子供の名前

みなさんは子供の頃、将来のことをただ漠然と友達とおしゃべりしたことってありますよね?

例えば、将来何になりたいだとか、何歳くらいに結婚したいだとか、子供は何人ほしいだとか・・・などなど。

私は小学生の頃、自分の子供に名前をつけるなら何にするかということで真剣に考えたことがある。

当時、女の子同士の会話で子供の名前を何にするかという話題になった時に
ひとりの女の子が「私、男の子がうまれたら○○で、女の子が生まれたら○○ってもう決めてるの」と言った。

「おぉぉぉ!!」

その場にいた女子全員が彼女を恍惚とした表情で見ていた。

まだ小学生なのに、もう自分の子供の名前を決めている。そして、その堂々と言い切る彼女の姿がかっこいいと思ったのだ。

そのとき何も思いつかなかった自分が悔しくて悔しくて。。。

『私もみんなからかっこよく見られたい!』

私は次にまたその話題がでた時にはすぐに名前が言えるように今のうちから準備しておこうと決めた。名前の由来とかも含めてみんなに「おぉぉぉ!!」と言わせるんだ!

私は誰に頼まれたわけでもなく、何日も何日も考えた。

誰も思いつかないようないい名前にしたい。考えて、忘れて、遊んで、また思い出したら考えて、遊んで、というようななかなか答えが出ない宿題みたいな感じで月日が経ち、ついに名前が浮かんだ。

よしっ!
もし、女の子の双子がうまれたら名前はよう子とせい子にしよう!

なぜ、よう子とせい子かというと、

当時私は妖精が大好きで妖精のようにかわいい子ということで妖精からそれぞれ頭文字をとって「よう子とせい子」
これはかわいい名前だ!理由も完璧だ!今度聞かれたらこれを答えよう!

結局、その後いつまでたっても子供の名前を聞かれないので自分からその話題をみんなにふった。

答えれない女子を横目に、今だ!とばかりに私は答えた。

「私はね、もし女の子の双子がうまれたら、よう子とせい子にするって決めてるの。名前の由来はね、妖精のようにかわいい子って意味で頭文字をとったの。」

ついに決まった・・・。心の中でガッツポーズをきめていたら

「ふぅ~~~~ん」

なんとも気の抜けたような返事で、その話は幕を閉じたのであった。

そして、あれから数十年後。ふと「昔は名前考えてたなぁ」と思いだしたときにハッとした。

妖精から頭文字をとって漢字にすると

妖子(ようこ)と精子(せいこ)・・・。

当時はまったく気づいてなかったが、とんでもない名前である。
妖子は妖怪の妖の字でもあるので妖怪の子で妖子ともとれるし、精子に関しては横にふりがなをつけていないと読み方を間違えられかねない精子(せいこ)。

間違いなくグレるなぁ・・・

そして現在。
双子の女の子が生まれるわけでもなく、子供もいない。
子供の頃、漠然と描いていた未来は誰にとっても当たり前なことなんてひとつもない。

子供の名前を真剣に考えていた、あの時の自分に教えてあげたい。

『人生は計算通りにはいかない。でも、だからこそおもしろい。』






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