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2010_横浜のお嬢様_part4.../ 4.女優とドライブ

登場人物(2007年時点)
幸田麗華  幸田G 社会福祉LPF社長   1976年(31歳)
幸田耕一  KGC建設 社長 麗華の婿   1970年(37歳)
土岐多華子 クルマ好き女優 耕一と愛人 1975年(35歳)
岸野友一  KGC建設 建設部長       1971年(36歳)
笹本直樹  横浜TV ディレクター
野島庄司  イタリアレストランオーナー 1953年(54歳)
幸田大介  輸入商事 会長         1940年(67歳)
斉藤 由美 LPF 介護施設 準備室長   1976年(30歳)

今日は大安吉日で、MM69タワー起工式である。
みなとみらい地区68街区に、参列者が300人は居るだろう。
その中に幸田グループを代表して、江戸社長、麗華、耕一の3人が出席している。
式も無事終わり、合同会社KRF69やJV工事関係者と別会場で、交歓会に出ていると、耕一の携帯電話が鳴った。
見知らぬ着信番号に誰だろうと、訝ったが、声を聞いてすぐに分かった。慌てて、廊下へ移動した。

多華子「もしもし、幸田さんですか。土岐です...先日はありがとうございました...」

耕一「あっ、いえ、こちらこそ...」動揺した。

いきなりだったからか、それとも相手が土岐多華子だったからか...。

多華子「あの時の事で、お電話差し上げました...」あの時の事…耕一は、忘れていた。しかし、多華子は覚えていて、連絡してきた…。

耕一「ええ、勿論…良いですよ。会社のそばにポセイドンというイタ飯屋があるので...」

と待ち合わせ場所と時間を決めた。多華子の都合で決めたのだが...。

日時は。翌週の平日の11時になった。
電話を切ってから、急にドキドキしてきた。
あの女優の土岐多華子と待ち合わせをする。
何を着ていこうとか、クルマは事前に洗って置いた方が良いかなとか、色々と頭に浮かんだ。
結局、貸してから調子が悪いとか、動かないと言われるのも嫌なので、出入りの整備工場に連絡して、12ヶ月点検をして貰うことにした。

翌週、自宅からポセイドンまでMk2を転がして行った。

約束の時間の20分前に着いて、マスターに奥の個室を予約しておいたので、そこで待っていると、10分もしない内に土岐多華子がサングラスをして、スタイリッシュなドレスに身を包み、現れた。

土岐多華子「お待ちに、なりました...」

耕一「いいえ、今来たところです...」

でも、その後の会話はよく覚えていない。自分の事をあれこれ聞かれて、答えたような気がするが...

完全に上の空だった。

気が付いたら、Mk2の助手席のドアを開けて、多華子をエスコートしていた。

運転席に座り、操作手順と注意する点を説明しながら、横浜横須賀道で終点まで行き、海岸通りのレストランの駐車場へクルマを停めた。

そこで運転を代わるつもりでいたが、多華子がお茶でも飲みましょうと言うので、レストランに入り奥の席で話をしていると、店のオーナーが出てきて、多華子に色紙を渡し、サインを頼んでいた。
ああ、有名人と一緒に居るというのは、こう言う事かと、改めて感じた。

多華子「何時までお借り出来るんですか...」

耕一「別に、何時まででも、土岐さんが好きなだけ...もしクルマに不具合があったら、連絡ください。引き取りに行きますから...多分、無いと思いますが...」

多華子「ホントですか...それじゃー、お言葉に甘えさせて貰います...」

と多華子は嬉しそうだった。

日本大通りの会社の前で、降りた。

多華子「それじゃー、お借りします。またご連絡しますね...」と和やかに走り去るクルマを見送りながら、耕一は今日の一日が夢のようだった。

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