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2006_横浜のお嬢様part3.../ 10.魔の山

登場人物(2006年時点)
幸田麗華  幸田商事 社会福祉LPF社長     1976年(30歳)
幸田耕一  KGC建設 社長             1970年(36歳)
岸野友一  KGC建設 建設部長           1971年(25歳)
高橋 直美  KGC建設設計部長 耕一と愛人関係 1970年(36歳)
岸野萌奈  岸野の妻 独身時耕一の恋人       1974年(32歳)
後藤 絵美 Y国大 OG,KGC設計部 新人    1981年(25歳)
近藤 彰  Dハウスから出向 KGC設計部     1972年(34歳)


今晩の飲み会も盛況だ。

メンバーにはビールやワインだの十分アルコールが入り、あちこちで爆笑の渦が起きている。

耕一は、ホッとしていた。日頃のストレスを解放して、帰浜したらまた仕事に前向きに進んでくれるだろうとの意図が思惑通りになりそうだから…。

そして、萌奈にも口止めしたので、そちらも無事に切り抜けされそうだ...と、思っていたが…

その矢先、絵美と直美が、耕一の席に雪崩れ込んできた。

絵美「しゃちょうー、萌奈さんに口止めしたでしょー、何も教えてくれないんですよー...」どうも、絵美は酒癖が悪いようだ。

普段は大人しく良い娘なのに...そういう娘だと、今回初めて知った。

直美も横からブーイングを出してきた。

直美「そんなに隠したいことがあるなんて、益々知りたくなるわね…えみちゃん、これは調査報告書にして、麗華さんに提出しないとね...」

耕一「ははっ、麗華は知っているよ...僕たち夫婦に、秘密は無いからね...」

直美「ええー、そうなんですか...麗華さんって、凄いわね。社長の過ちも罪も全部知っていて、それでも許しているんですか...」

絵美「信じられませんね...部長。麗華さんって、もしかして天使ですか…いや、神様ですか...」

直美「そうね、普通の女なら、知りたくも無いし、許さないと思うわ...私なら許さないと思う...」

絵美「ホントですよね、私なら、ボコボコにしちゃいます...」とワイングラスを一気に空ける。

耕一「おいおい、怖いね...僕の事、ボコボコにしないでくれよ...」

直美「そんなこと、分かりません。社長の態度次第かな…ねっ、えみちゃん...きゃはは...」

絵美「あー、そうだ、思い出した、夕べ、エレベーターで社長に逃げられた事...」

直美「そうよ、えみちゃん、今晩こそ社長を拉致しないと...」

絵美「そうですね。二人で羽交い締めにしますか...私、前からで部長は後ろから…」

直美「何言ってんの、私が前で、貴方が後ろよ...」

絵美「社長に聞きましょ…」

直美「そうね、社長、決めて下さい...」

耕一「はい、どちらも、ご遠慮します...」

と言い争っているところへ、岸野と萌奈が来て輪に入った。

萌奈「三人で盛り上がっているわね…私達も入れて...」

絵美「ええー、嫌です。取り分が少なくなっちゃうもん...」

耕一「何の取り分だよ...全く...」

直美「大体ですよ、萌奈さんが、社長の昔話を教えてくれないから、こうなっているんですよ...」

萌奈「しょうが無いな…じゃー、少しだけ…」

耕一、慌てて萌奈を見ると、彼女はウインクして返す。

萌奈「実はね、ウチのゆーちゃんが私の事よこから奪ったのよ。こーちゃんからね...それが、真相よ」

直美「ええー、信じられない...」

萌奈「だって、男は誠実さよ。嘘をつかない男が一番なの...貴女たち分かる、だから私がウチの旦那に乗り換えたのよ...」

絵美「そうか、分かる気がする...嘘つかれるの、嫌ですものね...」

直美「確かに...それは、有るね…」

急に二人のトーンが落ちた。萌奈がニコニコして、耕一の方を見てウインクした…。

萌奈に大きな借りが出来たと悟る耕一。
 
翌週、萌奈から請求書が届いた。0の数は、6つだった。

呑気な耕一に比べ、麗華は4月の県議選の準備で、連日選挙対策に忙しい、選対幹部やスタッフ、幸田グループから応援に来ているスタッフも熱が入り出した。

今までの区内の広報活動を見直すことにした、政策自体が女性の地位向上や社会福祉なので、チラシ、パンフの作成も印刷から上がって来たので、これからDM配布に入る。
この時期まだ、ネットでの活動は出来ないので、そこは残念だったが、市民団体や婦人会のPTA会合など、できる限り出席することにした。

耕一にも、手伝って欲しいが、のんびりスキーに行っているのが、少し不満である。

だが、スキーから帰ってきたら、直ぐに選挙事務所に顔を出して、それ以降熱心に手伝ってくれたので、ホッとした。
 
それが、2007年1月の出来事だった。

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