2004 双子姉妹の恋.../7. 久々のデートは、代行...
登場人物
友部 彩 双子の姉 理科大 薬学部4年 1982年
友部 舞 双子の妹 ハウスビルダー 設計担当 1982年
友部 友梨 舞・彩の母
友部 幸太 舞・彩の父
友部 紀 彩・舞の弟
山下 敦 ハウスビルダー 設計担当 1976年
高山 耕一 製薬会社 新薬開発研究 1972年
Wデートで海水浴場へ行ってから、翌月は彩はそれまでサボっていたツケが来て、前期末試験の準備で忙しく。
舞は、これもまた半期の売り上げ案件が大挙して、回ってきて敦共々多忙になり、最後は休日返上で図面を仕上げた。
お陰で、10月に入り、久々のデートとなったが、いつも事務所で一緒なので、あまり新鮮味が無い。
しかも、9月の忙しいときに敦と仕事の事で、諍いをして、少し敦に対し、怒っていた。
舞「お姉ちゃん、今度のデートなんだけど、代わりに行ってくれない...」
彩「えっ、どうしたの?ケンカした...」
舞「そう、ケンカしたの」
彩「何で...」
舞「訳は言いたく無いけど...」
彩「ふーん、良いけど...見返りは高いわよ...」
と言うことで、舞の代わりに彩がデートの代行で行くことになった。敦にばれないように、洋服は舞のを着ていった。
今日は、隣町にある、県立のバラ園へ行くことになっている。
敦が友部家に迎に来ると、母にばれるので、市役所の駐車場で乗り換えして、バラ園へ。30分で着く。
敦「あの、この間は、ちょっとご免ね。少し言い過ぎた。反省している」
彩「ホントにそう思っている」と少し強めに返答する。
ここで甘く対応すると後で、甘く見られると思った。舞の為に。
敦「ホントだよ。こんなこと言うと怒られるからもしれないけど、もう二度とあんな態度は取らないから、ご免」
彩「ふーん、なにか、奢ってもらおうかな」
敦「はい、なんでも奢ります」
彩「じゃー、帰りにつくばのデパートに寄って」
敦「はい…」
つくばのデパートのジュエリーショップ。
彩「そうね、このイヤリングで良いわ」と指先には、10万の値札が。
敦「..それね..あのー、すいません、これください」
帰宅後。
彩「どう、これ良いでしょ」と舞に見せる。
舞「どうしたのこれ...」
彩「敦さんが、買ってくれたの。お詫びだって」
舞「お姉ちゃん!」
それからが、大変だった。怒った舞がイヤリングを返品すると言いだして、暫く揉めた。
翌日、残業している敦の席へ行き。
舞「あの、室長。これお返しします」
敦「えっ、どうして…」
舞「実は、昨日行ったのは、お姉ちゃんなんです」
敦「えっ...あのね、もう止めてください、そういうの」
舞「ごめんなさい、お姉ちゃんが代わりに行くと言うので、つい頼んじゃったんです。悪いのは私です」
敦「そうでしたか、全然分かりませんでしたね。これからデートするときは、舞さんかどうか確認しないといけませんね。見分けかた、教えてください」
舞「すいません。あの、実はここに」と右後ろ首筋のほくろを見せる。
敦「ほくろ?」
舞「そうなんです。私はここにありますが、お姉ちゃんにはありません」
敦「これからは、ほくろを見るしかないのね」
舞「すいません」
敦は、惚れた女性が、双子で、デートすると相方が代わりに来るというこの状況をどうしようかと...でも、惚れた弱みで、何も言えない。
翌年 正月 敦が友部家に、年始の挨拶に訪れた。客間に通され、父 幸太に挨拶している。
敦「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
幸太「まあ、まあ、足を崩してください」
敦「正月そうそうなんですが、来月改めてご挨拶に伺いますが、舞さんのこと、お願いに」
幸太「そうですか、分かりました。でも、あの子は花嫁修業もしておりませんので、親として心配ですが」
舞「お父さん、これから舞はがんばりますから」
幸太「まー、娘もそう言っていますが、初めは大目に見てください」
敦「僕たち、まだ二人とも未熟なので、お互い様です」
友梨「舞のこと、よろしくお願いします」と頭を下げる。
彩「ゆーちゃん、おめでとう。先越されたね」
翌月、敦が改めて、挨拶に来て。舞と敦の婚約は4月、結婚式は9月になった。
これが、2004年1月の出来事だった。