?
プクプクと
水の底に着く。
わたしは、
ユラユラと海月の揺れる長い袖
魚の尾のようにたゆたう煌めく
着物をきた、
乙姫さまになっていた!
「おいでませ!乙姫さま」
「皆、貴女を待っていたのですよ?
なぜもっと早くおいでになってくれなかったのです?」
「え、いやだって ダメなことだと言われてきていたし」
「ふーん。まぁいいでしょう、こうして来てくれましたし。
ささ、こちらへ」
玉座に座らされ、私は息をプクプクさせながら座る。座り心地は、まあまあ、いいかも。
「只今から、最高のお客様がいらっしゃいます。御準備をお願いします」
「早いね、私はどうしていたらいい?」
にこりと笑う従者。
「恋を、してみては?」
?
ー運命の恋を
「浦島さま、御入場!」
扉が開いて、光が、眩しい
誰か立っている?
あれが、浦島、さま?
「はじめまして、乙姫さま。ご機嫌、麗しゅう。」
あ、なんだか、
耳心地の良い声。
そうだ、わたし声フェチだった
ー運命の、恋、かぁ
そういえば.
そんなんしていなかったなぁ
キラッキラッの、
世界が輝くような?
周りが見えなくなるような?
そんな、運命のー
シャラ
シャラ
チャプ
チャプ
ひかりの、おと?
みず のお、と、?
… …
?
プクプク プクプク
息が、出来ない、!
…!
「プ、ハ!」
「ことちゃん!
ことちゃんが起きた!」
泣いてる
あぁ、ママの声。
私、帰ってきたんだ
「よかった、帰ってきたんですね。みんな、待っていたんですよ」
そう聞こえるのは、何処かで聞いたような耳心地。
「お帰りなさい、ことはさん」
キラキラ
シャラシャラ
ひかりの音がする
ただいまと、言いたい。
そして、見つけたと。
とりあえず、ひとねむり、させて。
おいでませ、浦島さま。
2017/5/16
埋もれていたメールの下書きより
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