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【レッスンレポート】音響監督による外画吹き替えワークショップ

6月に開催された松岡裕紀音響監督によるアニモプロデュース所属者向けの外画吹き替えのワークショップ。
なんと研究生からも4名が参加させていただきました!
参加した研究生に感想レポートを書いていただきましたので、レッスンの空気感や実際にどんなことをしているかなど、ぜひお読みください!

【松岡裕紀音響監督
『アラジン』『ライオン・キング』『アナと雪の女王』『ファイト・クラブ』『遊☆戯☆王ZEXAL』『遊☆戯☆王VRAINS』『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP』など、多数のディズニー 作品・アニメ・洋画、様々な作品の 音響監督を務められています。


◆レッスンを受けての感想

いつものレッスンとはまた違う緊張感をピリピリ感じました。

内容の密度も高く実際の現場に近い流れで指示を出されとても濃い内容で、
吹き替えのレッスンを専門学校で一度しか受けた事がなく経験のなさという不安があった今の自分に、ピッタリなレッスンでした。

いつもレッスンで使用しているスタジオでしたが、本当の現場のように感じられる空気感で、緊張していました。
しかしWSが始まると松岡監督をはじめ全員が一気にぐっと集中し、作品に真剣に向き合っており、その空気のおかげで私もいつの間にか緊張を忘れて集中することができました。
現場は緊張するところではなく、ひたすら全員が真摯に向き合って作品を作り上げていくところなんだ!と、私の中で「現場」に対するイメージが覆りました。

松岡監督は1人1人の芝居の癖や、台本解釈について細かく指導してくださいました。
「自分のセリフで、相手のセリフが決まる」
「相手のセリフを聞いて、自分のセリフが出てくる」
外国映画の吹き替えをする時にどうしても原音や画面の中の役者の表情やテンポに合わせることに必死になっていた私にとって、大事なことに気付かされた言葉です。
相手が原音より遅れてしまっていてもしっかり聞いてから喋る、相手の台詞で自分の気持ちが動いたから息の音が漏れる、など、結果吹き替えとしては完璧にはなりませんでしたが、相手を意識することでテストよりも自然と言葉も出てきて純粋にシーンを楽しむことが出来たと思います。
同時に「もっと私が気にかけてあげたら、相手の台詞も言いやすかったのではないか」など自分の欲もどんどん出てくるようになりました。

すごく楽しくて、悔しさも感じたレッスンでした。
前半の本読みの時間は自分以外の役で勉強になることが沢山あり、所属の方は指摘に対してどんな風に対応するのかを集中して聴けた学びの多い時間でした。
後半はテスト→本番で収録を行いました。私の役は婚約者とのシーン・姉妹で話すシーンがありましたが、最後に返しを聞いてみるとどれも友達と話しているように聴こえて、自分が思っていたより全く指摘に対応できていなくて悔しかったです。

1分1秒勉強になることだらけのレッスンでした。
特に今までのレッスンではコロナ禍の影響もありマイクワークを細かくご指導いただいた経験がなかったのですが、常に音を立てないように静かに移動するのではなく、他の方のセリフがない瞬間に多少音が出たとしても移動し切ってしまう方がいいということは今回初めてご指導いただきました。
また、マイクワーク以外でも現場ではある程度動きをつけて喋る人もいるなど、自分のイメージだけで制限していたところを和らげていただけたことが特に印象に残っています。

◆他の印象に残った役

・20代男性主要人物の婚約相手
自分もこの役を配役されたのですが、酔った状態での婚約相手とのラブシーンで、もう1人配役された人が自分よりも仲睦まじさが出ており、そこが特に印象に残っています。

・主人公の父親と母親
夫婦2人だけの会話のシーンで、松岡監督が「相手の言葉に聞き慣れている感じがしないと、長年連れ添った感じは出ない」とディレクションしていたのが特に印象に残っています。
それに対して母親役の方も、父親役の方もしっかりと本番で対応しており、2人っきりのプライベートな空間、大人の貫禄、それぞれが背負う悩みなど、ワンシーンで色んなものが滲んで見えて素敵でした。
父親役は特に細かい動きも多いシーンで、呼吸も複雑でしたが、それを取りこぼすことなく会話が成立していました。
盗める技も多くあり、大変勉強になりました!

回想シーンで出てくる性格の悪い女の子が印象深いです。
グループのリーダー格の子で、人の弱みを握って脅すようなシーンもありましたが、悪意や嫌味を全面に出すわけではなく相手が拒めない反論できないニュアンスを入れるのが難しく、実際の吹き替えではどのようにお芝居してるのか作品を見たくなりました。

母親役を演じられていた方のお芝居が特に印象に残っています。
私自身が老けの芝居が苦手なのもあり、年齢感を上げるのに必要な声の厚みや言葉の切り方など、とても勉強になりました。
また、今回のレッスンではセリフ一つ一つにニュアンスをつけることでどれだけセリフが違って聞こえるかを実感したのですが、母親役を演じられていた方のニュアンスのつけ方がナチュラルで、自分はまだまだだと改めて実感したのもあり、特に印象に残っています。

◆レッスンを受けて思った課題点

なぜその台詞を言うのか、行動するのかなど絵や原音で情報をもっと細かく一つ一つ汲み取る事が課題の一つだと感じました。

発声方法が大きな課題です。
先日別のレッスンで、声が出てない、マイクに乗ってない、と指摘されたことがあったので、今回は声を出すよう意識して挑みました。
しかし収録後プレイバックを聞くと、音が拡散してしまっていて、まるで自分が掛け合う相手と全く違う空間にいるようでした。
松岡監督からは「声を張り上げてしまっている」「自分の地声より少し高い音で喋ってしまっているのではないか」と今まで言われたことのなかった分析をいただきました。
加えて、マイク乗りのいい声を自分の身体で確かめる方法も教えていただけたので、ようやく改善に向けて前に進みだせそうです!

一番足りていないと感じたのは「映像をよく見ること」です。
事前のVチェックでは拍を合わせることに必死になっていましたが、レッスンを受けて、役の呼吸の深さ、視線の動き、体勢など映像だけでも多くの情報が読み取れること、そしてそれをわかっているとお芝居が全く違うものになると実感しました。

課題点はたくさんあるのですが、そのうちの一つが自分がまだまだ画を見れていないところです。役の表情から汲み取れる役自身の感情や、話している相手に向けている感情、役自身の呼吸の速度など画を見れば得られる情報をまだまだ汲み取れていないので、台本と照らし合わせるだけではなく、もっと画をよく見ることが必要だと感じました。

みなさんご協力ありがとうございました!

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