フィン旅、恋エッセイ
プロローグ
さてさて、私はかれこれ1年弱、マッチングアプリを通してフィンランド人男性、略してフィンガイのボーイフレンドを作ろうと画策しているわけだが、なんせこちらは日本在住、最初から好き好んで遠距離恋愛をしたい人などなかなかいないわけで、それに加えて私の捻じ曲がった性格のせいで未だに誰とも結ばれていないのが現状である。
ここでは、2024年末から2025年始にかけてフィンランドに滞在した際に出会ったフィンガイについて記そうと思う。
と、その前にこれは前置きなのだが、私はとあるフィンガイ(ここでは藤原氏と呼ぶ)と昨年7月にマチアプで出会い、メッセージのやりとりを続けていた。そのやりとりは慎重かつ慎ましやかで、まるで平安時代の貴族の和歌の詠み合いのようだった。それでも半年もやりとりを続けると、段々と距離が縮まり、藤原氏はある日、私に片想いをしていると告白してきた。そうして私たちはもう、これは会ったら付き合うよねって流れで私がフィンランドに到着した初日(12.30)と大晦日に会う約束をした。多分そのまま順調にいけば、初のフィンガイボーイフレンドができていたと思う。しかも藤原氏は、私とメッセージをやりとりするようになってから大阪大学への留学を決めていたので、遠距離恋愛も一時的に緩和されていただろうと思う。だがしかし、私がちょっとしたことをきっかけに藤原氏と会う予定を変えたいと言ってしまったことが原因で藤原氏は激昂し、突然のGood bye宣言をしてきたのである。これに対し私は、何度も何度も謝り、元通りの予定で会おうと説得したのだが、藤原氏は「君と会いたいのかどうか、自分の気持ちが分からない。」と言うのみで、結局会うんだか会わないんだか判然としない状態で私はフィンランドに飛ぶことになった。旅程的にフィンランドに着いたらまず最初に北部に行きたかったのだが、私は藤原氏とした当初の約束を守ろうと30日に南部の首都ヘルシンキに滞在することにした。そして、藤原氏にヘルシンキにいること、日本で用意したお土産を渡したいことを伝えたのだが、藤原氏は会おうとは言わなかった。だから私は、藤原氏がかつて私に雰囲気がいいと教えてくれた図書館に行ってみることにした。ワンチャン藤原氏に会えたらラッキーかもと思ったのだ。
だかしかし、当然のようにそんな奇跡みたいなことは起きず、藤原氏を見つけることは出来なかった。それで再び藤原氏に図書館の写真とともに、「あなたがかつて送ってくれた図書館に実際に来てみたよ、すごく素敵な雰囲気だね。」というような内容のメッセージを送った。するとようやく返信が…
「あなたのしていることは、ストーカー行為に当たる可能性があります。」
どひゃー、これにはおどれぇた!w
まさかのストーカー呼ばわりをされてしまうとは。私はこれで完全に藤原氏に対する気持ちが冷め、わざわざ藤原氏のためにヘルシンキに留まった自分が馬鹿馬鹿しく思えて、さらに藤原氏に対して腹の底から怒りが沸々と湧いてきた。でも私は成熟した大人の女なので決して暴言を吐いたりせず、不快な思いをさせてごめんなさいと謝った。
もうこれで終わりだ!
そう決意して、図書館を後にすると、また藤原氏からメッセージが…
道徳的な発言はやめましょう。(直訳)
はぁぁぁいぃぃぃっ!?何言ってんだコイツ、メガネへし折ってやろうか!?
いくら成熟した大人の女でも耐えられない時はある。その後は書くのも阻まれるほど醜悪な事態となってしまったので詳細は割愛するが、とりあえず私は、英語でメッセージを送るのはやめ、エセ関西弁でomoinotakeをぶつけてやった。
かくして私のフィン旅は最悪な始まり方を迎えたわけだが、その夜は別の男性とマッチしたのでその人とディナーに行き、カラオケバーに行ってストレス発散した。
ちなみにフィンランドではデート代は割り勘が常識と言われているが、彼は全驕りしてくれ、とても紳士的でいい人だった。でもタイプじゃなかったのでそれ以降会うことはなかったけど。
そうして次の日私は早々にヘルシンキを立ち、北へと向かったのであった…。
プロローグ完