
2010_横浜のお嬢様_part4.../ 1. 敷地選定は家族で海水浴
登場人物(2007年時点)
幸田麗華 幸田G 社会福祉LPF社長 1976年(31歳)
幸田耕一 KGC建設 社長 麗華の婿 1970年(37歳)
幸田大介 輸入商事 会長 1940年(67歳)
高橋 直美 KGC建設設計部長 耕一の愛人 1970年(36歳)
後藤 絵美 Y国大 OG,KGC設計部 新人 1981年(25歳)
吉田 香織 KGC建設 不動産課長 1972年(34歳)
GWの山中湖別荘でこれまでの反省とこれから誠実に妻に尽くすと誓った耕一は、麗華が驚く位家族サービスはまめにするし、あれ程していた浮気虫は陰を潜めていた。
麗華は訝った。
「どうしたのこーちゃん」ととある夜、一戦交えた後に、尋ねた。
麗華「ねー、聞いていい...。最近、優良ハズバンドに成っちゃたけど、どうしたの。私はとても嬉しいけど、少し気味が悪い位...」
耕一「あれっ、言わなかった...GWに反省したんだよ。不毛な愛の狩人は止めると、決心したんだ。これからは君と子供達の為に、生きるんだと...。可笑しいかい...」
麗華、驚いて、耕一の顔をじっと見ている、やがて大粒の涙を零して、耕一に抱きついた。
麗華「嬉しい...。本当に...。嘘じゃない...。信じて良いの...」
耕一「ああ、信じられないようだね。どうしたら信じてくれるの...」
麗華「そうね、こーちゃんの行動次第ね...。嘘でも良いわ、信じる、信じたい…」
5月下旬に麗華が突然、家族皆で海辺へ行きたいと言い出した。
どうもTV番組で三浦半島の旅番組を見たらしい。
次の土曜日にVWのバンをガレージから引き出して、家族7人で乗り込んだ。
会長の大介とその妻の愛子も行くと言い出した。
その海岸は、大介の友人が経営するリゾート施設でプライベートビーチと貸し別荘が数棟あった。
ビーチは砂浜で、素晴らしい朝日も夕日も眺められる。
特に山中湖とは違ったその素晴らしい夕日は、皆感動し驚き、そして暫く立ち尽くす位だ。
麗華「今まで山中湖で考えていた美術館の敷地だけど、ここはどうなの...」
大介「あそことは、違った良さが有るね。開放感というか、まさにリゾート気分を味わうなら、此処だろうね」
耕一「少し此処を調べて見ようか...来週にでも、スタッフとまた来るよ...」
翌週、設計部の何時ものメンバーで再訪した。
後藤絵美「わー、良いわねー。此処、明るいし、潮風は気持ちいいし...」
高橋直美設計部長「社長、此処はどうやって見つけたんですか...」
耕一「此処のオーナーが、会長の友達なんだ...。山中湖と比べてどう...」
直美「そうですね、山中湖と比べると、横浜からのアクセスも良いし、海に近いから、リゾート気分も素敵だし、私はこちらが良いですね...」
絵美「ホントですよね。美術館よりもリゾートホテルにしたい位だわ...」
耕一「ホテルにすると、趣旨が違ってくるけどね...そうか、やはり、こっちの方が良いか...」
三人で、施設の食堂で昼食を取りながら、美術館のイメージを話合った。
絵美「平屋か二階建てで、屋上は海が見えるテラスがあって、全体的に明るいモダンかな…」
直美「そうね、そういうイメージだと、鉄骨構造でも行けそうですね...工期も短縮できるし...予算も抑えられるし…」
耕一「不動産課の吉田課長と相談して、ここも含めて最適な敷地を探して貰おう...」
最近不動産課が新設された。その課長には、以前ライバル店から転職してきた吉田香織が宅建の資格を取り、最近急増した幸田G内の不動産取引で活躍していた。
食後のコーヒーを飲んでいると、直美が席を外した時に、絵美が急に声を潜めて
「社長、最近お見限りですね...今度、どうですか。ワイン飲みに行きませんか...野島さんのお店に、新作が入ってるんです...」
耕一「新作...行きたいけどね、麗華がね...」と口を濁す。
絵美「あれっ、いつから恐妻家になったんですか...」
耕一「何言ってんですか、前からです...」
絵美「何だ、つまんなーい...」
とそこへ、直美が戻ってきて...
直美「何が詰まらないの...また、社長のこと、誘惑していたのね...」
絵美「誘惑なんて、してません。新作ワインどうかなって...」
直美「誘っているじゃない...私も行くわよ...」
絵美「ええー、部長もですか...」と口を尖らす...
それが、2007年6月の出来事だった。