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2004 双子姉妹の恋.../19.弟の年上の恋人

登場人物
友部 彩 双子の姉 製薬会社 新薬開発研究課 1982年
友部 舞 双子の妹 ハウスビルダー 設計担当 1982年
友部 聖(あきら)  彩・舞の弟 1985年
友部 友梨 舞・彩の母
友部 幸太 彩・舞の父
 
山下 敦 ハウスビルダー 設計担当 1976年
高山 耕一 製薬会社 新薬開発研究課チーフ 1972年
山辺 早奈江 不動産会社 営業課長、聖の恋人 1980年
本田 かすみ 不動産会社 営業担当 1986年
半田 幸恵 つくば市要の地主    1975年
半田 充 幸恵の長男        1984年
 
今日10月下旬の水曜日は、彩・舞の弟の聖と彼の恋人で不動産営業課長の山辺 早奈江が舞と敦の自宅へ遊びに来ている。

4人で、食事をしようということになっているが、実は聖と早奈江の初めてのデートである。

聖が耕一・舞邸のパーティーで早奈江を見そめて、付き合い始めた。

一目惚れらしい。

なので、舞と敦は、聖の意向に沿って、この場を設定した。

敦「早奈江さん、聖君です…」

聖「よろしくお願いします。今日はわざわざありがとうございます…」

早奈江「こちらこそ、一度ここのパーティーでお会いしましたよね、簡単なご挨拶だけでしたけれど…」

いつもより、念入りに化粧してきた早奈江を見て、敦は驚いた。

元々少しクールな美人だと思っていたが、女優と言っても通用しそうな美貌で有る。

聖が夢中になるのも、頷ける。

少し悔しい気分もあるが、妻の前だし、フェアにしている。

最初はぎこちなかった二人の会話を、舞と敦でサポートして、食事会も終わりそうである。

この後、二人で、何処かへ行くようである。

敦と舞は、ニコニコしながら見送っている。早奈江のMINIで、出かける二人を見送る。

舞「あなた、残念そうな顔しているわよ...」

敦「...そんなことないよ、あの二人意外にお似合いかもね…」

舞「大変なのは、これからね...」

敦「えっ、なんで...」

舞「うん、そのうちにわかるわ...」

敦は舞が何を言っているのか、分からなかった。
 
早奈江と聖は、常磐道で北上し、ひたち海浜公園へ来ている、10月下旬のこの頃は、真っ赤に紅葉したコキアが素晴らしい。

それを目当てに観光客も多いが、平日の今日はそれほどでもないが。

早奈江「私、ここに前から来たかったんです。綺麗…」

聖「本当ですね。早奈江さんと一緒に来るとこが出来て、嬉しいです…」

早奈江「ねぇ、聞いていい...どうして、あたしなの?年上だし、バツイチだし...」

聖「初めて、早奈江さんを姉さんちで見たときに、ああ、この人だと…つまり、一目惚れという奴ですね…」

早奈江「でも、聖さんは良いけど、ご両親とか、どう思っているのかしら...」

聖「自分で決めるので、親は関係ないです...」と語気を強める。

そんな聖を見て、早奈江は少し不安になった。

その早奈江の不安の通り、事件は起きた。

その1ヶ月後、聖が早奈江と交際していると知った母の友梨が舞に電話をしてきた。

友梨「舞、なんで聖にあんな女を紹介したのよ…」

友梨の怒った声は、受話器を通り越して、隣にいる敦まで聞こえる。

舞「お母さん、落ち着いてよ。事情を説明にそっちへ行くから…」と慌てて、敦と実家へ急いだ。
 
友梨「聖に聞いたら、年上で、しかもバツイチだっていうじゃない。なんで寄りにも寄って、そんな女紹介したのよ…」

舞「お母さん、確かにそうだけど、素敵な人よ。年上っていったて、5歳だし、一度会ってみたら…」

敦「そうですよ、内の営業課長だし、有能で素敵な人です。聖君が惹かれるのも、分かります…」

舞「あなた、なにそれ、あなたも早奈江さんが良いの...」

敦「いや、そんなつもりじゃないけど。ともかく、お義母さん、一度会ってくださいよ…」
 
翌週、友梨・幸太と早奈江・聖、舞と敦の6人が、舞の家で会うことになった。

敦「こちらが、山辺早奈江さんです。こちら友部幸太さんと友梨さんです…」

早奈江「山辺早奈江です。よろしくお願いします…」

友梨「山辺さんは、婚歴があるのね…」

早奈江「はい、5年ほど結婚していました、その後分かれました…」

友梨「どうして分かれたの...」

舞「お母さん、それはプライベートなことじゃない...」

早奈江「いえ、良いんです。相方が好きな人が出来たので、分かれてくれと...」

友梨「あなたは、それで納得したの...」

早奈江「相手にそう言われて、引き留めますか...。私は、身を引きました」
聖「お母さん、それ位で、良いでしょ。元々、僕が早奈江さんに会いたいと舞お姉ちゃんやお義兄さんに頼んだんだから…」

友梨「聖、私達は反対ですからね...」

聖「なら、しょうがない、僕は家を出て、早奈江さんと暮らします…」

友梨「えっ、そんな...」

友梨の強硬な態度は、逆に聖に決心をさせたようだ。

聖「早奈江さん、今晩から早奈江さんの所へ行ってもいいですか...」

早奈江「聖さん、それは困るわ。お母さんが納得しないわよ…」

舞「じゃー、ウチのリビングに寝なさい。良いわね、お母さん...」

ということで、聖は舞の家のリビングに寝泊まりすることになった。

舞「お母さんも頑固なんだから。聖、暫くここにいて、アパートでも探したら。まだ学生だしね。ママのマンションじゃ、嫌でしょ...」

聖「うん、ママのマンションはね。自分で探すというより、早奈江さんに良い物件を探して貰うよ」

敦「早奈江さんというと、またお義母さんの心証が悪くなるから、僕が探すよ…」

聖「よろしくお願いします…」
 
10日ほどして、聖は敦が探した賃貸マンションへ移った。
 
それが、2006年11月の出来事だった。
 

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