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2006横浜のお嬢様part3.../ 13.婿の帰還

登場人物(2007年時点)
幸田麗華  幸田商事 社会福祉LPF社長    1976年(31歳)
幸田耕一  KGC建設 社長 麗華の婿     1970年(37歳)
幸田大介 輸入商事 会長           1940年(66歳)
江戸直樹 幸田商事 社長           1950年 (57歳)
高橋 直美 KGC建設設計部長 耕一と愛人関係 1970年(37歳)
後藤 絵美 Y国大 OG,KGC設計部 新人   1981年(26歳)


翌日に耕一達が大磯プリンスホテルからみなとみらい地区のコンチネンタルホテルへ戻ったのは、午後でそこからまた愛の交歓を再開して、絵美が着替えに帰宅したのは、月曜日の早朝だった。

耕一はアストンマーチンで彼女の本郷台のマンションまで送った。

耕一自身は、会社のロッカーにある、シャツやスーツに着替えて出社した。

後で自宅に連絡を入れて、執事にスーツと着替えを頼んだ。

自分の部屋で、山中湖畔の美術館のプランをチェックしていると、麗華が前振りもなく、耕一の着替えを持って現れた。

麗華「これ着替え...」

耕一「ああ、ありがとう...」

麗華「何処に泊まっているの、連絡も無く...」

耕一「コンチネンタル...」

麗華「まだ怒っているの...」

耕一「何時まで怒ろうが、僕の勝手だろう...」

麗華「...」

耕一「他に用が無いなら、この図面をチェックしたいんで...」

麗華「私が、悪かったわ...反省してます...だから、帰って来て...」

耕一「...帰って来て...」

麗華「…うっん、帰って来て下さい...」

耕一「そう、じゃー夕方、帰るから…」

麗華、少しはにかみながら、出て行く。

耕一は麗華が向こうから折れたことに、少し驚いた。

何せ初めてだったからだ...。

少し、感動もしていた...。

ああまで、言われたら、帰るしか無いと、コンチネンタルホテルへ、今晩からのキャンセルを伝えた。

絵美は、麗華が社長室へ着替えを持ち入るのを見ていた。

それで察した、耕一が土曜日の午後に絵美に連絡して、2日間一緒に居た理由を...。

多分、麗華と喧嘩をして、家を出たのだと、だから理由は聞くなと言ったのだと。

耕一との愛の2日間は、秘薬の壺の中だった。

あれを味わうと、またもう一度ととても強い中毒性がある。

単に女と男の関係だが、知ってはいけない体験をしたことに、恐れを抱いた。
また、耕一を求めてしまう禁断症状が出ることに。
 
その晩、耕一のアストンマーチンは3日ぶりに山の手通りのガレージに戻った。
あの独特の排気音は、婿の帰還を家族一同に知らせ回っている。

家族用の玄関から入ると、麗奈・耕介・翔の三人が麗華の前に陣取り、耕一を迎えた。

耕一が翔を抱き上げると、耕介もせがんだ。

麗華は、嬉しそうにそれを見ている。

麗華「さっ、パパはお食事するから、貴女たちは向こうへ行ってなさい…」子供達が行くと、

麗華「お帰りなさい...ご主人様...」と頭を下げる...。

耕一は驚いた、結婚して、未だかつて麗華がそんな事をするなんて一度も無かったからだ。

鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていると、麗華が立ったまま、唇を重ねて来た。

最初はフレンチに、やがて濃厚に舌を入れてきた。キスをしながら、ああー、これはベットへのお誘いだと察した…。

多分、不在にしていた期間の、身体検査なのだ…。逃げようもないので、腹を決めて、麗華を強く抱いて、キスを返した。

耕一「このまま、寝室へ行く…」と耳元でつぶやく…。

麗華が唇を噛んで、睨んできた...その表情が、可愛い。

とても3人の子持ちには見えない...「バカ...後でね...」とキッチンへ行った。

それを廊下の角で、大介の妻の愛子が見ていた。それを大介へ報告する。

大介「そうか、それなら、良い...」
大介も、あの話し合いの後、耕一が不在になったのを気にしていたのだった…。

我が愛娘ながら、母親が早くに無くなり、我が儘に育ててしまった引け目があり、婿にも気を遣っている。

我の強い娘の手綱を上手く調教していると思っていたが、意外にも彼にも強い芯があるようだ。

GW迄に結論を出さなければいけないが、どうしても愛娘に偏りがちな自分の判断を、今回はどうしようかと悩んでいた。

耕一がグループに入社して以降、急激に業務を拡大・拡張してきたので、従業員も既に500人を越えている。

その従業員達を考えると、理想だけではやっていけないのは自明で。

今回は、今までのようか判断や理想・理念だけで無く、現実的な考え方も必要だろうと…。
 
それが、2007年2月の出来事だった。

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