
2006_横浜のお嬢様_part3.../ 8. ゲレンデの事故
登場人物(2006年時点)
幸田麗華 横浜市議、幸田商事 社会福祉LPF社長 1976年(30歳)
幸田耕一 KGC建設 社長 1970年(36歳)
岸野友一 KGC建設 建設部長 1971年(25歳)
高橋 直美 KGC建設設計部長 耕一と愛人関係 1970年(36歳)
岸野萌奈 岸野の妻 独身時耕一の恋人 1974年(32歳)
後藤 絵美 Y国大 OG,KGC設計部 新人 1981年(25歳)
近藤 彰 Dハウスから出向 KGC設計部 1972年(34歳)
年が明けて2007年1月の連休にKGC建設のメンバーで志賀高原へ行くことになり、幸田家のガレージから、レンジローバーを出した。
またレンタカーで4WDワゴン車を借りて、総勢10名で行くことになった。一大イベントである。幹事には岸野が当たった。
麗華「気を付けてね...事故なんて起こさないでよ...」彼女は子供達も居るので、留守番をするという。
メンバーには、岸野、その妻の萌奈、高橋直美、近藤、そして後藤絵美と他5名だった。
要は、KGC建設の中心メンバー+萌奈だった。
耕一が運転する、レンジローバーには、直美、絵美の3名が同乗した。
岸野と萌奈はワゴン車に他のメンバーとなった。
女子二人は後部座席に座った。後ろの二人は仲良くお喋りに夢中だ。
早朝の出発だったので、やがて車内は静かになった。
高速で5時間弱で到着した、志賀高原は白銀の別世界だった。
宿泊はプリンスホテル西館だった。
久し振りに、スキーリフトに乗り、小雪が舞い散る中を山頂に向かうと、何故か生きていて良かったと思う。
女子は皆、ボードで初級・中級者レベルだった。
今回は耕一はスキーにした。
久し振りに午前中滑りまくると、午後はビールが効いてホテルの部屋で午睡をしていた。
するとノックがあり、明けると高橋直美が立っていた。
部屋に入るなり、唇を求めてきた。
慌てて、押し戻すと、泣き出しそうになったので、慌てた。
耕一「どうしたの、急に...」
直美「どうしたも、こうしたも、全然逢ってくれないし...」
その後、なだめるのに1時間掛かった。
耕一は岸野と相部屋だったので、流石にそこで抱くわけにも行かず。
フロントへ空き部屋を確認したが、連休中で空いてる部屋は無かった。
耕一「今回は我慢して...部屋も空いていないし...」
直美は涙ながら、頷いた...思わず抱きしめた。
二人で、ゲレンデに出たが、滑る気になれず、カフェでビールを飲んでいた。
夕方まで、滑っていたメンバーは雪まみれで戻ってきた。
夕食後、バーで岸野と飲んでいると、萌奈・直美・絵美がテーブルに来て5人で酒盛りになった。
男二人は聞き役で、女子達が笑い転げていた。
よく聞くと、男子社員の噂話から、悪口まで何でもありの話だった。
萌奈「ところで耕一さんの彼女って、今誰なの...勿論、れいちゃんに内緒だけど...」
すると直美と絵美は、急に黙り込んだ...
耕一「何、馬鹿なこと言ってるんだよ、そんな居るわけ無いだろう...」
岸野「萌奈ちゃん、悪い冗談は止めなよ...」と萌奈に目配せした。
何かを察した萌奈は、急にトイレと言って席を立った。
岸野が「そろそろ帰りましょうか...」と言うと、
直美「私もう少し飲みたい、社長も飲むでしょ...」と言う、昼間の事もあり、耕一が頷く。
絵美「私も飲む...」とワインを頼み始めた。
結局、3人で飲むことに...。
話すことも少なく、三人で黙々と飲み始めた。余りの気まずい雰囲気に堪らず。
耕一「二人とも、何か話しなよ...」
直美「そう...じゃー、社長と奥さんの馴れそめが聞きたいな...」
絵美「ああ、それ、良い。是非、聞かせてください...」
耕一「ええー、何処にでも有るような、詰まらない話だよ...」
絵美「大体、どうやって、奥さんを口説いて、モノにしたんですか...」
耕一「モノにする...凄い表現だな...大体、口説いてないし...」
直美「ええ、口説いてない...じゃー、麗華さんが、言い寄ったの...」
耕一「いや、なんとなく、そうかな...こう、自然とね..あるでしょ、そう言うの...」
流石に、一緒に来ている萌奈と三角関係だった、なんて言えない...。
二人「ふぅーん...」と疑わしい目で見る。
直美「ねー、絵美ちゃん、社長の事、どう思う...」
耕一「何だよ、藪から棒に...」
絵美「そうですね、素敵だと思いますよ、奥さん居なければ、言い寄りますね...」とアルコールも回って、上目遣いで耕一を見つめる。
直美「何ですって、ダメよ。会社では、社長は私のもの...」とこれまた酔いに任せて、暴言を吐く。
耕一と絵美、驚いて「ええー…」
耕一「そろそろ、お開きにしよう。君たち悪酔いしているよ...」
二人口を揃えて「酔ってません...」
直美が絵美の顔をマジに見て「ねー、絵美ちゃん、これから三人で部屋へ行こうか...」と直美がニヤニヤして、耕一の顔を上目遣いに見る…。
絵美「うーん、どうしようかな...大体、こーちゃんは来るの…」
いつの間にか、社長からこーちゃんに成っているし...
直美「来るも何も、二人で拉致するのよ...拉致...らち…」
絵美「さっ、行きますよ、こーちゃん...」
耕一「二人で帰ってください。僕は自分の部屋に帰ります...」
直美、耕一の右手を持ち、「絵美ちゃん、そっち持って」と左手を持つように絵美に指示する。
絵美はすかさず、耕一の左手を抱きしめて、エレベーターへ向かう。
耕一は、酔っ払いの美女二人に連行され、引きずられる様にエレベーターに乗る。
彼女達の部屋は5階で、耕一は6階だった。
エレベーターが6階に着くなり、二人の腕を振りほどき、耕一はホールへダッシュし、出る間際に、扉のクローズボタンを押した。
唖然とする二人、呆然としているがエレベーターのドアは閉まって5階へ下がっていく。
中で、ドンドン叩く音がしている。
「こらー、こー助、にげるなー」と下がるエレベーターから罵声が聞こえる…。
耕一は深いため息をついた。
「ふうー、やれやれ…」
これが、2007年1月の出来事だった。