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2010_横浜のお嬢様_part4.../ 3.TV出演依頼

登場人物(2007年時点)
幸田麗華  幸田G 社会福祉LPF社長   1976年(31歳)
幸田耕一  KGC建設 社長 麗華の婿   1970年(37歳)
常磐 高子 クルマ好き女優 耕一と愛人 1975年(35歳)
岸野友一  KGC建設 建設部長         1971年(36歳)
笹本直樹  横浜TV ディレクター
野島庄司  イタリアレストランオーナー 1953年(54歳)
幸田大介  輸入商事 会長          1940年(67歳)
斉藤 由美 LPF 介護施設 準備室長    1976年(30歳)

8月に入り、岸野が改装工事を進めていた現場が終わり、麗華と斉藤由美のLPF介護施設へ引き渡しが行われた。

10月1日の入居に向けて、準備に入った。
例年夏期休暇は山中湖別荘へ行くのだが、麗華が三浦半島へ行きたいと言うので、6月に行ったリゾート施設へ行った。
今度は、麗華と子供達だけなので、レンジローバーで出掛けた。
麗華と子供達が海岸の水際で遊んでいるが、耕一はパラソルの下、翔と砂遊びをしている。

突然、携帯電話が鳴った。寝ぼけ眼で電話に出ると、知らない番号で、男が話し出した。

電話の男「あのー、幸田耕一さんの携帯ですか...」
耕一「はい、幸田です…」
電話の男「突然すいません。私、横浜TVの笹本直樹といいます。ポセイドンの野島さんから、ご紹介頂いたものです。」それで、思い出した。

すっかり忘れていたが、先月野島に良いよって言っていたあれかと、思い出した。それから笹本Dの話を聞くと、クルマの番組で、俳優が自分の過去のクルマや乗りたいクルマを紹介する番組である俳優が、ジャガーMk2を乗りたいと言っており、コンディションの良いクルマを探しているとのことだった。
購入時期やクルマのコンディション等を聞かれた。
そして来月末、海老名の自動車学校で撮影があるので、乗ってきてほしいとの事だった。

もしかしたら、少し写るかもしれないと、言う。分かったと電話を切った。
麗華達が帰ってきた。

麗華「誰からだったの...」

耕一「うん、TV局からで、クルマを撮らせてほしいとか、少し貸してほしいとか、出るかもしれないとか...」

麗華「えー、こーちゃんTVに出るの...」

耕一「なんか分からないけれどね...」

麗華「先超されたか...私が先だと思っていたのに...」

耕一「そんな話があるの...」

麗華「そう、半年くらい先だから、負けたかな...」

9月末の平日の朝、耕一はジャガーMk2をガレージから出して、海老名の自動車学校へ行った。

その日は、学校の定休日らしく、TV局のクルマ数台しかいなかった。

笹本Dはすぐに挨拶に出てきて、名刺交換した。撮影は午後からなので、それまで待機してほしいと言われ、学校の待合室にいた。

それから、出演者で司会のタレントや俳優、女優達が来て、校舎の前でリハーサルをしているようだった。

その中に女優がひとりいたが、遠目でも彼女の存在感は強く、彼女ひとりオーラが有るように見えた。スタッフに聞くと。

スタッフ「ええ、彼女ですか。女優の常磐高子さんですよ。彼女が幸田さんのジャガーMk2に乗りたいと言っているんですよ」と答えた。
耕一は驚いた、何故なら彼は常磐高子のファンだったからだ。ファンだからと言って、別にファンクラブに入るとか、演劇を見に行くとか言うのでは無いが、彼女が出演するドラマや番組は必ず見ていたからだ。
スタッフから撮影の段取りや、司会のあぎやはぎからどんな質問がされるのかを説明を受けた。

午後撮影の前に常磐高子が来て、挨拶をした。

常磐高子「こんにちは、今日はよろしくお願いします。クルマ見せて貰って良いですか...」

実際の常磐高子はやはり、一般人とは何か違う雰囲気を纏っていた。
それはオーラかも知れないと耕一は思った。
今まで耕一が知っているどの女性とも違うものを持っている。
麗華や他の誰かとも違うものを。
彼女に見つめられて、ふと返事を忘れていて、慌てて答えた。

耕一「どうぞ...」とクルマを見せる。社内やエンジンルームまで丁寧に見ていた。
常磐「綺麗なコンディションですね...」

耕一「ええ、新車で購入してからガレージで保管していたので...コンディションは良いと思います...運転してみますか...」

高子「ええ、後で運転させて貰うことに...」

耕一「はい、そうですね。でもチョイノリじゃ分からないこともあるので、後日数日か数週間か、お乗り頂いて結構ですよ...」

高子「ええー、そうなんですか...ホントですか...嬉しい...良いんですか...」そういう彼女の笑顔は、まるで天使の様だった。天使がこの世にいるなら…。

耕一「ええ、実はこのクルマは殆ど乗らないクルマなので...全然平気です...」

高子「乗らないと言うと、良くないんですか...」

耕一「いや、他にも有るので、特に乗らないということで...」

高子「他にもある...何台くらいお持ちなんですか...」

耕一「今、20台と少しかな...」

高子「...」驚き、そして呆れた顔をしている。

と、向こうでスタッフが常磐高子を呼んでいる。

高子が後で又と軽く会釈してスタッフところへ行く。

撮影は無事に済んだ。耕一は二言三言話をしただけだった。

撮影後、常磐高子が耕一のところへ来て、名刺を渡し、連絡先を教えた。その日は、それで終わった。

それが、2007年9月の出来事だった。

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