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サンフランシスコから羽田までの飛行機 Velocity = Distance / Time
20年ぶりにシリコンバレー出張がありました。最新のテクノロジーに関するワークショップに参加するために、3日間のテクニカル・ディープ・ダイブセッションに参加しました。現在は情報はあっという間に地球を駆け巡る。特に真新しい気付きは無かったものの、様々な人との交流や、実際に会うことの意味合いを感じました。
シリコンバレーの中心地、パロアルトに滞在していました。オフィスを縮小するテック・ジャイアント、あるいは拡張する企業、変化に強い、もしくは変化を起こす主体であるテック・ジャイアントが、今のシチュエーションに対して模索しています。こうした地殻変動があるタイミングが、ニッチが大きくなるタイミングなのかもしれません。周縁が中心になる、そうしたパラダイム・シフトがいつ起きてもおかしくない状況なのでしょう。
この記事は2020年のインタビューなので、注意深く読む必要はありますが、多くの示唆を与えてくれます。
サンフランシスコ市街地、パロアルトの企業内および市街地、ホテルやレストランの中では、マスクをしている人は少なかった。一方でホテルの清掃員、社員食堂のスタッフ、オフィスの清掃員やウーバーのドライバーなどはマスクをしていた。マスクをする自由と外す自由、外す自由が贅沢な権利なのではないかと感じました。
時差ぼけが直らないまま、サンフランシスコ国際空港から羽田空港行きの飛行機に乗ります。午前中の出発便、およそ10時間のフライト、ずっとお昼の時間を飛んでいて、日本に到着するのは翌日の日付の午後です。
モニターの飛行マップを見ていて、ふと、伊藤雅浩のVelocity = Distance / Timeを想起しました。
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伊藤雅浩 Absolute Photographs 展示より
この作品は地球の自転を表現した作品です。赤道付近では、地球は反時計回りに秒速約460mで動いています。宇宙から地球の一点を見て、シャッタースピードを1秒で撮影したら、という想定でアルゴリズムによって作り出した作品です。
ギラギラと照り付ける太陽を避けるように全ての窓はシャッターが閉じられていましたが、それを開けてみると、地球の丸さ、空と海の青が目に入ります。眼下の海は西から東へ秒速460mくらいで動いている、けれども飛行機もその自転の影響の中にいます。飛行機はおよそ時速900kmで飛び、サンフランシスコと東京の間を10時間くらいで結んでいます。自転によって引き起こされる偏西風の影響を受けて、西向きに飛ぶときは向かい風になります。もし、もう少し高く上がったら、自転に助けられて、もう少し早く羽田に到着するのではないか。なんていうことを考えました。
速度と距離と時間、物理的な場所を感じにくくなってしまったこの2年間、海外出張は再開され、帰国便のボーイング777は満席でした。人の動きが再開しつつある世界、Velocity = Distance / Timeは、自分の立ち位置や外部環境からの影響、そうしたことを想起させてくれる作品ではないでしょうか。