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2024/5/14 月1ワークショップ 【第8回】 レポート
最終回は「パートナー」をテーマにからだを動かすワークを中心に行いました。途中で他の人たちの動きを見る時間も取り、その中で見ていて感じたこと、そして動いていて感じたことを、言葉にして皆でシェアしていきました。
「パートナー」という言葉を聞いて、ぱっと何が浮かぶかっていうのは、人それぞれだと思います。恋人、親子、兄弟、仕事相手、仲間、色んな想像を広げてもらって大丈夫なので、「パートナー」という言葉をずっとイメージしながら、相手のからだと触れたまま動いていくことをしました。
動いている間に相手とのズレや違いを感じたら、少し待ってみて、相手を観察したり、自分のからだの緊張を感じたりしてみる。動いているうちに、だんだん調整されていって、変わっていくことを大事にする。今まで7回ワークショップをしてきたなかで出てきた、握手をする、相手のからだを見る、もしくは周りにの空間を見て一緒に歩いてみる、相手にからだの柔らかいところ・固いところに触れる、相手に向き合う、むしろ相手から目線を外して背中を向ける、相手を押してみる、撫でてみる、引き寄せてみる、相手を支えてみる、相手を誘導してみる等、色んなからだ、動きを思い出して、試してもらいました。そこで浮かんできたことを言葉にして共有していきました。
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・パートナーという言葉が、対等性みたいな感じがしたんですけど、実際に関わっている中では、自分が少し相手を包もうとするようなときもあれば、相手に包まれるような感じとか、、そういうときは、対等じゃないというか。受け身だったり、能動的だったり。でも、それを繰り返していく全体が対等かもしれないし、対等になっているときもあるかもしれない、包む/包まれるじゃない、お互いに包んでる/包まれているというか、同じ平面にいるみたいな。そういうときもあるかなって、そんな感じがしました。
・パートナーの距離感が、この人だとここの距離が気持ちいいとか、距離感が皆さん違う。自分より大きい男性と組むと、なんか女性と組んでいたときは自然と動けていたのが、「あれ、動かない」(笑)ってのが何回かあって。それでまた自分の形を変えて、どう動くかって変わってきた。「あ、動かない」っていう感覚は、日常生活であまり感じない感覚で、その驚きがすごくありました。自分の行きたい方向にいけない、どうしようって(笑) それはそれで楽しかった。
・押し合うっていうことが、行かせない/行けないっていうだけじゃなくて、やっぱりこう、すごく近くなる感じがあって楽しい。簡単な逃げ方は、離れるっていうことなので、あ、この人は逃げないんだって。そういう近さ、親密さっていうのもあるよなって、感じました。
・パートナーといっても、それぞれみんな距離感が違って、離れても大丈夫な人と、離れるとどんどん距離をつめてくるタイプの人といて、あと性別もあって、男性だと何となく支えようとしたりとか、守ろうとしたりというのを感じることが多くて、女性同士のほうが対等感はあったかなと。
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・触れている間に思い浮かんだのは、一知覚障害のある人に同行援助のワークショップというかセミナーを受けたときに、最初に教わった先生が自己紹介するときとかも、手のひらをばっと掴むのは相手もびっくりしちゃうし、失礼だから、それは絶対ダメですよって。そのかわりに、こう立っていたら、手の甲をこう触って合図したらいいですよって言っていたのを、一瞬、思い出しました。それで、ここに物があるっていうことを教えるときも、こうやって上から手を掴んで伝えるんじゃなくて、そういう人もいるけれど、こうして手を下から、手の甲で、見えない人の手を、その物のほうに持っていってあげてくださいって。
・パートナーを意識したときと、今までとの違いとしては、より動かなくなった気がしました。どう動くかとか、動きを楽しむとかいうよりは、もっと触れること自体の、触れている場所と場所の暖かさだったり、質感みたいなものを感じようとして、動きがどんどん減っていくし、触れていなかったとしても、一部だけ触れていて、他の面が触れていなかったとしても、不安があまりないような気がして、動かなくてもいいし、あまり触れていなくても不安にならないし、もう少し自由に、やりたいようにやれていたような気がしました。
・上手くフィーリングが合う時と、合わない時がある。そのシーソーみたいなバランスが、「パートナー」らしいって感じがしました。いっつもこう寄り添っているっていうのは、本当のパートナーじゃないっていうか。いつも仲が良いわけじゃないじゃないですか、夫婦でも恋人でも。そのフィーリングが合う・合わない時間がありながらも関わりあいながら、それがパートナーだなって。
・見ていてみなさん信頼関係が築けているからこそ、何か気遣いながら、大事に相手のからだに触れたり、からだを添わせたりしているなって、すごく大切なものを見させてもらっているなっていうのと同時に、皆さんのからだの動きが面白いなって、ちゃんと相手の動きに反応していて、見飽きないなって思っていて。この見飽きないなって思う感覚が、鳥を見ているような(笑)。けっこう鳥って、鳩もカラスもすずめも、たいてい見ているとパートナーがいるんですよね、つがい。鳥って離れていても、追いかけたり、勝手に1匹ずつエサを食べていても、いつの間にか寄り添っていたりとか、そういうのって時間さえあればずっと見ていられるっていうか。何でパートナーっていうのは見飽きないんだろうなって。なんかそれを思い出しました。
・さっき、共通言語っていう言葉がでてきて、普段の生活の中でも共通言語が見つかりやすいタイプの人と、共通言語を失いやすいタイプの人とのコミュニケーションがあって、なんか共通言語がない楽しさが、ポジティブに考えればあるんだなって。言葉も、母国語が違うとか、そういう探っていくっていうことに対して、もう少し貪欲になってもいいのかなって感じました。ロストしがちな人とか、最初からフィーリングが合って共通するものが多い人もいるし、家族とかもね、そんなことを考えながら最後、動いてました。
8回のワークショップを通して、色々と「触れる/触れられる」について取り組み、参加者の皆さんからたくさんの言葉が生まれてきました。言葉で伝えられることも、からだで伝えられる美しさも、ひとりひとり、それぞれに持っているものがあり、とても面白く、複雑だと感じました。ワークショップを通じた気づきは、6月14日(金)~23日(日)にかけて北千住のBUoYで行う公演や展示へとつないでいきました。
今回はここで一度終えますが、こうした「触れる/触れられる」について、からだと言葉を交えながら、自分の中で終わらるのではなく、他者と共有していける場を、どのように社会の中につくっていけるのか、今後も考えていきたいと思います。
あらためて助成いただいたアーツカウンシル東京と、参加者の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。