【TOEICはテクニック?】TOEIC915点を取った話
皆さんもよく聞かないでしょうか――「TOEICはテクニックだ!?」とか「TOEICができても話せない」だとか
その真偽を探るため、筆者はTOEICの山奥に足を踏み入れました
ここでは筆者がTOEIC915点を取るまでの経験をシェアします。
筆者は900点を超えるまでは850点くらいは取れるのに、なかなかそこから脱せないという状況でした。
TOEIC900を取る方法で調べると「金フレやれ」、「公式問題集解け」ばかり出てきて、「うーん。。」と思ったのがこの記事を書いたきっかけです。
TOEIC600~の人推奨だと思います。
TL; DR
自分が得点を獲れないのがなぜなのかを考えよう
Listening
そもそも単語を聴き取れない?
発音変化に慣れよう
単語は聞き取れるのに意味が理解できない?
映画・ドラマを見よう
速読できるようになろう
問題に答えられない?
Part1, 2は専用の対策をしよう(テクニック大事)
1.2~1.3倍再生で問題を解こう
Reading
そもそも英語の文一つ一つを精読できない?
文法詳解できるようになろう
まとまった内容が理解できない?
Graded Readersやペーパーバックを読もう
問題に答えられない?
Part5, 6は専用の対策をしよう(テクニック大事)
テクニックを覚えよう
筆者のスペック
理系大学院出身
日系メーカ~ITの合間系の研究職
最近外国籍の人とよく仕事している。仕事に英語の波が来て辛い
中学高校から英語は得意
就活の時のTOEICは850。社会人になってからはずっと830くらい
戦略
まず、TOEIC L&Rはどんな試験なのか改めて考えてみます
Listening
リスニングを「英語を聞いて、内容を理解して、質問に答える」問題だと考えてみます。そうすると、リスニングができないということは次のどれかができないということになります:
L① 単語を聴き取れない
L② 単語を拾えても理解できない
L③ 質問に答えられない
よく聞く「英語が聞きとれない」は「そもそも単語を拾えない」と「単語は拾えるが理解できない」の二種類に分けられます。
大体、TOEIC700を超えてくると、映画を見ていても単語は耳で拾えるし、何度も繰り返し再生すれば短い文章のディクテーションもできるでしょう。ですが、字幕なし・英語再生で90分間すべての内容を理解するのは難しいのではないでしょうか?
これこそがL①とL②の違いだと思います。つまり、L①とL②は別々の問題と考えましょう。
L① : 英語を聞けない(聞いても単語を拾えない)
結論: プロソディーシャドーイング
そもそもなんで簡単な単語を聞いても、それを理解できないのでしょうか?
それは英語特有の「発音変化」になれていないためと考えられます。
いわゆる、Put your hands upは「プチュアハンザッ」で「プットユアハンズアップ」ではないってやつです。
厄介なのが、国によっても発音変化が変わること。これを感覚的につかむのはなかなか厄介です。
そこでお勧めしたいのが、プロソディーシャドーイングです。
プロソディーシャドーイングでは意味を考えずに聞こえてきた音を2~3語遅れて繰り返します。詳しい方法はYouTubeとかで探しましょう。
発音変化を学ぶときはイギリス英語とアメリカ英語の両方を行うとよいかと思います。
例えば、エリザベス女王のスピーチ(英国・容認発音)やティムクックのコメンスメント(米国)が最初の教材としてはおすすめです。
イギリス英語に慣れてくるとオーストラリア英語も少しづつ聞けるようになりますし、アメリカ英語に慣れてくるとカナダ英語もカバーできるはず。
プロソディーシャドーイングに取り組み始めたけど難しいということであれば、英語耳トレーニングやフォニックスから始めても良いかもしれません。回り道に見えても、長い目で見れば英語耳を身に着けておくとなにかと役立ちます。
L②: 単語を拾えても理解できない
結論: コンテンツシャドーイング、映画・ドラマ、速読
単語が耳で拾えるのに、意味ができないときの対策ですね。
次は、聞こえてきた文を、文章単位で理解できるようになる訓練です。
このためのトレーニングには次を挙げられます
コンテンツシャドーイング
TED・映画・ドラマを見る
文章の速読
コンテンツシャドーイングは内容を考えながら行うシャドーイングです。
意味も考えつつ、自分が今発音している音がどの単語に対応しているかも考えられるとよりよいです。
TOEIC対策に映画・ドラマ(とTED)を勧める方も多いですが、ここの範疇のトレーニングになると思います。
言い換えると、TOIECを目標にするのであれば、映画・ドラマを見てもこのゾーンの能力しか伸ばせません。
大体、TOEIC850が安定してとれるようになると、シットコムも字幕なしで結構内容を追えるようになってきます。が、まだまだ詳細を追いきれないのもこのレベル。
TOEICを伸ばすのであれば、周辺も訓練する必要があると思います。
「リスニング対策になんで速読?」という方もいるかもしれませんが、速読できる以上の速さで聞いた英語を理解するのは不可能です(日本語だってそうでしょう?)
早く読めるようにしなければ、リスニングの能力にも影響します。
L③ 質問に答えられない
結論: TOEICテクニック、1.2-1.5倍速再生
ここまででもドラマも字幕なしで結構理解できたりするし、仕事でもそれなりに問題なく働けたりします。
が、そこでたどり着くのはTOEIC 850点くらいなんです。
このとき、英語力とTOEIC力の間には次があると思います
TOEIC独自の問題になれる(THE・TOEICテクニック!)
現場での緊張対策
まずは、TOEICテクニックのほうから。
昨今のPart1, 2は婉曲的な質問も多く、聞き取れても問題で解くと難しいのですよね。
ここについては問題演習でカバーしてしまうのが良いと思います。
例えば、特急シリーズのこちらは参考になると思います。
そして現場での緊張対策ですね。
普段の練習よりも、現場だと早送り再生されているように聞こえるのが、試験というもの。
結果的に私は「TOEICの問題を1.3倍速再生で解く」ことで解決しました。
通勤の間に1.3倍速再生のTOEIC問題を聞き、聞いた質問と回答案だけでPart2に正解できるように訓練を繰り返しました。
結果的に私の場合のリスニングの900点の壁はこれで超えられたような気がします。
Reading
Readingを「英語を読んで、内容を理解して、質問に答える」問題だと考えてみます。そうすると、Readingが得点できないということは次のどれかができないということになります:
R① 英語の文一つ一つがわからない
R② 内容を理解できない
R③ 質問に答えられない
R①・②:「文の一つ一つがわからない」のと「文章の全体が理解ができない」は違う
文章がわからないといった場合、次の2パターンがあるはずです。
文の1つ1つもいまいちぱっとわからない
文章1つ1つはわかるが、全体として理解できない
前者がR①、後者がR②です。
R①: 文の一つ一つがわからない
結論: 遠回りに見えても単語・文法を復習しよう
文の1つ1つがわからない場合、文法がわからないか単語がわからないかどちらかだと思います。
TOEICで問われる文法はそこまで難しくありません――仮定法までをちゃんと理解していれば(少なくともTOEICまでは)大丈夫です。
逆にいうと仮定法は必須なので、しっかりと理解してほしい。
英語の丁寧語の背景には仮定法のセンスが含まれているので、ビジネス英語を扱うTOEICでは絶対に理解していたほうが良いのです。
とはいうもののTOEICで求められる英文法の知識は深くないので、例えば、大西先生の文法書を一冊読むくらいで足りると思います(Part 5対策は後で書きます)。
単語については、正直、私は大学受験レベルの英単語で足りると思います。実際、私は金フレも使っていません。とはいうものの、それは私が本屋で後ろから眺めてもどの単語も全て知ってるという状態だったからです。
そうでない方は金フレからやりましょう。
立ち読みした感じではこちらも良さそうでした
R②: 内容を理解できない
結論: 速読の訓練をしよう
「文一つ一つはわかるけど文章がわからない」という方は、英文和訳を介さずに英語を理解する能力がまだ未成熟なのかもしれません。これは単純にまとまった英文をDeepl翻訳や辞書なしにすらすらと読めるような訓練をすればOKです。
例えば、Graded ReadersやJapan Timesなんかがちょうどよいと思います。
Graded Readersはこういうやつです。
Graded Readersの中ではラダーシリーズが難しめです。
ラダーシリーズの最難レベルがスラスラ読めるようでしたら、ペーパーバックに挑戦できるはずです。
このレベルに到達していればHarry Potterや村上春樹さんの短編集も読めるのではないかと思います。
英語で読むと村上春樹さんの印象は変わると思います。
翻訳者もかなり優秀なのでかなり読みやすいです)。
最近読んだ中ではGritも比較的読みやすかったです。
R③:質問に答えられない
結論:
- Part5, 6は専用の対策をしよう(テクニック大事)
- テクニックを覚えよう
ReadingもListeningと同様にPart8のほうがテクニックを勉強せずとも、点がまとまって取れるようになります。筆者はイクフンシリーズを解きましたが、別にやらなくてもよいような気がします
逆に訓練が必要なのがPart5です。これは本当に問題集を解くしかない。私は1000問ノックを3周くらいして、感覚がやっとつかめました。
模擬試験
準備が整ってきたら、模擬試験に取り組みましょう。
言ってしまえばここまでの勉強は筋トレで、模擬試験は練習試合です。
おなじみのこういうやつですね
ちゃんと時間を測って、ListeningとReadingは連続して解くようにします。
練習試合で試験に向けた体力を身につけましょう。
正直なところ、TOEICは体力勝負なところがかなりあります。
私も800点前半時代は週末にTOEICを受けるだけで、その日はぐったりしていました。
900点を超えてからは試験後に出かける元気が残るようになりました。
エネルギーを使わずとも問題を解ける能力を身に着けると安定して得点できるようです。
あと、模擬試験でのListeningの再生スピードは1倍再生でよいと思います。
経験
筆者の経験について書いてみます
TOEIC800/850/900で英語力が全然違う
筆者は大学3年時には800点、院生時代に850, 社会人になってからは830前後が続き、900点を取りました。それぞれの時期を比べると英語力は全く違うと思います。
日本語もそうですが、全部を聴き取れなくても意味って大体わかるんですよね。830点は比較的その感覚でとれる点数だと思っています。一方850は細かいところもある程度聞き取れていないと取れない点数になってくる。900点は聞いたうえで、気になる部分に注目するとかそういう能力が求められます。
また900点を超えるとTOEICの問題文のような文章をすらすらと書けるようになりました。というより、「TOEICみたいな文章をすらすらとかけるようになりたいから900点を目指した」のがもともとの目的でした。なので、長文は苦手ではないけどちゃんと練習しようと思い、イクフンシリーズに取り組んでいました。結果目的は達成できたので、TOEICは無駄ではないと思っています。
1.3倍速再生とシャドーイング
私はずっとPart1, 2が苦手でした。結論からいうと、それは「出題の変化球に応えるための脳の領域と、聞き漏らさないための脳の領域の稼働を両立させられなかった」からです。
前者向けのテクニックもありますが、後者の「音を聞き漏らさない」ほうを突き詰めるほうが労力はあまりかからないと思います。その一つがシャドーイングと1.3倍速再生で問題を解く勉強です。
シャドーイングはワーキングメモリを増やすのに役立ちます。慣れてくると、TOEICの問題演習でも一通り問題を聞き終わった後に、シャドーイングで問題文を脳内再生して答える能力が身につきます。
ですが、これをTOEICの問題に対しても安定的に行えるようにするためには速度の速い英文に慣れることは必要になってきます。このためには1.3倍速に慣れておくというのが重要だと思います。
英語を話す力
実をいうとTOEIC900とれるようになって、かつ、話す訓練もちゃんとしていれば、それなりに話せるようになります。他方、話す訓練をしていなければやっぱり話せないというのも真実です。
仕事で急に英語が必要になってしまい、筆者は一年間、大手のマンツーマン英会話スクールに通っていました。
スクールでは圧倒的に上達が早いと褒められることが多かったです。
ただ、それも実際はもともとの語彙数が多いだとか、英文を読むスピードが速いとかそういうところが大きかったようです。
結局、受動的な英語能力(Listening & Reading)を伸ばしていないと能動的な能力(Speaking & Writing)も頭打ちになってしまうのだと思います。
TOEIC900を取っていても英語は話せませんが、TOEIC900を取るのが話せるようになる近道という面もあるのかな、と個人的には思っています。
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