2004 双子姉妹の恋.../13.新居の住み心地
登場人物
友部 彩 双子の姉 理科大 薬学部4年 1982年
友部 舞 双子の妹 ハウスビルダー 設計担当 1982年
友部 友梨 舞・彩の母
友部 幸太 舞・彩の父
友部 紀 彩・舞の弟 1984年
山下 敦 ハウスビルダー 設計担当 1976年
高山 耕一 製薬会社 新薬開発研究 1972年
野村 慎吾 工務店社長
1月14日の土曜日に引き渡しがあり、引っ越しは姉の彩・耕一夫妻が、先に翌週土曜日にすることになった。
舞と敦は、更にその翌週となった。
彩「私達が先で悪いわね。お先に新居の住み心地を堪能するわ...おほほ…」
舞「どうぞ、どうぞ。ごゆりと、堪能して下さい。姉上…」
引っ越し当日、段ボールが積まれているリビングで。
彩「いやー、広いから楽だわ。こうなるとあのマンションには戻れないわね…」
敦「そうでしょ、一度こう言うところで暮らすともうマンションには戻れないですよ。大体、この勾配天井の吹き抜け、漆喰の白壁、無垢材の床、まるでリゾートに来ているみたいでしょ…」
何よりもLDKの広さは圧倒的だった。
ソファーや食卓用テーブル・椅子を置いても全然余裕である。
彩「本当に、そうね。こうなるとリゾートマンションにも行けないね。この広さも良いわ。卓球台かビリヤード台も置けるね…」
耕一「毎日がリゾート気分ですね。最高です!」
舞「そう言って貰うと、姉夫婦とは言え嬉しいわ、ねぇ、敦さん…」
敦「本当です。喜んで貰えて嬉しいです…」
舞と敦が自分たちの休日を1年間返上して、設計・監理をした甲斐があった。
彩・耕一棟のLDKは、梁間(短辺方向)は6間(約10.92m)あり、西側からアイランド型キッチン、8人掛けのダイニングテーブル、そしてソファーを置いている。
その先には暖炉があり、作り付けの椅子があり、薪置きもある。
その北側に書架と読書机を置く予定だ。それでもまだ、余裕がある。
北側にはユーティリティ、家事室、食品庫、玄関ホール、洗面所、トイレ、浴室がある。
主寝室は3間X4間の約40平米ある。
Wベットと化粧台を置いているだけなので、床面が目立つ。その東側に、ウォーキングクローゼットとタンス置き場がある。
子供が大きくなったら、それらの東側へ順に増築する予定だ。
ある意味、広さから言えば、アメリカン的な住宅かもしれない。
元々茨城県の住宅の床面積は、広かったが、年々狭くなっている。改めて、住宅の床面積の広さは大切であると痛感した。
彩「いやー、広くて快適ね。やはり広さは無敵ね..」
耕一「うん、もうあのマンション生活には戻れないね。欠点はその広すぎる事で、手の届く範囲にものを置くのは無理で、一々取りに行かないといけないことかな…」
敦「暖炉も正解だったね。夜、薪の燃えるのを見ているだけでも癒やされるね。現場打ちの煙道だったので、煙がきれいに排気されるのを見て安心しました…」
耕一「広いと暖冷房はどうなの...」
敦「高気密高断熱仕様になっているので、一度室温を上げると直ぐに暖まり、暫く暖かい状態になります。夏はクーラーですが、同じく直ぐに冷えて、長い時間維持しますね…」
舞「来週、私達も引っ越しだけど、暖炉に早く火を入れたい。あーちゃんと二人で、暖炉でスコッチを飲みたいね…」
彩「二人だけになりたいときは、ホールのドアに’Don’t Disturb’の看板出しといてね。でないと乱入しちゃうからね…」
舞「それは、困るわ。Hしているかもしれないからね…」
敦と耕一が困った顔をして、見合わせている。
その寝室にも小さな暖炉がある。
リビングの壁の裏側に当たる場所である。寒い冬の夜も、ここで一度火を起こすと朝まで暖かい。ある意味、薄着でも普通に過ごせる。
後日、彩が驚いていた。
彩「寝室の暖炉も凄いわ。朝まで部屋が暖かいの。下着のままで、朝まで居られるなんて、快適よ…」
舞「そうでしょ、敦さんの設計に感謝してね…」
舞は、彩達に褒められて、鼻高々である。
それが、2006年2月の出来事だった。
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