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第6の大絶滅は起こるのか―生物大絶滅の科学と人類の未来/ピーター・ブラネン 図書館の書架から その2

近所の分館の図書室の本棚を何気に見ていてたら、この本が目につき借りてみた。
この本で一番納得したのは、生命が誕生して5億年という時空の中での5回の大絶滅のその痕跡が私達の身近な場所に存在しているという視点だった。
その一つ例が第5章の「疑わしいクレーター」(p.179)でニューヨークのマンハッタンのハドソン川の対岸にある玄武岩の断崖絶壁に3億年前の三畳紀の大絶滅の痕跡である爬虫類と魚類の化石が数多く出てくる。という行だった。世界経済第一の都市に隣接する対岸にそんな大昔の痕跡があるという。私達が普段生活するその隣に見えない過去の世界が実は見えていると言う事に、驚いた。

ジョージ・ワシントン橋の橋脚の向こうに見える断崖絶壁。

もう一つのこの本の特徴は、作者が丹念に地質学・古生物学・宇宙学・地球物理学研究者にインタビューや同行調査を丁寧に書いていることだ。普段表に出てこない、研究内容を克明に書くことで証拠を一つ一つを積み重ね、数億年の事実に迫っていくのは、ある意味ミステリー小説の謎解きを読むようでもある。

それにしても、この本は読みにくい正直読むスピードが上がらない。上がらない理由は、文章が読みにくい上に、書き方が回りくどい。単に「パンゲア大陸」と書けば良いところを、延々と説明する。そして一番の問題は各年代の大陸の地図や歴史表が全く無い点であり、スムーズな理解を妨げている。だから本にのめり込み出来ない、しかも歳で読むスピードが落ちている上にである。

前置きは此位で、概要を記述する。

地球誕生以来、5回、地球上のほぼすべての生物が死滅した。
なぜ生物大量絶滅は起きたのか?
気鋭の科学ジャーナリストが、
地質学・古生物学・宇宙学・地球物理学などの科学者に直接会い、
現地調査に加わり、化石を掘り起こし、
大量絶滅時の地球環境の変化を生き生きと描く。
そして今、気候変動の引き金をひきつつあるわれわれ人類は、
過去の大量絶滅から何が学べるのか――

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地球の過去の生物大量絶滅を考察して、人間の手で大量絶滅を起こしつつある現代に活かそうとした書。著者(科学ジャーナリスト)の言に依ると、過去に"五大"大量絶滅があったと言う。
第一のオルドビス紀の大量絶滅の原因は間氷期→氷河期に伴う海の干上がり。
第二のデボン紀の大量絶滅の原因は海の酸欠と大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の低下及び間氷期→氷河期に伴う急激な寒冷化(あるいは初期の火山の灼熱地獄と寒冷化との間の気候変動。そして、生物は陸へと進出し、現代と同様にCO2が気候変動に密接に関係している事が示唆される。
第三のペルム紀の大量絶滅の原因はCO2の充満(地球温暖化)。海は酸欠で、CO2と硫化水素に満ちていた。
第四の三畳紀の大量絶滅の原因は地球規模の火山活動によるCO2の飛躍的急増。海では水温の上昇、酸欠、酸性化が起きていた。
最後(最新)の恐竜を含む白亜空の大量絶滅の原因は人口に膾炙しているので省略。この結果、火山活動による地球温暖化(温室効果)と酸性雨による寒冷化の頻繁な交代及び海洋酸性化が起こった。

紫陽花公開プロフィール (amazon.co.jp)

第1章 物語の始まり
カンプリア燥発が引き起こした最初の大量死
海水中の酸素量の急激な増加

第2章 オルドビス紀末の大絶滅【4億4500万年前】
北アメリカで一番化石が豊富な場所
4億5000万年前の海底で化石採集
オルドビス紀の海と大陸
超絶大噴火と生物多様性のビッグバン
殺人光線、ガンマ線バースト仮説
氷河湖の決壊による大洪水
気候を支配する二酸化炭素
大気中の二酸化炭素と山脈の浸食と石灰岩
逃げ道のない地形
酸素の増加で死滅した生きものたち
オルドビス紀末に戻ってきた海

第3章 デボン紀後期の大絶滅【3億7400万年前、3億5900万年前】
何度もあった絶滅のピーク
ギルボアの化石の森
陸上に進出した樹木が引き起こした危機
交錯する証拠
ハイウェイ脇の氷河に削られた岩
デボン紀の海の王、ダンクルオステウス
海から逃げ出した私たちの祖先
陸上への第一歩
超大陸パンゲアと侵入種―生物多様性の喪失
陸上植物と人間がもたらすもの

第4章 ペルム紀末の大絶滅【2億5200万年前】
チワワ砂漠に葬られているペルム紀の生きものたち
「グレート・ダイイング」を追う古生物学者
殺し屋は宇宙から?
カルー砂漠の骨
地質学を一変させた大陸移動説
化石燃料を焼きつくしたシベリアの洪水玄武岩
シベリアトラップの再現
大最絶滅の「オリエント急行殺人事件」理論?

第5章 三畳紀末の大絶滅【2億100万年前】
故障した地球のサーモスタット
回復した生きものの世界
疑わしいクレーター
再び火を噴いた大地
気候変動で傷ついた生きものたち
謎の生きもの、コノドント
消えたサンゴ礁
三畳紀末と現代の相違点
次の時代の主役

第6章 白亜紀末の大絶滅【6600万年前】
恐竜とともに絶滅した生きものたち
化石が皆無の粘土層
謎めいた無秩序な岩石
衝突クレーター発見の物語
一瞬の出来事
衝撃の大きさ
マヤ文明とクレーターをめぐる旅
爆心地へ
再び洪水玄武岩―デカントラップ
続く論争
チクシュルーブ衝突が火山活動を誘発

第7章 更新世末の大絶滅【5万年前―近い将来】
めまぐるしい気温の変動
ホモ・サピエンスの移動のあとを追う絶滅の波
オーバーキル(過剰殺戦)説
ヒトがシヨートさせる地球システム
海で起きていること
人類が滅ほした生物種はたったの800
ネットワークの崩壊

第8章 近い将来
人間の生理機能の限界
気温はどこまで上昇するのか?
2100年以降の世界
テクノロジーの未来にある脅威
人類が次の氷期の開始を遅らせる?

第9章 最後の絶滅【今から8億年後】
再編される大陸
地球は幸運な星なのか

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正直、この本を読了するには、かなりの忍耐が必要である。しかもボリュームがあり、2週間の貸出期間で、読めるとは到底思えない。

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