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2004 双子姉妹の恋.../15.なぜ水曜日は休み

登場人物
友部 彩 双子の姉 理科大 薬学部4年 1982年
友部 舞 双子の妹 ハウスビルダー 設計担当 1982年
 
山下 敦 ハウスビルダー 設計担当 1976年
高山 耕一 製薬会社 新薬開発研究 1972年
山辺 早奈江 不動産会社 営業部長
友部 友梨 舞・彩の母
 
ディベロッパーの営業職で入社した山辺早奈江は、前評判通りのやり手だった。
入社直後に3物件を契約し、その後3物件も契約見込みである。

早奈江は、年齢的には敦の4つ下で舞より2歳上である。
婚歴はあるが、今は独身で子供はいない。
何より美人である、彩や舞とは違った、正統派の美人であり、それがやり手と言われる営業上手なので、どうもその業界では知られた存在らしい。

4月のとある夕方、つくば市のプールで泳ぎに行った耕一は偶然、早奈江に出会った。

耕一「あれっ、どうも...」

早奈江「ああ、高山さんもここのメンバーですか...」

耕一「はい、もう2年前から」

早奈江「お茶でも飲みますか...」

耕一「良いですね。近くに紅茶専門店があるので、どうですか...」

早奈江「ああ、分かります。じゃー、そこで」

西大通りに面している紅茶専門店ハナミズキで、二人お茶を飲んでいる。

耕一「そうか、今日は水曜日だから早奈江さんは、お休みなんですね」

早奈江「そうなんです、水曜日は不動産関係は昔から休みなんですよ。どうしてだか、分かります...」

耕一「はて、確かに営業職の休日は火曜・水曜日が休みが多いですね。…わかりませんね...」

早奈江「じゃー、ヒント。漢字ですよ...」

耕一「水曜日。水。みず…。あっ、分かった」

早奈江「分かったみたいですね」

耕一「ええ、水は流れる。案件が流れるのは、イヤだから。水曜日は、仕事をしない、じゃないですか」

早奈江「大正解です。流石ですね」

耕一「あはは、簡単ですよ」

早奈江「じゃー、私の出身地はどこだか分かりますか」

耕一「えっ、山辺さんの出身地ですか...当たったら、何か奢ってくださいね」

早奈江「分かりました。ヒントは無しですよ」

耕一「多分、関東...」

早奈江「正解」

耕一「じゃー、神奈川」

早奈江「おお、正解」

耕一「厚木市」

早奈江「おお、なんで分かるの」

耕一「ふふ、凄いでしょ。何を奢って貰おうかな」

早奈江「この先に窯焼きピザの美味しいイタ飯があるので、そこでどうですか」

耕一「ご馳走様です」

耕一と早奈江は、洞峰公園通り沿いにある、窯焼きピザのアミーチへ行った。

早奈江「ここの窯焼きピザは絶品です」

耕一「美人と一緒に食べたら、なんでも美味しいですよ」

早奈江「あら、そんなお世辞を言っても、何もでませんよ」

耕一「早奈江さんって、モテるでしょ」

早奈江「普通です。でも男運は余り良くないかな...」

耕一「僕なんか、直ぐ結婚したので、女運も何も分かりませんでしたね」

早奈江「耕一さんと彩さんは、仲が良くて良いですね。結婚は1度の方が良いですよ。私も何も分からず結婚して、失敗しましたからね」

耕一「大変でしたね」

早奈江「だから、もう自分で生きていこうかなと」

耕一「微力ながら応援しますよ」

早奈江「あら、嬉しい。じゃー、ワインは耕一さんの奢りね」
耕一「あはは、良いですよ」

この会食が、後で問題になるとは、二人とも思わなかった。

これが、2006年4月の出来事だった。

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