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ライセンスなしの電力小売ビジネス参入!どんなビジネスモデルがある?


2016年4月1日以降、電力小売ビジネスが全面自由化され、様々な企業が参入できることになりました。

一般の需要に応じ電気を供給することを小売供給と言い(電気事業法第2条第1項第1号、以下電気事業法を単に法といいます。)、小売供給を行う事業を小売電気事業と言います(法第2条第1項第2号)。
小売電気事業を行う場合、登録が必要とされています(法第2条の2)が、全ての事業者が登録の要件を満たせるわけではありません。そこで、この記事では、電気事業法上許容される、この登録をせずに電力小売ビジネスに参入するビジネスモデルについて概観したいと思います。

【媒介】、【取次ぎ】及び【代理】

小売電気事業の登録をせずに電力小売ビジネスに参入するビジネスモデルとして、電気事業法上、「媒介」、「取次ぎ」及び「代理」が許容されています(法第2条の13第1項参照、電力の小売営業に関する指針(経済委産業省・平成28年1月制定、令和4年4月1日最終改定)2(2)ア(41頁)参照(以下単に指針と言います))。


(1)媒介

媒介とは、他人(小売電気事業者及び小売供給を受けようとする者)の間に立って、当該他人を当事者とする法律行為(小売供給契約)の成立に尽力する事実行為を言います(指針2(2)ア(41頁))。

以下の図を用いて例を示します。媒介業者たるA社は、小売電気事業者と小売供給を受けようとする者(以下、需要家と言います)の間に立ち、需要家に営業を行う等します。小売供給契約は小売電気事業者と需要家との間に成立します。


(2)取次ぎ

取次ぎとは、自己の名をもって、他人(小売電気事業者)の計算において、法律行為(小売供給契約)をすることを引き受ける行為を言います(指針2(2)ア(41頁))。

以下の図を用いて例を示します。取次業者であるA社は、自己の契約として需要家と小売供給契約を締結します。しかし、小売電気事業者は、A社に対し、小売電気事業者の電力の販売を委託するために必要な電力を販売する権利を与えているにすぎず、電力の供給は小売電気事業者から需要家に行われます。


(3)代理

代理とは、他人(小売電気事業者)の名をもって、当該他人のためにすることを示して行う意思表示を言います(指針2(2)ア(41頁))。

以下の図を用いて例を示します。A社は小売電気事業者との委任契約に基づき代理権を有しており、小売電気事業者を代理して需要家と小売供給契約を締結し、その契約は小売電気事業者と需要家との間で成立します。電力の供給も小売電気事業者から需要家に行われます。

なお、媒介と代理の違いは、小売電気事業者からA社が代理権を付与されているか否かという点になりますが、実態としていわゆる「代理店」と呼ばれる場合であっても、必ず法律的な代理権が必ずあるわけではなく、上記の媒介のケースである場合があります。

【まとめ】

以上のように、小売電気事業の登録をせずに電力小売ビジネスに参入するビジネスモデルとして、「媒介」、「取次ぎ」及び「代理」があり、登録を行わなくても電力小売ビジネスに参入することができます。

しかし、これらのビジネスモデルの場合にも、小売電気事業者と同じように電気事業法上の説明義務等が課されるため、注意が必要です。その詳細については別の記事でご説明します。

【執筆者】弁護士 平野満穂 リモートで企業の法務チームの一員として、エネルギーやデータ分野における上場企業等の法務業務に従事。在日フランス案件にも注力する。

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