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1996年_横浜のお嬢様part1.../28.妻の友に

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登場人物
幸田耕一 日仏食品 ビジネスサポート部      1970年(29歳)
幸田麗華 大介の長女 幸田グループ会社セダ  1976年(23歳)
幸田大介 幸田商事 社長           1940年(59歳)
佐藤愛子 幸田商事 社長秘書 大介の愛人   1966年 (32歳)
ルシア・マルガリータ・ロペス ワイナリー勤務 1978年(18歳)
有村かす美 国際線CA              1968年 (27歳)
江川直樹 日仏食品ビジネスサポート部 部長  1950年 (46歳)
白川萌奈 大手住宅会社 東京支店建築部門事務 1975年(24歳)

耕一とかす美は、パリで再会した。

耕一はかす美をルーブル美術館へ誘った。
ベタな場所だと、かす美は思った。第一、観光客とバカンス客で混雑している場所へわざわざ..何を考えているんだろう、捕まえ所がない男…

耕一「マルリーの中庭へ行きたいんだ…」

かす美「マルリー..中庭…」

耕一「ルイ14世が建てたマルリー城の彫刻が展示されているが、観客も少なく、カララ大理石の彫刻が展示されているらしい…」

かす美「そう、知らなかった…」

観光客で混雑する、ガラスのピラミッドのエントランスホールかナポレオンホールを左へ折れ、リシュリュー翼へ行くとマルリーの中庭へ行く、二人でその中庭のベンチに座って話をした。

かす美「どうして、私を誘うの?奥さんいるんでしょ…」

耕一「誘っちゃいけないの?口説くから、まだ口説いてないけど…」

かす美「私の前の夫がそうだったの、私がいるにも関わらず、直ぐ浮気ばかり、流石の私でも愛想尽かして、家を出たわ…」

耕一「そうだったんだ。でもベットへ誘っていないよね…」

かす美「そのうち、誘うでしょ…」

耕一「考え中だけど、もし誘わなかったらまたデートしてくれる…」

かす美「何、プラトニックな関係になりたいの…」

耕一「ベッドへ誘えないなら、そういう関係でもいいかも。多分、神様の怒りがフラストレーションになって、美人にはそう反応しているのかもしれないが…」

かす美「元々、奥さんは怖い人じゃなかったでしょ、あなたが浮気したり他の女に気が向くとかそんな馬鹿なことをしているから、そうなったんじゃないの…」

耕一、暫く考えて「確かにそうだ、悪いのは僕だ…」

かす美「やっぱり、男ってダメな生き物ね…」

耕一「分かった、これからは、君を誘っても、ベットへ誘わないよ…」

かす美「何か少し違うと思うけど、それは私じゃ無くて、奥さんに言ってあげて…」

耕一「いや、それも言えないな、言ったら、殺される…」

かす美「じゃー、ダメね。私の事も諦めて…」

耕一「じゃ、かす美さん、麗華の友達になってくれないか、それなら、また会えるよね…」

かす美、耕一の顔を暫く見て「変な人ね、恋人や愛人がダメなら、今度は奥さんの友達になれって…」

耕一「今度、横浜の家に遊びに来て、紹介するから…」

かす美「別に、良いけど、変な人…」

帰国後、かす美は山の手通りの幸田家を訪れた。

かす美「凄い家ね、奥さんよく私と会うと言ったわね…」

耕一「今、臨月で身重だけど、会いたいと言ってるから…」

二人、応接間に行くと、大きなお腹を抱えた麗華がいる。

耕一「麗華、こちらかす美さん…」

麗華「ようこそ、いらっしゃい…」

かす美「身重なのに、大丈夫ですか?旦那さんが、言うので来ましたが…」

耕一「だから二人に会って貰って、僕の身の潔白を証明したいんだよ…」

麗華「変な人でしょ、御免なさいね。私が疑ったからね…」

かす美「私の前の旦那も、どうしようもない浮気男でしたから、分かります。そんな男を旦那に持つと、女は苦労しますね…」

麗華「ホント、時々後悔しますね。かす美さんとは、お友達と言うより同志になれそう…」

かす美「ほほほ、ホントにそうですね、同志ですね..」

耕一はそんな二人の横で黙って、二人の会話を聞いていた。

ある意味、自分の身の潔白を証明したいだけだったが、麗華とかす美が友達になれるのなら、それで良いと思った。

女同士は友達になれるが、男と女は友達になれないのだろうか?ふと疑問になった。
Sex抜きで友達になることも、あって良いだろうと思ったが、麗華には言えないが。

翌月、麗華は第一子を無事出産した。男の子で、耕介と命名された。

その頃、ある驚きのニュースが世界を駆け巡った。
イスラム過激派のアルカイダという、グループがアメリカで摘発され数十人が逮捕された。
彼らは、航空機をハイジャックし、テロを企てていた、メンバーが航空機学校で操縦を学ぶことに不審を抱いた関係者がFBIに通告し、逮捕に至ったらしい。

それが、2001年8月の出来事だった。

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