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1996_横浜のお嬢様part1.../27.山中湖別荘にて

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登場人物
幸田耕一 日仏食品 ビジネスサポート部      1970年(29歳)
幸田麗華 大介の長女 幸田グループ会社セダ  1976年(23歳)
幸田大介 幸田商事 社長           1940年(59歳)
佐藤愛子 幸田商事 社長秘書 大介の愛人   1966年  (32歳)
ルシア・マルガリータ・ロペス ワイナリー勤務 1978年(18歳)
有村かす美 国際線CA               1968年  (27歳)
江川直樹 日仏食品ビジネスサポート部 部長  1950年  (46歳)
白川萌奈 大手住宅会社 東京支店建築部門事務 1975年(24歳)

2001年のGWは、家族で山中湖別荘に来ていた。

連休ともなれば、このあたりも混むので、近くのホテルやレストランへ食事しにいく時以外は、別荘でゆっくりとしている。

普段忙しい分、何もしないでノンビリするのが一番だと幸田家の人々は考えているらしい。

耕一は最近、ランニングを始めた。

結婚して、安定した生活スタイルになると、腹回りが大きくなってきた、それに最初に気が付いたのは麗華だった。

ある晩、一戦した後、何気に耕一の腹に手を伸ばすと、うっすらというより確かに贅肉が付いている。
改めて見て触ると、今まで腹筋があったところが、贅肉で覆われている。

麗華「こーちゃん、お腹…」

耕一「うっ、何?」

麗華「お腹が出てきているわよ…」

耕一、言われて自分の腹を見る。

耕一「確かに…」

麗華「ジムでトレーニングするとか、走るとかしないと、ダメね…」

それから、週3回近所にジムを探して行くようになった。
流石に、別荘付近は無いので、早朝湖畔を1周している。そのうち2周することになるだろう。

ある朝、何時もの様に湖畔の歩行者専用道を走っていると、向こうから何処かで見たことのある顔が来る。
やはりランニングしている女性だが。向こうも気が付いたようで、歩みを止めた。

かす美「あら、耕一さん、奇遇ね…」

耕一「なんで、ここにいるの…」

かす美「娘と泊まりに来ているの…」

耕一「そうなんだ、別荘が近くなんで、寄って下さい…」

かす美「えっ、だってご家族がいるところへは...遠慮します…」

耕一「そうですか、じゃー、また今度、9月に出張でイタリアへ行きますが、これ僕に携帯番号…」とさり気なく、番号を教える。

かす美「じゃー、また…」かす美は不思議だった、なんで耕一は電話番号を教えたのだろう。
電話してくれと言うのか、謎だった。

耕一が別荘へ帰ると、麗華の機嫌が悪い。

耕一「どうかしたの…」

麗華「さっき、見たわよ、誰あの美人…」どうも、クルマでパン屋へ行くときに、耕一とかす美が立ち話をしている場面に遭遇したらしい。

耕一、一瞬驚くが、平静さを保ち「ああ、偶然あったの、知り合い…」

麗華「美人の知り合い?どういう関係…」

耕一「エールフランスのCAなんだ、何度か機内で顔見知りになった、それだけだよ…」

麗華「そう、怪しいもんだわ…」

耕一「ホントだよ。疚(やま)しい事は何も無いよ、天地天命に誓って..」

麗華「大げさね、なら良いわ、でも今晩は尽くして貰います…」

耕一「そんな..」

この頃は、完全に麗華の尻に敷かれている耕一だった。

連休も終わり、横浜へ帰り、日常生活へ戻った、ある日、携帯に見知らぬ番号から着信があった。

耕一「もしもし、さっきお電話頂いたんですが..」

かす美「私です。言われた通り、電話しましたけど…」

耕一「ああ、かす美さん、丁度良いや、今度の出張が早まって、6月始めに行くことになったんで、かす美さんの乗る便を教えてください…」

かす美「ええ、そうなの…」しぶしぶ、便名を教える。

耕一「じゃそれで予約します…」という。かす美は不思議だった。

6月になり、耕一はイタリア出張でかす美の乗るエールフランス便に搭乗した。

ビジネスクラスのシートに座って、前日からの準備が遅くまで続いた所為もあり、シートへ座った途端、寝てしまった。

気が付くと、枕や膝掛けを持って、かす美が横にいた。

かす美「お疲れでしょ、これ…」と言って、それらを渡された。

耕一「ありがとう、少し寝ます…」と言い、寝てしまった。

何時間寝ただろう、食事の時間らしい、良い匂いが周囲から漂ってくる。見ると周囲の乗客は皆、トレイが配られて、食べている。

耕一だけ、寝ていたので、起こされなかった様だ。

かす美「気持ち良さそうに、寝てらっしゃったので、今お持ちしますね…」といい、戻っていった。
耕一は、今度のパリ行きが何か楽しくなってきた…当然、それは先ほどの美女とのアバンチュールを期待してのことだが…それは、意外にも..。

それが、2001年6月の出来事だった。

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